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勇者ギルド in 魔術学園都市 43




「ようやく、試作品が完成したぜ」




「僕でいいのかい?」


 アレスはトキアを連れてとあるカフェに来ていた。アレスの前には一人の若い男が一人の少女を連れていた。


「かまわない。そいつはブラックドラゴンの鱗とゴーゴンの蛇、白鯨の髭からできた剣だ」


 男は嬉しそうに言った。トールだ。


「これで“神殺しの剣”のヒントはできたかい?」


「まあな。それにはかなり強いアイテムがいる。“王竜の鱗”はやっぱ必須だろうな」


「黒竜の鱗では足りないと?」


「それにあんたを慕う命がほしい」


「命か」


「命か」


「命だ」


 トールは静かに言った。


「トキアを犠牲にはできない」


「子供でもいいんだ。生きている個体がベストなんだが、死んでいてもなんとかできなくはないが・・・」


 すると、トキアがそっと怪しい液体に漬けになっている赤ん坊を出した。


「私たちの子供です」


「これは・・・」


 へその緒も綺麗に残されている。


「この子を使ってください。この子が世界の希望となるなら、ぜひ使ってください。これは元王族としての私の誇りであり、この子がこんなことになってしまったことに理由が欲しいです」


 トキアが愛しそうに言った。


「わかった。まだ、持っていてくれ。これは相当大事なものだろう。あんたらにとって・・・」


 トールは二人を見て言った。


「時が来たら、この子が生まれ、死んだ意味を俺がつける。俺が“神殺しの剣”にしてやる」


「お願いします」


 トキアが頭を下げた。それにアレスも続く。


 トールはそれ見て苦笑いをした。


「お前が夫婦とは、女にしか見えなかったあの頃とは全然違うな」


「十年近くなれば、成長するよ」


「確かに」


「そういうお前だって、女の子を連れているよ」


 アレスがいうとトールの隣に座る少女を見た。随分とかわいらしい少女だ。何故か、自分と似ているような気もしなくない。


「まあ、こいつはドラゴンだ。俺がドラゴンから女にしてやった」


「そうそう、我は主に女にさせられたのだ」


「うん、冗談でもここではそういう話はやめようか」


「元王族の女性の前ですよ」


 アレスとトキアはトールと元ドラゴンの少女の反応に困ったように答えた。


「すまない、すまない」


 トールは困ったように言った。


「この剣ができるまで随分といろいろとあったようだね」


「まあな」


「あれはなんじゃったか」


「ああ、くそみたいな勇者パーティーに捨てられて、お前とタイマンを張ることになったところじゃね」


「おお、そうじゃった。あれが最初だったな」


 二人は仲良くそんな風に話した。


「随分としたくなったんだね」


「まあ、一か月ちょいとはいえ、いろいろと冒険したからな」


「そうじゃの。素材集めに奔走することになったからのう。“聖女”のパーティーと一緒に」


「そういえば、“聖女”のパーティーも来ているんだっけ?」


「あのリア充どもは来てないぞ。俺たちだけできた」


「わらわの上に主がのって・・・」


 トールが言うとドラゴンの少女は頬を染めて言った。


「違うだろ。お前の能力できただけだろ」


「能力とはいえ、元はドラゴンの背にのってきたのじゃから一緒じゃ」


 それをきいてアレスが首を傾げた。


「その姿でドラゴンの能力を使えるのか?」


「ああ、そういう力に設定した」


 トールがさらりといった。トキアとアレスは顔を見わせた。


「設定ってどんな力だよ」


「俺は俺を心の底から信じる相手に能力や身体を変化させることができるようになった。俺の錬金術を極めたからできる技だな」


「なんだそれ」


 アレスはさり気にとんでもないことを言ったことに気が付いた。


 というか、この少女はこの見た目でドラゴンの能力を持つって、しかも、強力なブラックドラゴンの力だ。


 とんでもない能力にしか思えなかった。


「お前、とんでもないことになってないか?」


「アレス・・・プライバシーがとんでもないことになっているお前には言われたくない」


 トールは思わず言った。隣の少女も頷いた。


「俺はいいんだよ」


「そうです」


 それを聞いて、少女が嬉しそうに言った。


「チートというやつじゃ。どっかの魔王がよくゆっていたぞ」


「何それ?」


「しらん」


「言っててしらんのかよ」


 アレスが突っ込みを入れたが、少女はとぼけたことを言ったので、トールが突っ込みを入れた。


「まあ、主のチート話を我がお前ら、不幸な夫婦にしてやろう。素晴らしい我と主の英雄譚を・・・」


「聞かないといけないようですよ」


「正直あまり興味がないけど、どうしてこんなことになっているのかを知りたければ。聞くしかないらしい」


「彼らの実力を知るうえで大切そうですしね」


 アレス夫婦は納得しきれてないが、聞く姿勢にはなっていた。明らかに好きこんで聞いている空気はそこにはなかった。




「そうかそうか、では用意ができたので、我が話そう。心して聞け、お前ら!」




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