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勇者ギルド in ブリウォーデン勇王国 4


「聖女の従者か・・・勇者の剣の偽物か、それは?」



 そう心で呟いたケイン・アラダードは優秀な若者である。彼は魔術学園の13本の塔の中で最優秀成績を収めた。


 七星より返還された七星を間を置かず得たのは彼が七星派の幹部の息子ということだけではなく、それだけ彼が優秀だったためだ。


 ラプサムなどという男にはこの原始の魔剣とも言われ、精霊を封印した魔剣の価値がわかっていないらしい。わかっていれば、このように多少脅迫された程度で返すような真似などはしないはずだ。


 おそらく、七星の力を引き出すことができず、大したことができないまま返したに違いない。と優秀なケイン・アラダートはそう思っていた。


 そして、そんなケインの前にはネヴィルという男がいた。聖女の従者如きの存在にケインが負けるはずがなかった。


 何故なら、ケインはそれだけ優秀だからだ。


 ただ、気になることがある。七星派が気にしていた魔王派の者中で魔王が封じた剣が勇者の剣という話があった。実はその剣が勇者の剣ではなく、それと似た剣があったのではないかという可能性を感じた。


 そう思えるほど、その魔剣は禍々しい気を出しているような気がした。


「その剣はなんだ?」


 ケインは七星が震えているような気がした。


「秘密」


 ネヴィルはゆっくりと近づきながら、苦笑いしていった。


「まあいい。そんなもの、七星である俺が暴いてやる!」


「ラプサムさんと比べたら大した事なさそうだ。ガルドルさんともな」


 ネヴィルが苦笑いしていった。ケインはその言葉に一瞬で頭に血が上った気がした。


「奴らと一緒にするな!」


 ケインが怒鳴るとネヴィルは肩を竦めて、大剣を抜いてゆっくりと構えた。正眼の構えだ。


「少しはやるようだ。だが、俺には勝てん!」


 ケインはそういうと、同時に戦いの鐘の音が響き渡った。


 ケインはその音が鳴ったと同時に風の刀を抜き、風の刃をぶつけた。


 この効果は割とスタンダードな効果だが、それだけ使い勝手がいいのだ。風の精霊の力を借りての攻撃は威力は低いものの射程、連射性などにおいて非常に便利な力であり、この魔剣を元に多くの似た効果の魔剣が生産された。


 その不可視の刃を大剣で止めて見せる。ケインは舌打ちをすると間合いを詰めようとして、いきなりネヴィルの姿を失った。


 足を踏み出すために、足の方に意識が言った瞬間にネヴィルは魔法を使い姿を消したのだ。


「姿隠しの術?違っ・・・う」


 ネヴィルが上から落ちてきて、大剣を振り下ろしていたが、その剣を風の刀で止める。さらに吹き飛ばすために不可視の刃を使用していた。


 この距離で放てば、ネヴィルも無事ではすまない。


 だが、その一撃をネヴィルは全く吹き飛ぶことはなく、逆にネヴィルが放った風圧で吹き飛ばされそうになった。


 同時に衝撃を覚える。ネヴィルの放った風圧はケインの風の刀の不可視の刃を吹き飛ばしたということだ。七星よりも魔力が高いということになる。


「なんなんだ!」


 ケインは炎の剣を左手で抜き、ネヴィルにぶつける。ネヴィルはそれを一瞥して防御壁を張って防ぐ。


 その間にケインは逃げる様に一歩大きく後退し、距離をとった。


 今のやり取りだけで、ネヴィルはかなりの魔力を持っていることがすぐに分かった。至宝ともいえる七星の魔力を超える力を持っている。


 それがネヴィルの力なのか、魔剣の力なのかはいまいちわからないが、かなりの強さを持っていることには変わりなかった。


「力負けするとはな」


「そもそも、力で押すような武器じゃないぞ。七星は・・・」


 ネヴィルはケインの言葉に呆れるように言った。それを聞いて、ケインはイラっとした気分になった。


「ふざけるな。お前が七星の何を知っている?」


「それは7つをうまく使ってどうこうってもんだろ。まあ、ラプサムさんの方がやっぱ強いな」


「なんだと?」


 ケインはネヴィルの口から出た言葉に激昂した。ラプサムは今大会にも出ているが、ケインはラプサムよりも自分の方が上だと証明したかった。


 ラプサムが天才と呼ばれている。だが、ケインの年下にもラプサムの再来と呼ばれるような天才がいた。


 その男を意識せざるを得なかった。彼がその名を持っているから、持ったからこそ、ケインは七星を握り、自分の力を証明しなければ、いけなかったのだ、


「ふざけるな!」


 ケインはネヴィルに水の楔を投げていた。それをネヴィルは軽くよける。


 水楔が地面に刺さると、そこから水たまりができ、一気に直径5メートルほど円状に広がった。


「これは」


「魔法封じだ!」


 ケインがそういったのを見て、ネヴィルは苦笑いを浮かべた。


 ケインの風の刀が襲ったが、ネヴィルはそれを姿を消すことによって、回避した。


「馬鹿な魔法は使えないはず」


 魔法を無力化する水たまりをネヴィルの足元に広がるように、仕掛けたにもかからず、ネヴィルの魔法が発動に成功した。


 それだけの魔法技術をネヴィルがもっていることになる。どうみて、自分と歳がかわらないのに、かなりの技量がうかがえた。


「お前はいったいなんなんだ!」


 ケインは叫ぶように言った。


「もういいのか?」


 後ろから声がした。ネヴィルが後ろに立っていた。ケインは容赦なく、風の刃を振った。


 だが、そこにはネヴィルはいなかった。


「何?」


「修行が足りねえないねえ」


 ケインは音につられて、そっちの方を向いたが、実は左真横にネヴィルが瞬間移動の魔法を使って移動したのだ。


 ネヴィルは剣を振ると、ケインの体が二つに分かれた。


「惑わされすぎ」


 ネヴィルがいうと血の滴る剣を振って、血を掃う。


 そこに急いでセイラがやってきた。


「ネヴィルやりすぎ」


「まあ、あんまり強くないし、俺が悪いんじゃない」


「まあいいけどね」


 セイラが右手を掲げると、ケインの体が元に戻った。二つに分かれていたそれは元通りになっていた。


 そのセイラの実力に会場にいる人々が驚きの声をあげるほどだった。


「セイラの技術に驚いているな」


「私も修行をしたんだから当然よ。ネヴィルとは違うからね」


「俺も修行したんだが?」


「そういうことにしてあげる。次の相手はわかっているわね」


「不正ね。適当に痛めてやるから安心しろ」


「大丈夫かな」


「まあ、器用な真似はできないだろうが、俺たちの目的は・・・」


「フィンちゃんの優勝」


 二人は顔を合わせてしっかりと頷きあった。


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