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勇者ギルド in 魔術学園都市 20




「魔術大会が終わるまで、この町に滞在する予定だ」




 アレスが静かに言った。その目には何か黒いものがある。


「トキアと連絡が取れなくて、不快な感じなっているんだろうな」


「共感能力で応じないとなると、厄介なことになってそうですね」


「トキアの複製体がいたということはそういうことになるかもね」


 アレスがあまりいい表情ではない感じで言った。いつもの穏やかな様子はそこにはない。


 失いかけたものを手に入れ、また、失うかもしれないという不安がアレスにあったのだ。


「王竜の方には大国には変化ないが、確かにトキアの居場所がわからないと言っている。眷属どもにも聞いては見るがわからないと・・・」


「転移の魔法で攫われたかもな」


 メディシン卿が言った。


「魔王軍の仕業といったところでしょうか?」


「その可能性はあるだろう。だが、それにしては妙だ。やつらなら、磔などにして悲惨な目に合わせるはず」


「それを行っていない」


「それに“泉の乙女”の力があれば、大抵のことは乗り切れる。力が使えないということは意識を失っているが、死んではない」


「そうですね。死んでいたら、共感能力が切れてしまいますからね」


 アレスは困ったように言った。


「死んでいるだけなら、私が何とかできるけど・・・」


 レミアが少し悲しそうにしていた。


「その魂ごと変化があったらどうしようもない」


「それを受けている可能性もあるな」


 メディシン卿は冷たく言った。レミアもそれにうなづく。


「まあ、いずれにせよ。トキアを助けるのが先決だな。この町にいる可能性があると?」


「僕は思っている」


 アレスが言った。


「なるほどね」


 フェミンは嬉しそうにした。


「私のかわいい子達が探しているけど、そういう場所があったとは・・・そういえば、その子達が入り込めない場所があったわ」


「そこにいる可能性があるな」


「そこに行くと消えちゃうらしい」


 フェミンが言った。


「精霊封じの呪いがかかった場所か?」


「ああ、そこに思い当たる場所がないわけじゃない」


 それまで話を聞いていたラプサムが口を開けた。


「それは七星が封じられた居場所であり、同時に七星が生まれた場所だ」


「そんなところあるのか?」


「ああ、七星は特別に作られた武器達だからな。それを研究して、今の魔剣が作られている」


 ラプサムはのんびりといった。


「確かにあそこなら、トキアの嬢ちゃんがいて、力が使えないこともわかる」


「そうなのか」


 少し希望が生まれたので、アレスの表情が良くなる。


「気になるのはそんなところに嬢ちゃんを捕まえて何をする気かってことだ」


 ラプサムは困ったように言った。


 脇にいる同じく魔術学園都市出の二人も困った表情を作っていた。


「トキアにようがあるというよりは俺にようがあるということだろうな」


 アレスは真剣な顔になって言った。


「もしかしたら、勇者の剣をよこせとか言われるかもよ」


「そうか・・・」


 アレスはそういうと鼻で笑った。


「秘策がある。俺にとって、この剣よりも勇者の地位よりもトキアが大事だ」


 アレスが言った。


「男だね」


「その時は二人でのんびり冒険者をやるよ。精霊の力を借りながら・・・」


 アレスは苦笑いをしていった。勇者業を排していいと思っているらしい。


「おいおい、お前さんを俺が逃がすとでも?」


 ラプサムが言った。


「お前が俺たちの対象だ。勇者じゃなくてもそれは同じ。まあ、トキアの一人や二人は入っても俺らなら超余裕で守れる」


 ラプサムは両脇にいる二人をしっかりと抱きしめていった。


「だよな」


「もち」


「うん」


 俺らとはどうやらギルドメンバーだけではなく、自分たちのことを指していたらしい。


「まあ、今更、自分を師と呼ぶ子を見捨てるのもしゃくですからね」


 メディシン卿ものんびりといった。


「おいおい、ダチを見捨てるわけないだろう。それにトキアも俺の従妹だしな」


「あたしはなんでもいいけどね」


 フェミンは暢気に言った。別に彼女も勇者ギルドだからついてくるなんてつもりはないらしい。


「私たちは・・・難しいね」


「でも、ミルクはがんばる」


 ピルクもミルクもついてくる意思はあるらしい。


「まあ、所持者が変わろうが、なんだろうが、勇者はお前だ。そのパートナーはトキアってことだろ?」


「ラプサムさん」


「ついでにいい武器を友人とやらに作ってもらえば、万々歳だろ?」


 ラプサムがウインクしていうと、勇者の剣がチカチカと光りだした。


 私も一緒だといいたげであるが・・・


「そうですね。あいつ何をしているんだろう」


「生きてるんだろうか?」


「まあ、ピンチを何とか切り抜けて、生きているようですし、きっと大丈夫でしょう」


 アレスがのんびりといった。その目は何か懐かしむような様子が見られた。


「そういえば、会えたんだっけ?」


「はい。聖都で」


 レミアの質問にアレスが元気よく答えた。


「一緒に女の子がいましたが・・・・まあ、そういう関係には見えませんでしたね」


「おもしろいなそれ」


 アレスの言葉にラプサムが興味ありげに言った。


「いずれにせよ。俺は・・・」


 アレスは続けた言葉に全員がうなづいた。

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