勇者ギルド in 魔術学園都市 15
「へえ、俺に挑むのか・・・6つ子ども」
ヘレンとレミアを侍られているラプサムは挑発をするように言った。
「「そうだ」」
6人の同じ顔を持つ男が同時に言うとラプサムに近づこうとして、それは足を止めた。
「うふ」
レミアが静かに笑った。
「貴様!」
一人がレミアをにらむように言った。彼女が邪魔したことに気が付いたらしい。
「甘いわよ」
「・・・・・・」
ヘレンもそれに合わせて頷いた。するとその男たちの体に金色の鎖が一気にまとわりついた。
「「なに?」」
それらは驚きの声を上げた。
「終わりだよ」
ラプサムがのんびりとつぶやいた。同時に6人の首が飛んだ。
それを見て、驚きの表情をラプサムたちは浮かべた。それは首を切ったにも関わらず、そこには赤ではなく、黒い肉のようなものが見えた。
そこから出血のようなものも見られなかった。
「魔法生物か」
「フレッシュゴーレムに近い存在ね」
ラプサムの呟きに、レミアが続いた。
「魔術で作られた人間・・・のようなもの」
ヘレンが苦々しく言った。
「魔術ね」
ラプサムはそういうとその怪物達の体が黒い炎で燃やされ始める。
「あら、黒炎使えるようになったの?」
「まあな」
レミアが興味深そうに言った黒炎とは、ラプサムの弟分であり、ライバルのガルドルが使用した魔法である。
「炎身はできんが、こっちはできた」
ラプサムは何でもないように言った。黒炎は魔法を食らう炎である。それが黒色しているのは光の魔力すら飲み込むからだ。
魔法陣などもこれで消すことはできる。対処魔法だ。
「纏うことはできるの?」
「おんなじことをしていたら、元々、魔力量に圧倒的な差があるんだ。いくらやっても追いつかない。俺はさらにその先を見ているつもりだ」
「それは初めて聞く話ね。さすが天才のサムくん」
「天才とは聞いてことがあるが、天才のサム君は聞いたことはない」
「私がつけた」
「対抗して、大天才サム太郎ってはのは?」
「なんだそれ」
ヘレンの言葉に思わず突っ込みを入れた。
「ボケと癒し担当は渡さない!」
「ナニソレ」
ラプサムはどっと疲れるものを感じながら言った。
それから黒い炭になったそこにいる魔法生物たちを見まわして・・・
「それにしても同じ顔が6つ。こいつらどんだけいるんだよ」
ラプサムはすごくいやそうに言った。一人でもたちが悪いのに、これが何人もいるのはさすがに嫌だ。
「集団で襲ってきたら趣味が悪いわね」
「動き・・・シンクロ」
三人は想像しただけで震えた。ひどい絵が浮かんでいたのだ。
「たく、こんな悪趣味なこと、言ったどこの阿保が仕込んだんだ」
「うんうん」
ラプサムの言葉にヘレンとレミアが一緒にうなづいていた。
「つうか、これの調査したほうがいいのか?」
「どうせくるでしょ」
「・・・まあな」
ラプサムは苦笑いをしていった。いや予感というものは当たるものである。
今度は数を引き連れてやってくるかもしれない。ただでさえ、面倒なのに、こんなのが数で押し寄せてくるのは・・・
「だりい」
ラプサムはめんどくさそうに言った。
その腕はずっと、レミアとヘレンの肩にかかったままだった。それを動かした様子は見られなかった。