感情複合バッドステータス1
夏休みになんかあった!
夏休みになんかあった!
夏休みになんかあった!
あいつを見かけたときに、あたしを抑止していた理性はぶっ飛んだ。
鏡に向かって、できるだけ優しく微笑んでみる――目の周りの隈が苛つく。
思い出せない思い出がエスプレッソに浮かぶ泡状の牛乳にみたいになって、すっかりカプチーノ気分で気取っている――正直、いけ好かない。
とにかく、あいつに会ってカプチーノを掻き混ぜさせちゃわないと。
あいつを好きになるのが止まんないのをどうにかさせちゃわないと。
どっちか早く決めちゃわないと――脚はシンメトリーで黒と白がアシンメトリーになっちゃったままだし。
ところで、あいつ……。
白と黒――どっちが好みなの?
(鏡の前のありす)
携帯電話のアラームが起床を推奨していた。
鈍痛に苛まれる頭を抱え、上半身をベッドから引き剥がす。
キッチンに向かうため、脚をフローリングに馴染ませる。
それからしばらくして部屋を後にする。スーパーの袋がリビングに置かれたままなのを思い出した。
リビングに入る。揃姉がスーツ姿のままソファにうつ伏していた。テーブルに置いてある袋をそっと手に取りリビングを後にする。
廊下に出ると僕の部屋から音が鳴っていた――ああっ、忙しいったら!
足早に部屋へと戻り、電子音を空気に昇華させ続けている携帯電話のサブディスプレイを見る。
変態外科医からだった。