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僕が契約者になったわけ 2

僕が契約者になったわけ 2



「ねえ、知ってる?」


 朝食が食べ終わり、急に彼女が切り出した


「何を?」


「なんか、光の戦乙女が封じた壺が見つかったらしいんだけどね」


 光の戦乙女とはヴァルキリーと呼ばれる精霊で、伝説では勇者の守護者であり、その精霊と契約したものはヴァルキリーの力を使い空をかけ、光の槍と剣を扱うことができるとされている。


 ヴァルキリーの契約者は特別視され、契約者となったら、国からの補助ももらえる可能性があるらしいとも言われている。


「うん」


「その光の戦乙女の契約に挑むために騎士が何人か挑んだらしいんだけど、みんな死んじゃったらしいよ」


「それはひどいね」


「だから、変な壺には気を付けた方がいいかも」


「そだね」


 僕はそういうとため息を付いた。


 彼女との関係を僻むものたちの嫌がらせがちょくちょくあるが、大きなものはなく、突っかかってくる程度で、僕は特に気にしないのだが、やはり、彼女は気にしている。


 まあ、単なる暴力なら慣れているので、すぐに解決する。


 護身用に魔法を師から教えてもらったし、それでことが足りた。属性は水と木らしい。


 あまり魔力や発現力は大きくないが、センスはあるらしい。数か月で魔法をコントロールができるものはそれほどいないらしい。


 デカい事象よりも魔剣などを補助具を使っての魔法を使うセンスがあるなと、師は言っていた。


 師は元冒険者の魔法使いで、引退してから薬屋なったので、僕に魔法を教えることができた。


 そもそも、僕の家が薬屋だったので、良い薬を作るときには魔力を練りこむことは教えられていたので、魔力扱いには多少慣れていた。


 それを魔法として使おうとはあまり思ってなかった。


 魔法は貴族の使うものだと思っていたからだ。魔法書ももらい基本的な魔術は覚えた。


 覚えておくと便利な魔法が多数あった。火おこしや水を集める呪文、植物の成長を促す呪文、金属を変形させる呪文など生活に役立つ呪文などがあり、使えた方がいいなと思えるものばかりだった。


 そういうのを一月かけて覚えることができた。


 簡単な魔法なら一通り使えるようになっていた。師にいうと、なんか、驚いた顔になり、「さすが小さな英雄」とか言われた。


 一体何なのだろうか?


 魔法が使えるようになったと彼女にもいうと、驚愕の顔になって「うそでしょ」とか言われた。


 凄い手順をふんで覚えるのが普通らしいが、僕が本を読んだ程度で覚えたことに信じられないといった顔になっていた。


 ためにし、火おこしや水を集める魔法などを使うと彼女も呆れた顔になった。


「まあ、あなたなら、契約できるかもね」


「それに挑むんだから、高名な騎士様でしょ。僕じゃあ無理だよ」


「まあね。騎士並みの腕で剣に魔力を纏い続けて戦うとかって普通はできないもんね」


「・・・確かに」


 おや、なんかできそうな気がした。僕は師が馬鹿かと言われるほどに長時間魔力を薬に練りこむことができる。


 そのため、やたら品質のいい薬を作ることができる。


 師よりも僕のポーションを求めるものが多くなりつつある。同じ値段だからしょうがない。


 剣に魔力をまとって、数十分ならできそうな気もする。


「今、できそうとか思ったでしょ」


「お、おもってないですよぉ」


「・・・・うそね」


「そんなわけないです」


 僕は必死に言った。


 できそうな気がするが、光の戦乙女の契約者なんてなったら、時の人まっしぐらではないか。


 勇者が見つかっていないと言われている昨今、契約者なんて存在が発覚しただけでも十分な事件となりうる。


「口調がおかしいわね」


「・・・・・・」


「まあ、いいわ。あなたができるなら、私にもできる秘訣を教えてほしいものだわ」


「へえ」


「ふっふふ、私もなってみたいし」


「君が?」


「契約者に」


 彼女は鼻歌を歌いながら、かたずけを始めた。


「じゃあ、行ってくるから光の戦乙女との戦う秘訣教えてね」


 そういうと、部屋から出ていった。


「光の戦乙女ね」


 精霊か。たまに森の中をあるいているとそういう存在を見かけるようになった。


 そういう存在を感じられるようになり、少しづつ、いい薬草に出会えるようになった。


 彼らと薬草はつながりがあり、そうした薬草たちを使うことによって、奇跡とも思える不思議な力を薬を通して僕ら薬屋は発揮できるのである。


 光の戦乙女。あながち縁がないものではないのかもしれない。


 そう思うと店に立ち、調合を始めた。


 すると、そこになじみの客がやってきた。


「よう、坊主。坊主が作ったポーションあるかい?」


「これですか?」


「頼りにしてるぜ」


 僕の作ったポーションを見つめて男は嬉しそうに言ってから、代金をわたす。


「頑張って作れよ」


「はい」


 僕がいうと彼はうれしそうにポーションをしまい歩き出した。ああいう客が一人でも増えていくなら僕はうれしい気がした。


 作っているかいがあるというものだ。


 こうして、騎士団の時にはなかった喜びを感じながら、せっとと、魔力を込めて薬を作り出した。


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