勇者パーティー in オーディナル聖王国 18
「くそっ、くそっ」
カズヤ・シロキは異世界転生してきた日本人だ。識字率が太古から安定して高いことから、日本という国が選ばれたらしい。
今ではそれなりに高い国が多いが、識字率がいつの時代も高いのは日本くらいらしく、そのために地球における召喚は日本が選ばれたらしい。
文化性もある程度きたいされ、ここ最近は日本を選ぶことが多くなっているらしい。
それが魔王を召喚している自らを神と称する者達の言い分だった。彼らは神ではなく、神になろうとしているものだとカズヤは踏んでいる。
そうカズヤたちは侵略者であり、この世界を神の手から取り戻す。
ゆえにカズヤ達は勇者ではなく、魔王なのだ。魔王の名にふさわしい、圧倒的な魔力をもっているのは確かだ。
魔王はぞれぞれ特殊な能力を持ってこの世に召喚されるらしい。それがどんな能力なのかはランダムだが、たいていが強力なものとなる。
チートというやつかもしれない。
だが、そんなチート能力を持っていたとしても、その能力が使うことができず、気絶させられたら、意味がない。
「いったいなんだよ」
カズヤは八つ当たりをしながら思わずそんなセリフを吐き出した。
「ダイジョウブ?」
そんなカズヤに話しかける女性がいた。カズヤが連れていた女の一人だ。仲間である魔王のアキラがこの女を紹介し、俺にアテがってくれた。
非常にかわいいいい子である。
「メイ・・・サンキュウな」
俺がそういうとメイはうれしそうにほほ笑んでくれた。
「夫のピンチ助ケルノハ当然」
少々言葉が片言であるが、かわいい日本語をしゃべってくれる。しかも、夫とまで言ってくれている。うれしい限りじゃないか。
「そうか」
「ソウダ」
カズヤがいうとうれしそうにメイと名付けられたサキュバスは答えた。
メイが笑うとカズヤもうれしくなった。メイにカズヤは骨抜きにされていた。
「というか、何を俺はされたんだ?」
「勇者パーティーと同様に魔法を無力化する方法を編み出している可能性があるらしいな」
何処から声がした。振り向くとそこにはネヴィルが立っていた。いつから立っていたのかはわからないが突然現れた。
「ネヴィル・・・」
「随分と目立った真似してくれるな。まあ、お前らでガルドルさんに敵うと思わないことだな」
ネヴィルが少し殺気を込めていった。
「ふんだ。俺たちには俺たちのやり方がある」
「そうか、まあ、俺の邪魔をしなければいい。それにあの人は元々俺たち並みの魔力を持っているしな」
「なんだと?」
「そんなことも知らないのか?勉強不足だな」
ネヴィルが少し馬鹿にしたように言った。それを言われてカズヤは不快感を表に出した。
「所詮は借り物の使い手であることを覚えておくんだな」
「その通りだな。俺の力は借り物だ。お前らもそれは変わらないんじゃないのか?」
ネヴィルが少し馬鹿にするように言った。それを言われ、カズヤが怒りの表情を浮かべた。
「貴様、何を知っている?」
「魔王という存在について、俺がケンタロウから聞いていないとでも?」
ネヴィルは静かに言った。
「憤怒くらいだろう。力がなくてもまともに戦えるのは」
「貴様はそうじゃないと言えるのか?」
「魔王の力が無力化されたら、平凡な戦士になるだけだ」
「貴様・・・」
「どうした魔王。来ないのか?」
ネヴィルはそういうとニヤニヤと笑った。ネヴィルはメイを見つめた。メイは首を傾げた。ネヴィルはメイに言いたいことがありそうだが、それ以上は何も言わなかった。
「まあ、いいさ」
ネヴィルはそういうと、背を向けて歩き出した。
「どんなカウンターマジックだったのか、気になるところだな。それがわからなきゃ、奴らに対抗もできなそうだ」
そういうとそのまま歩き出した。
「そうそう、時が来るまで派手な真似はやめておくべきだな」
その通りからネヴィルが出ていった。
「くそ、あいつらいったいなんだよ」
「カズヤ・・・大丈夫だから・・・」
メイが抱き着いていった。メイの体のぬくもりと柔らかさを感じながらカズヤは目を細めた。
「ああ、大丈夫だ。俺は簡単に負けない」
カズヤはそういうとメイの肩に手をかけて歩き出した。
その後をそれまで無言で静かに立っていた女がカズヤについてゆっくりと歩き出していた。
日の当たる場所ではなく、暗い細い路地の方に向かって、カズヤは歩きだしていた。




