表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/190

勇者パーティー in ワルシャル竜王国 2

勇者パーティー in ワルシャル竜王国 2



「ばぶぅ」



 赤ちゃんの手をアレスが嬉しそうに触っていた。


 母になる前に抱っこの練習と称して、トキアがメディシン夫妻の第二子を抱っこしていた。


 発語が見られ、赤ちゃん声をだしていた。1歳になり、声に近いものをだしているのだ。


 人懐っこいのか、トキアに抱っこされても泣き出すことなく、アレスが手を握っても怒らない。


「二人目もかわいいですね」


 アレスが顔を破顔させながら言った。


「まあ、俺とあいつの子だしな」


 当然だ。いう言葉を省略して、胸を張ってダンナが答えた。


 ダンナとは俺の尊敬する師匠の一人であり、光の戦乙女の契約者だ。何よりも天才だ。


 ダンナは光の戦乙女の力なんぞ借りなくても、十分に強い。剣の腕がたいしたことないと言われているが、それがあの奥さんと、あの義兄に相手に稽古をつけられている。


 たまに1本をあの二人からとれるのだから、正直かなりの腕であることは認めざるを得ない。


 奥さんはダンナに劣るだろうが、結婚していなければ、剣姫とか呼ばれるぐらいの腕はある。


 グリンザイア国で剣姫と言われて浮かぶとしたら、この人に他ならない。候補がいるが、この人に敵うものはいない。


「はじめまして、勇者アレス様、勇者夫人様」


 と、女の子とスカートを持って丁寧にあいさつする。ダンナの娘さんだ。


 ちゃんと、勇者夫人とトキアを呼んでいるあたり、トキア的にはポイント高いんだろうな。


 目が潤んでいやがる。うれしくて・・・


「君は小さい頃から何度もあっているんだけどな」


 そんなはじめてに対する人みたいに言われて苦笑いを浮かべる。


 この一家とはそれなりに交流があることは知っている。トキアが妊娠するまで何度かあっているに違いない。


「そういう挨拶がしたいのさ・・・」


「あの子の中で流行ってんの」


 苦笑いを浮かべるダンナに嬉しそうにほほ笑む奥さん。相変わらずなんか絵になる家族だ。


 微笑ましい。


 アレスが赤ん坊をトキアから受け取る。あまり騒がない。


 そんな子供をあやしながら、アレスがダンナに尋ねた。


「貴族になられた気分はどうですか?」


「う~~ん、あんまり実感がないかな」


 ダンナが街角の薬屋をやめて、貴族になったのは二年ぐらい前だ。


 それまでは夫妻で薬屋を経営し、協力して子育てをしていたが、妻の両親の願いで週に何度か孫の顔を見せに行くうちに、次第にそういう流れになった。


 いちお、ダンナが“光の戦乙女の契約者”という情報が公開され、それが貴族に所属するための条件になった。


 そのため、独自の性、メディシン卿を国王から貰うことになり、ダンナはメディシン卿を名乗っている。


 もちろん、庶民出のダンナの貴族化を拒む声があったが、対外的に“光の戦乙女の契約者”が貴族から出てないのは貴族たちの威信に関り、そういう流れになった。


 いちお、妻の家に連なる一族として迎え入れられている。


 こうした経緯で“光の戦乙女の契約者”が身内にいるため、義兄が近衛騎士団長という名誉をもらうことができたのだ。


 もちろん、その実力も実績も文句がない。ほぼ、未来の将軍が約束されている。


 そんなダンナは勇者パーティーの補佐として、王の客人として竜王国に何度もきて指導にあたっている。


 俺もダンナがくれた宿題をこなし、竜騎士だけではなく、王竜の契約者としても、自慢じゃないが、かなり強くなっている。


 ダンナのアドバイスはかなりよく、俺もアレスもかなり成長した。着実にステップアップできている。


 しかし、まあ、よくそこまで思いつくわと思うくらい、次々にアイデアが浮かんで関心しかない。


 ダンナは魔力のマイナスの理論の構築だけではなく、様々なものに応用していた。


 その人にあった訓練方法も考えてくれた。俺は魔法の細かい調節が苦手だったが、かわいい女の子の事を思ってアクセサリー作りをする、という訓練方法を教えてくれるなどいろいろとよかった。


