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僕が契約者になったわけ 1

僕が契約者になったわけ 1


「せい!」


「は!」


「最近の娘は積極的だねぇ」


 薬屋の師である老人が呆れたように言った。


 僕と彼女は今、剣の朝稽古をしている。一本取った方が相手の言うことを聞くという約束だった。


 騎士をやめることになった、僕は彼女に剣の稽古に付き合ってもらっている。


 大抵は彼女の買い物に付き合うだの、昼間に弁当を届けるだのであった。


 カン!


 僕の稽古の用の木の剣が床の落ちてそこで終了。


 今日は彼女の勝ちだ。


「はい、店番ね」


「へいへい」


 僕は店番よりもフィールドワークが好きなので、大抵が勝ち負けの対象が店番か、フィールドワークになる。


「まあ、仕入れてくるけどさ」


 師が呆れたように言った。


「どんどん、強くなってないか?」


「ふっふふ、剣姫って呼ばれるかもね」


 彼女は嬉しそうに笑いながら言った。僕が彼女を助けた事件以来、彼女の腕はあがり、今では騎士団でもかなり上位に食い込むほどのなっていた。


 そのため、近々くる彼女の引退を惜しむ声もよく聞こえてきた。


 彼女は僕のために薬草を集める仕事をしてくれるらしい。そもそも、薬草は安全な場所ではなく、魔力が満ち足りた自然空間にある。


 魔力が満ち足りたということはそこには危険な魔物がいる可能性があるのだ。


 そこに行くにあたって、ちょっと前までなら諦めていたが、僕の足も治り、薬草集めにいそしもうとすると、彼女が危ないからついていくとかいいだすので納得してもらうために始めたのがこれである。


 ちなみに勝率は7割で負けで、3割で勝利といったぐらいで劣勢である。


「真面目にやらんとな」


「じゃあねえ。お昼よろしく」


「わかったよ」


「まて、朝食食べるかい?時間あるだろ?」


「おばちゃん、いいの?」


 その辺で適当に済まそうとして、いい反応。


「跡継ぎの嫁さんだからな、もちろんだ」


「ありがとう。朝はそんなに食べれないから」


「わかってる軽めじゃろ?」


「そうそう」


 彼女は嬉しそうに言った。ほんとに笑顔が眩しい子である。


 師が世話をしたくなのもよくわかる。彼女は四人掛けのテーブルに座り、用意されたコーヒーと特性ジャムとバターが塗られてトーストされたパンを見た。


 それをいただきますといって口にする。モグモグと食べて飲み込んでから。


「ん~ん。ジャムがおいしい」


「全く、いい食いっぷりだね」


 師が呆れたように言った。


「おいしいですから」


 真剣な顔で言った。そんな彼女に師は笑みを零す。


「あんたにはもったいない子だね」


 師がそういうと僕を見て、ニヤニヤ笑う。僕も彼女を見て、ニヤニヤしているのをみて、ちょっとかわいいと思った。


 これ完全にダメな奴だが、逆らえなかった。


「おばさん、私人気なんですよ」


「だろうねぇ」


「騎士団も男が多いから、変な色目とか気を使ってくる奴ばっかで困るんですよ」


「かわいい子だしねえ」


「どう思います?」


「頑張れ、小僧」


「ですよね」


 レディ二人にそう言われ、僕はため息を付くと、椅子に座り軽い食事を食べ始めた。


 親子かと思うくらい仲がいい二人だ。


「あんたが店番するなら、軽く山に入って様子でも観てくるかね。調合をしっかりな」


「はい、任せてください」


 師は僕らが稽古をしている最中に食事を終えたのか、山に行く用意をしはじめた。


「最近、物騒だから気をつけるんだよ」


「はい」「はーい」


 そのまま、僕らはささやかな朝食をとっていた。


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