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感情複合バッドステータス28

「大丈夫?」

 おや、渡る世間は鬼ばかりだと悲観したときに声が掛かった。地獄も存外捨てたものじゃないな、希望を胸に僕は停止し声の主の識別を開始する。

 ――が、僕に寄生しているありすの体重が背中に負荷をかけ識別に支障をきたした。再び重心を失った僕は前のめりに転倒しそうになる。視界にリノリウムが漸近し、そこでどうしてか腕を握り潰されたような錯覚と激痛。そして、自ずと咽頭は絶叫をひりだそうと収縮を始めた。なんて冷静に状況を描写している場合じゃなさそうださっき喉からどろりと鉄の味が競りあがった気がしたけれどもちろん気のせいだよな!?

「ぎぃぃぃぃぃぃぃっ!? かはっ――」圧縮と開放を一気に味わい行き場を失っていた音が空気に触れた。

 思考が現実との接続を試み、矢継ぎ早に腕の所在(ありか)を眼球が求める。腕は綺麗にその形を保っている。そのままパックして出荷しても恥ずかしくないかな。でも、タグに加工品とでも表記したほうが良さそうだ。赤色の傷跡を指でなぞったあと、半透明の爛れた皮膚を毟り取る。

「そういう夢枕ありすは斬新かも」

 その女の子の声で顔を上げる。身体から乖離した僕の皮を指で持て余しながら。

 それで、気づいたんだけど、どうやら僕は尻餅をついているらしかった。

 ジャージ姿の女の子が僕を見下(みお)ろしている。

 いや、見下(みくだ)しているといったほうが正しいかな?

 まあ僕のことはとりあえず置いておいて。

 ――でっかいヘッドフォンつけたそこの君、一体だ〜あ〜れ?

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