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勇者ギルド in ブリウォーデン勇王国 8


「やあ、エイル元気してたかい?」



 エイルの目の前には流星の勇者として知られ始めている男が立っていた。


 かつて、一緒に冒険をした冒険者仲間にして、現在、最高ランクの冒険者ギルドのリーダー格の男である。


 エティン。それが彼の名前である。


 剣の腕、魔法の腕、すべてがトップクラスの正に一流の勇者とも言われている。美形で有名である。


 得意魔法が隕石を落とすメテオストライクなのだ。それだけではなく、珍しい重力系の魔法を使うことができる。


 それを使い自由に空を飛び回れるという噂だ。もちろん、エイルほどではないにしても、勇者候補して名が挙がる男だ。


「まあ、元気にしてたというか、元気になったというべきかな」


「まさか、聖女様の犬になっているとはね」


「おかげで、体も元に戻ったんだ。感謝しているぜ」


「見損なったよ」


「いくらでもどぞ」


 エティンがエイルの前に立った。見事なまでの縮地である。


 縮地と言っても、相手の不意を突いて、一気に間合いを詰めて自分の優位な立ち位置を作る戦闘技術だ。


 エイルはそれに努めて冷静に対応した。エティンの鞘から抜いた剣を、エイルは軽く刀で止めていた。その力を使って後ろにも飛んでいた。


「さすがだね」


 エティンはにやりと笑った。


「見事だ。さすが、冒険者ギルド、人気ナンバーワン」


「実力はあの二人にモッテいかれているけどね」


 ガルドルとバルザックのことだろう。あの二人がいるせいでエティンは割と不遇な目にあっているのは知っている。だが、あの二人が圧倒的ともいえるような気がエイルはした。


 その評価とやらも現在エイルは割とうなぎのぼりなのだが・・・


「そうかい」


 エティンはエイルの言葉を聞いて、すぐに離れた。エイルの前でバチっと電気走ったのだ。


「相変わらずだね」


「そうか?不意を突くのは得意ではないぞ」


 それはもっとすごいのがいるのであって、エイルもそれなりにやろうと思えば、やれるだけなのだ。


「そうかい」


「それにいらんしな」


「どういう・・・」


 エティンは目の前にいるはずのエイルの姿を見失った。かわりに周りに閃光が走った。


 エティンは光に包まれた何かに切りつけらたとしかわからなかった。


「う・・・そ」


「これが精霊の契約の力だ」


 エイルは静かに言った。


「見切れるだけ、立派だぞ」


 エティンはそのまま膝を地面につけた。エティンは悔しそうに、だが、嬉しそうに言った。


「そのスピードは反則だよ」


「“光の戦乙女の契約者”ほどじゃないのさ」


「い・・・いらないってのはこういうことか、そんな手を使わなくても・・・」


「そういうことだ」


「く・・・くそ」


 エティンは悔しそうな言葉を言いながら、どこか嬉しそうに倒れて言った。


「ほんとお前はいいやつだよ。俺が強くなったことを喜ぶ奴なんてお前ぐらいだぞ」


 エイルはうれしそうに血だまりで倒れるエティンを見ながら呆れるように言った。



「エイル。エンターテイナーとしては失格ね」


「厳しくね。聖女様」



 エティンに駆け寄る聖女がそう酷評した。


 そんな聖女にエイルは疲れるようなものを感じた。


「あんたもわかってるわよね」


「ちゃんと、忖度はする。大人だし」


「頼んだわよ」


 エイルはあんまり信用のない自分にたいして、ちょっと嫌なものを感じた。


 それも仕方ないかもしれない。精霊を纏っても勝てるかどうかよくわからない連中が勇者ギルドには多い。


 聖女が好きな男もそういう男なのだ。


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