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勇者ギルド in 魔術学園都市 27




「くそったれ!」




 シドは悔しそうに壁に拳をぶつけて言った。


 それを見て友人レンは苦笑いのようなものを浮かべた。


「君の二重障壁も突破するとはね」


 レンも同じようにミラクに負けたものだ。しかも、レンの場合は初手でいきなり強力なフォースを打たれ、魔法障壁を張るものをそれを貫通してダメージを当ててきたのだ。


 あれを初手でよけることは不可能に近い。


「しかも、二重をぶつけたのにそれ防ぐなんてな」


 シドは悔しそうに言った。


 シドもその試合を見て、何層に張った衝撃のようなものだと予想して、魔法障壁を張ったのだが、それもぶち抜かれ、その可能性を考慮していた分、ぎりぎりでよけることができた。


 レンが前の試合でその力を見なければ、かわせなかっただろう一撃だった。


 何とか躱して複数の衝撃波を連続で放ったが、それもあっさり防がれていた。


「ありゃなんだ。なんで、俺の魔法が破れたんだ?」


「おそらくだけど、聖拳技の応用のような気がする」


「応用?」


「おそらく、大気から魔力を吸い込むように、相手の魔法から直接吸い込んでいるんだと思う。だから、シドの二重障壁も防げたんだと思う」


「なんだそれ?つまり、俺の魔法を吸収しちまうような魔法があの壁に仕込んであったことか?」


「みたいだね。君の目でそれを確認できたかい?」


「できたら、二重とかしてねえよ。強化されるとわかってかけるのはナンセンスすぎるだろ?」


「そうだね。じゃあ、見えない何かが仕掛けてあったと考えるべきだね」


「見えない何か?」


「そうだ。見えない何かが力を吸い取ったと考えるべきだろうね」


「そんな魔法。聞いたこともねえが・・・」


「魔法じゃないとしたら?」


「はあ?」


「例えば、魔力を吸収できる空間ができるとしたら・・・」


「バカな。そんな便利なもん人間にできるのかよ」


「じゃあ、聞くけど、聖拳技使いの魔力はどこからくるんだっけ?」


「空だな」


「それをより濃く効率よくできるとしたら?」


「そんな夢物語みたいなものができるのか?」


「ミラクができたんだよ。彼女の力に近いものの可能性が高い。そして、その能力は聖拳技に類する能力だ」


「そうだな」


「これにはおそらく、そこにそれが存在するというイメージ力とそれを維持する集中力が必要になるはず」


「そんなの難しくね」


 そこにソレが存在するというかのせいにかけ、それを魔力を当てて維持させるということだろう。


 確かに魔法というのはあり得ないものを生み出すものがほとんどなのだが、それをどういう考えで存在すると思ったのか、最初に考えた奴は天才に近い。


 魔力にマイナスの概念を生み出したようなものである。


「おそらく、勇者パーティーはそうしたものを訓練するための方法を知っているに違いない」


「パールには話しておく必要はあるか・・・」


「そうだな。それにシド。そして、それは君に足りなかった魔力を補完する方法にならないか?」


「・・・・・なるほどな」


 シドはニヤッと笑った。今まで自力が足りなくて使うことが不可能な魔法を知っていた。魔王ゆえに知っていたが、その点を補完することができなかった。


 だが、それができれば・・・


「イメージと集中力か・・・」


 シドは静かにいうと口元を釣り上げた。


「自分ではできないと思っていたことがこんなことで出来てしまうとは・・・」


「君が魔王であることが証明できるかもよ」


「そうだな」


 シドはミラクとの戦いをイメージし、何かを掴もうとしていた。


 それを見て、レンは友達であるパールに忠告をしに行くつもりだった。





 おもしろくなる。





 レンの勘が楽しそうにそう告げていた。

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