勇者ギルド in ブリウォーデン勇王国 9
「随分と品がなさそうな奴がだな」
サミットは対面した男に向かってそんな感想を抱いた。
目の前に立つ男は曲刀を構えたまま、サミットを見つめた。ガルドルを思わせるそんなスタイルだった。
「お前らガキが俺様に挑むことがどんなに愚かか教えてやる。つうかよ、ガルドルがいなくなって生成していたのに、勇者だの、聖女だのきにいらねえなあ。怪物退治は俺たちの仕事だぜ」
男はサミットにそんな言葉を投げかけた。確か、ドリアルとかいう名前だったはず。正直男がどんな人生を送ってきたか興味はないが、あまり褒められたものではなさそうなのはサミットでもわかった。
「君はここで死ぬ」
「その綺麗な顔を傷つけてやるぜ、聖騎士様よ!」
間合いを詰めて曲刀を振った。それをサミットは軽く盾ではじく。それだけで、男の腕が背後に飛び大きくのけぞる形になる。
「はあ?」
サミットはその空いた懐に剣を突き立てた。
あっさりとした勝利である。サミットに、サミットの盾にそんな力があったとは思えなかった。故に、その意外性、故にあっさりのけぞるような真似をし、そこを突かれたのだ。
「ふざけるな」
ドリアルは悔しそうに言った。だが、そのまま力なく倒れこんだ。
「その程度か?」
サミットは剣を鞘に納めながら、あまり興味なさそうに言った。
そこに嬉しそうな笑みを浮かべて、聖女の幼馴染がやってきた。
「いいところ見せれたじゃん」
誰にとは言わないあたりが、この聖女セイラらしい。
「まあ、これくらいはな。ネヴィルとの再戦は難しそうだな」
「フィンに花を持たせる気満々だもんね」
「まあ、俺もほどほどに苦しめてからの決勝へとか」
「期待している」
「まあ、適当にやるだけだ」
サミットは欠伸を一つした。そうこうしているうちにセイラの治療は済んでいた。その腕はさすがとしかいいようがなかった。
「くだならない」
目の前にはこの国の勇者以外の代表が立っていた。勇王国の代表者らしく、品のない笑みを浮かべていた。
「王子だからと言って、参加できるとはいい身分だな」
「まあ、嵐の騎士の代わりに来ているので負けるつもりないですよ。あなた程度」
「ふざけているのか」
「そう」
ため息をついた。
次の瞬間倒れれていたのは勇王国の代表者だった。
首が切られていた。
「だから、なんですかね」
つまらなそうに言った。
「まさか、一体で負けてしまうのは期待外れもいいところですよ」
その後、欠伸した。
こうして、一回戦は無事に終わりを告げた。