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改元ネタのひとつ

「新元号は『夾叉』であります。」



 たった今官房長官の口から発された単語を、その場にいた記者達は漢字に変換することができなかった。しかし彼らは、官房長官が掲げた色紙を見てどのような漢字なのかを理解することができた。



 しかしそれは、彼らの困惑を抑えるばかりか、かえって深める結果しか生まなかった。記者会見場には数秒の沈黙が訪れたが、官房長官は全く動じず壁の一点を見つめ続けていた。



 その後ほとんどの記者は我に返ったが、その単語の意味を知らない者もいた。いや、知らない者が大半であった。彼らはその単語の意味を調べるべくスマートフォンを取り出そうとしたが、各々が果たすべき使命を思い出し、慌ただしくタイピングを始めた。



 一部の記者は、大半の者が動き始めた瞬間よりさらに数秒経ってから動き出していた。彼らはその単語の意味を知っているからだった。どう考えても元号に相応しくない単語を聞き、新元号を決定した首相の正気と自分の耳を疑いながら、彼らもまた再び仕事を行い始めた。



 数十秒ののち、意味を解さない者、解する者どちらもが質疑応答で発言をすべく顔を上げた。

しかし彼らの視界に入ってきたのは見慣れた記者会見場などではなかった。



 一部の人間はカメラではなく手すりに固定された巨大な双眼鏡が目の前にあったし、また一部の人間は圧倒的な破壊力をもたらすであろう片方が紡錘形になった円筒を5人がかりで持っていた。



 また、白い制服を着た男性たちが立つ場所に「来てしまった」者は、焦燥を感じる絶叫を聞いた。







「本艦、夾叉されました!!」

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