勇者ギルド in 魔術学園都市 37
「俺はこの町を出るつもりだ」
シドは自分の先生に向かっていった。アッシドはふうと息をつくとシドに向かって返す。
「もうすぐで一年か」
「はい。友人もできましたし、力試しもできました。ここでの経験が良い経験になると思います」
「勇者ギルドに加わるつもりか?」
「できれば、そのつもりです」
「そうか・・・意味には期待をしていた」
「まあ、魔王ですから」
「ということは本当に魔王に?」
「前世の知識が使える魔法の方法を得ましたから・・・」
「そこから先はここ以外でないとできないことか?」
「・・・ここでもできると思います。けど、俺は横に立ちたい人間がいるのです」
「横?君は自分を魔王と言っておきながら、それでも横に立ちたいという人間がいるというのかね」
「はい」
「それは何者かね」
「勇者です。彼女はなり立てですが・・・」
「彼女と君は出会って間もないはずだが?」
「運命の人に出会ったのに時間などいるのですか?」
アッシドはシドの思わぬ言葉に一瞬息をのんだ。
「意外とロマンチストなのだな」
「かもしれません。ただ、前世の記憶でどうしても落としたかった相手です。その感想は今も変わりません」
「なるほどな」
アッシドはため息をついた。
「シド君。なぜ、私が君をこの学校に推薦したのかわかるかい?」
「いえ」
「私もあの男が求める魔王というものが知りたかったのだよ。何故、彼をそこまで狂わせるのか、僕にわからなかった」
「私にも理解できません。そもそも、魔王はたった一人ではなく、年に何人も召喚されることもありましたから」
「・・・そうなのか?意外だな」
「前世の記憶だと魔王を狩りまくっていた勇者がいましたから・・・」
それを聞いてアッシドはため息をついた。
「召喚されるのか?」
「はい。魔王は何人も召喚されています。制限は7人です。それに何の意味があるのかわかりませんが、7人までが同時に存在できる魔王の数です」
「君はその数に入っているのか?」
「入っていないと思います。魔王の力はないですから・・・その力を補うのでかなりの力が必要ですから、おそらく魔王というシステムは・・・」
「人数がかけるごとに召喚される。トリガーが魔王が倒されたこと」
「はい」
「つまり、いくら魔王を倒しても魔王が次から次にでてくるということか」
「そういうことになります」
シドの報告を聞いてアッシドは頭を抱えるそぶりを見せた。
「そのことを勇者たちは知っているのか?」
「わかりません。直接聞いたことはないですから・・・」
「現況を倒すべきだと」
「はい。元凶はおそらく魔族が支配している地域に潜んでいる気がします」
「潜んでいるのか。他にそのものがいそうな場所がないのか?」
「わかりません。私の記憶は十年以上も前の記憶です」
「空を掴むような話か・・・」
アッシドは再び重い息をついた。これは思ったよりも重大な問題になってきていた。
「故に人手が必要になると思います。先生の方でもご協力をお願いします」
「わかった」
アッシドはシドの言葉にうなづいた。
「君が勇者ギルドに入ることを願うよ。シド」
「はい。任せてください」
シドは笑顔で答えた。