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友の剣 7




「ゴルゴンが住み着いた?」




 ネヴィルは幻獣召喚という魔法を使いブラックペガサスを召喚した。


 巨大な魚をさばく包丁のようなギザギザの角が生え、カラスのような幅2メーター以上の黒い翼が体の両脇についた黒い高さ2メーターはある馬がそこにいた。


 これに二人でランデブーしてきたのだが、聖女が乗るにはふさわしくない乗り物だった。その隣には獅子の体に巨大な大鷹の翼がついた見たことのない幻獣がいた。


 ネヴィルや勉強をすごくしているセイラすら知らない生き物なので、イーオンと名付けている。イーグルとライオンを掛け合わせた名前だ。


 そこにはお供である二人が乗っていた。


「いやあ、魔王の魔物召喚も便利だな」


 嬉しそうに言って、そのライオンの顔を撫でた。そいつは嬉しそうに目を細めていた。


 何故、もうそんなに仲良さそうにしているのかよくわからなかったが、楽しそうである。


「村人からの話だと山の方から爆音がしばらく続いたらしい」


「爆音?」


 斥候に出ていたものがそんなことを口にした。


 冒険者ギルドで先行部隊として雇った冒険者が、セイラ達が来るなりすぐに報告をした。


 最初にブラックペガサスにビビった様子であったが、乗っているのがセイラ本人やネヴィルであることに気が付くとすぐによってきた。


「火山が噴火でもしたのかとなんども見たが、そこまでのことは起きていなかった」


 冒険者の男が言った。彼はベテランで過去のけがで腕などが利かなくなっていたが、セイラが助けたことによって、その腕が動くようになり、その恩で頼りになる斥候となっていた。


 これはネヴィルがいいだした、ただしくはネヴィルの持っている魔剣がそういう男を助けた方が自分たちのためになるといった。


 彼の名前はエイル。けがをしながらも、冒険者として生き行くすべを知らず愚直にそれを続けてきた男だ。


 エイルが同じような身寄りのものを何人か集め、セイラにけがを治してもらうことによって、斥候部隊として役に立っていた。


 セイラは“聖女”としての身分があり、大手を振って動けない。そのため、隠密能力の高いブラックペガサスにのって移動しているのだ。


 よくわからないが、ブラックペガサスにはそういう能力があるらしい。ネヴィル曰く、背後から奇襲するためにこういう力を得たのだろうととのことだった。


 ちなみにブラックペガサスは肉食寄りの雑食らしい。生肉は食えないが、焼き肉は食えるらしい。


 エイル達が集めた報告を聞きながら、セイラは考え込んた。


「特殊な魔法を使ったのかしら。爆発系の魔法?でも、錬金術師でそんなことができる人間なんて知らないわ」


「たまに火薬というものがみつかることがある。どうやって使うのかわからないが、それに火をつけると爆発する。薬師の一部でそうしたものを使うものがいる」


 エイルが静かに言った。


「エイルはそれだと思っているの?」


「おそらくな。信じられないが、その錬金術はわざわざ“聖女”様達が武器の錬成を頼むくらいの腕だ。それを作れてもおかしくはない」


「だが、爆発するだけの粉があったとして、どうやってそれを使うかが問題よね」


「魔王の知識にそういうのはないのか?」


「“銃”というものがある。おそらく、それに近いもの可能性がある」


「“銃”か」


「ああ、火薬というものを使って鉄の球を飛ばすものらしい。クロスボウなどに近いものらしい」


「なるほどな。おそらく、鉄の球を錬金術で作るのは難しだろうが、どうやってそんなものでドラゴンと対峙していたのか、気になるところだ」


 エイルはそう答えると他の仲間たちを見た。ほかの仲間たちも頷いた。


 ここまでの結論は彼らの中でも出たように思えた。彼らは博識である。火薬に気が付いたり、それをどのようなものとして使うのかまで理解したようだ。


「しかし、その武器は大きな獣に使うようなものには思えないが・・・単純に大きくすればいいのか」


「それで火薬をつぎ込み、岩をぶつける」


 そういうとエイルたちは頷いた。


「それで追っ払ったが、こんどはゴルゴンが出てきて・・・」


「その可能性もあるわね」


 セイラが困ったように言った。


「一先ず、先の村で休みましょう。この子たちはどうする?」


「人型とかにしてくれれば、いいんだが」


「そんな便利な魔法はないぞ。普通にほっとくと駆逐されそうなんだよな」


「では我が見てましょう」


 エイルが言った。この二匹の獣が大事なのだろうと察したらしい。


「その代わり、我らは村に残って情報を集めますので、“聖女”様方には・・・」


「お願いします」


 セイラが頭を下げて言った。すると、エイルとの仲間のベネットがいう。


「そうやすやす、大将が頭を下げちゃあいけえぜ。あんたらは俺らの大将だ。対象の馬番は誇りなんだぜ」


 ベネットが言った。


「まあ、その馬番も命がけのような気がしますが・・・」


 エイルは困ったように言った。ベネットもガハハと豪快に笑って見せた。気のいい人たちだ。


「じゃあ、頼みましたよ」


「任せてください」


 エイルが嬉しそうにうなづくと、他のメンバーも笑顔で頷いた。


 非常に心強いメンバーだった。






「なんだそれ」


「“聖女”親衛隊のみなさんのことを知らんのかアレス」


「それは初めて知った」


「心強そうなメンバーですね。英雄譚が作れそうな」


「あれ?ギルドに招待したって聞いたが・・・」


「まあ、“聖女”の方は別口だから・・・」


「アレス気をしっかり・・・」


「だよね。そうだよね。ギルドだもんね。そういう子飼いいるよね」


「アレスはそういうのあまり好きそうでないので・・・作りませんでしたけど」


「しゃあない。お前らは見世物になってないといけないのだから・・・」


「なんか、向こうの方がしっかりしてるぽい」


「これが貴族と平民の差だ。諦めろアレス」


「ここでも格差社会!」 


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