友の剣 10
「そういえば、人化ができるといっていたけど。ネヴィル。あの子たちを人化してもらえば?」
セイラが憂いそうに言った。ネヴィルは少し嫌そうな顔になった。
トールを連れて、セイラ一行はサブパーティーであるエイルたちと合流を果たした。
「こいつに任せて大丈夫なのか?」
自分の呼び出した召喚獣を人に任すのはさすがに気が引けるのか、そんなことをネヴィルは口にした。
「信じる者は救われる。そういう説法があるのよ。大丈夫。信じることが力になることがあるんだよ」
「そういうもんかね」
ネヴィルはブラックペガサスとイーオンの二体を呼び出した。
「イケメンを希望」
セイラがうれしそうに言った。トールはサミットとネヴィルをみた。
「イケメンというのが、すぐに浮かばないのだが、こいつらぐらいでいいのか?」
二人を指していった。
「いいんじゃない。ブラペガはネヴィルで、イーオンはサミット寄りで」
「髪の色とかは?」
「指定もできんの?すごいね。そだね、ブラぺガはネヴィルの黒バージョンで、イーオンはサミットの茶バージョンで・・・」
「オーケーオーケー。喜べ、お前らは主の影武者として生きれるように、近い姿に変えてやるからな」
ネヴィルがセイラの注文を聞くと二体にゆっくりと近づいた。
「行くぞ」
ネヴィルが一体に近づいて魔力を発動させた。あたりが光に包まれた。
そこには二人の男が裸でいた。ネヴィルに似た容姿のブラぺガとイーオンが経っていた。二人とも美形になっている。
「いいわ。ちょっと、絡んでみて」
「うんうん」
セイラとフィリナが嬉しそうにされていた。
「おい・・・」
「何をさせようとしている」
ネヴィルとサミットが焦ったようにしていた。これから何が起きるのか、すごくいやな予感がした。
「ちょっと、裸で抱き合ってもらえないかしら」
素直に言うことを聞く召喚獣二体。
「「はぁー」」
とうれしそうにされるお二人がいた。
「俺たちは何を魅せられているんだ」
「あのお嬢たちのことは理解できねえ」
エイルとベネットが抱き合う男を見て、さすがに引いた。美形だからと言っても男同士だ。いい気はしないらしい。
「そういう趣味の野郎もいるらしぞ。歳のいかない少年を・・・」
ベネットの言葉を聞いてエイルは肩を竦めた。
「俺には理解できない世界だ」
「確かに」
年長者組が困ったように言った。
「人の召喚獣に何させてんじゃ」
とうとう、ネヴィルが殴った。
「まあ、見たところこやつらに性の概念はないからのう」
リリィが言った。
「つまり子供ができると!」
「ワンチャン!」
セイラと、すでに謎の語彙力となっているフィリナが歓声に近い声を上げた。
「お前ら仲いいな」
「ああ」
困った幼馴染にまともな二人の幼馴染は呆れた声を出した。
「エイル。俺たちもその対象にならないよな」
「知らん。うちの“聖女”様は変わっているような気がしてきたからな」
「そうか、俺もそんな気がしてきたぞ」
エイルもベネットも別の意味で寒気を覚えた。百戦錬磨に近い冒険者である二人を怖がらせる“腐女子”という存在。
新たに加わった要素にベテランの冒険者たちも戸惑うばかりだった。
「うん。それはわかる」
「アレス様もよくそういう目で見られてますもんね」
「トキア・・・それを君がいちゃあだめ」
「でも、アレスは私のモノだから!」
「抱き着くなよ・・・かわいいな、トキアは・・・」
「いちゃつくな!」
「まあ、主よ。いろいろとがんばるのだ」
「あいつらもよくあんなのと一緒にいるなと、思うぞ」
「腐れ縁という奴だろう」
「腐女子だけに?」
「誰がうまいことを言えと?」
「たまたまだ」
「たまたまか」
「たまたまだ」
「これ以上はやめておこう。主よ」
「そだな」