 アレスがしばらく赤ちゃんをあやすと、ダンナに渡した。


 それから、小さな女の子の方によって嬉しそうに言った。


「僕も子供が欲しくなったのも君のおかげだよ」


「ふぇ?」


 そういって、彼女を抱っこした。それを見てトキアがくすっと笑った。


 あの子がかわいかったから、子供が欲しくなって、アレスがついつい張り切ってしまったということらしい。


 ダンナがアレスの全身を見て感心したように言った。


「五年で大分伸びたし、体つきもよくなったな。お前」


「まあ、ドレクに付き合ったら・・・」


 何で俺の名前を出す。何故、俺に付き合ったらそうなるか、教えてほしい。


 まあ、ダンナの言う通り、俺が出会った頃のアレスは女と思うくらいひょろくて、背も大きくなかったが、この五年で背も俺とそれほど差がなくなり、身体つきもしっかりして撫肩も筋肉でしっかりしたものになっていた。


 今なら女に間違えられない。


「竜騎士の訓練は厳しかったか?」


「尋常じゃなかったですよ」


 アレスは息をついた。


 人が竜に勝たなければならない。


 もともと、素養があり小さい頃から訓練を受け続けた竜の世話人とは違い、いきなり、竜に勝つために騎士たちは急激な負荷と詰め込みを行うことになるのだ。


 尋常じゃないシゴキを受けることになる。


「騎士なんてそんなもんだ」


 随分と気楽にダンナは言った。ダンナも昔、寝ているアレスを背負って寝ずの三日の行進をしたことがある強者だ。


 ダンナも騎士として相当なシゴキを受けていたようだ。


「鎧を着て、さらに予備の鎧を担いでの山林の十日行進ですか・・・」


 ダンナの奥さんが嫌そうに言う。それはそれでえぐい。


「各シーズン恒例だもんな」


 とうれしそうに言った。


「まあ、あれ、男性限定ですが・・・女性は処世術を教わっているやつですね」


「あれはエグい、道間違えると死が見えるし。確かにあれは女性がするものではない」


 そういえば、女性も男性も一緒に学ぶだったな。あっちは。


 俺たちは別々に教育を受けるが。人員の差かな。


「あたしは受けたかったけど、みんなに止められた」


「まあ、何かあったら不味いからな・・・」


「それやると、確か、ほとんど人が死にそうになってるから、三日ぐらい男子は休みになるのよね」


「三日で体力を回復するのも訓練らしい。あれで疲労ポーションの正しい使い方とペース配分の大切さを覚えさせられるんだよな」


 遠い目になってダンナが言った。


 その訓練は確かに厳しそうだ。竜騎士の方も大分しごかれるが、暴力的な方向で。


「僕はその訓練のおかげで助かったんですね」


 アレスは思わず言った。すると、四人が笑い出す。


「人生何が役に立つかわかりませんね」


 ダンナの奥さんが言った。それにダンナもうんうんと頷いた。


「あの時は本当に心臓が止まるかと思いました」


 そういえば、俺に「竜出せよ、クソガキ」とか言われたような気がした。あの時のトキアは別人で全然おしとやかじゃなかったな。


 昔のトキアにあったようで、逆に俺はうれしかったが・・・


 まあ、そんだけ追い詰められていたよなきっと。


 トキア、うん、あいつ裏表、酷過ぎて論外だぞ。恋心とか、全然わかない。


 久しぶりに会ってこいつ誰とか思ったが、勇者が見てないところの行動とか見せる毒がある部分を見てると安心する。


 ああ、トキアだって思う。


 つうか、アレスと二人きりの時、マジでどんな様子なのか気になってしょうがない。覗いてみるか。命をベットして・・・


 いや、やめておこう。竜の逆鱗に触れるような真似は・・・


「飛竜から落ちたあの日、俺・・・僕は死ぬはずでした」


「俺がお前を助けたあの日、戦乙女の癒しの呪文がありえない回復を見せた日」


「こうなることは決まっていた」


「そうだな」


 二人は拳を突き出し、合わせた。子供を抱いた状態で・・・


 君らしまらんぞ、なんか。


 俺は思わず突っ込みを入れた。


「よろしくな」


「こちらこそ」


 ダンナの呼びかけにアレスがうれしそうに返した。


 男の友情を重ねているのだが、何故、子供を抱いたままなのか、そこが不思議だ。


 きっと、二人が意外と子供好きということなのだろう。きっと・・・・


 俺はそう思うことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