表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナニカに気を取られて死んでしまったけど、凶悪スキルを手に入れたので、新しい人生は楽しく生きたい。  作者: yatacrow


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/27

第2話 不思議の森の過保護な仲間たち


ぴよぴよ♪ ちちちち♪


-まぶしっ、けどよく見えない…すやぁ



ぶもっぶもっ♪ どすどすどすどすっ!


-…あれ、寝てたのか? 振動すげぇけど……すやぁ



がうっ? ぐるるぅ♪ くぅ~ん


-なんだろ、だいぶん周りが見えるようになってきた。

  どうしよ、人外生物に囲まれてる。



あうぅ、あうぅ えっ?、これ俺の声にしては可愛くね?

そして…おててっ! あっ!


「なんじゃあ、お前ら、坊やが起きたではないかっ! 向こう行け、しっしっ!」



しわくちゃババァがあらわれた! どうする?


こうげき じゅもん にげる どうぐ



-えっと、『にげる』で。



○○○○はにげだした。


しかし なにも おこらなかった!

  


-おいぃっ!!


「おやおや、バタバタしてどうしたんだい? よちよち」


-婆さん顔が近いっ! 『じゅもん』おぼえてねぇっ! 

 じゃあ、『どうぐ』もねぇっ!! 『こうげき』は?



○○○○はにっこりわらった。


しゅういが ほっこりした くうきにつつまれた!


「っ!! まぶしいぞぃ! 可愛すぎじゃよ、坊やぁ!!」


『『『『『『ぴよ~ ぶもふっ! がるん♪ ごどぅうん!! ぬっちょん』』』』』


-待てっ! 想像つかない鳴き声あったわっ!!

 なにこの状況…ぐぅ~、あっお腹すいた。


「なんじゃ、坊やはお腹すいたのか。 仕方ないのぅ…」


しわくちゃババァが頬をあからめた! どうする?


-どうする?じゃねぇよっ!、『にげる』『にげる』『にげる』……

 おいぃ婆さんっ、自分の胸をまさぐって何を喚び出そうとしているっ!?



「ほお~れ、ミルクじゃよぅ♪」


-哺乳類かいっ!! あむっちゅうちゅう…。 人肌で飲みやすい。

 また眠くなってきた……すやぁ


「ミルク飲みながら眠るとか、坊やは器用じゃのぅ。 ゲップじゃ、とーんとん」


けぷっ! はい、よくできました~ふぇっふぇっと、俺はまた駕籠の中に戻された。




『それはさておき~♪』


時々、妖精っぽいのが前を横切るのだが、婆さんに聞くと害はないらしい。



それから毎日、婆さんとの赤ちゃんプレイが続いた。

まぁ、赤ちゃんなんだけども。


どうやら俺は前世の記憶が残ったまんま、生まれ変わったみたいだ。


両親がいるのかも、なんで婆さんに育てられてるのかも、わからないことだらけだ。


あっ、俺の名前は、レイオットらしい。


トイレの神様をなんとなく思い出した。




『それはさておぎっ!!』


がしっ!両手で捕まえてみた。

きぃきぃ言ってもがいている。

よく見ると、5cmくらいの棒人間の背中に蝶々の羽が生えており、顔の部分をじっと見つめると、口ヒゲがオシャレなオジサンの顔が涙目になっていた。


「ばぁーちゃーん、変な虫つかまえたーっ!!」


婆さんに見せるとめっちゃ叱られた。

ごめんなさいと謝って、妖精を逃がした。



『それはさておき~♪』


3才になった。


ここまでで分かったことをまとめておく。


場所:不思議の森 奥地(婆さんが結界で外敵から守ってくれているらしい。

   知らずに森に入ると迷ってしまうとか。)

   婆さんと生活している家、牛小屋、オーいちさんの畑、豪華な共同トイレが

   ある。


トイレ:温水洗浄ができるノズル、ちょうどいい便座、日本の洋式トイレよりもハ

    イテクで、洗浄スライムが中に入っていてナニカを食べてくれるファンタ

    ジー要素あり。


婆さん:動物?と共存している口が悪いがどこか懐かしい婆さん

    人間は俺と婆さんの二人だけ。

    魔法陣で結界を張ったり、何かごにょごにょ言うと魔法使える。

    森の魔女とか?

    もう少し大きくなったら教えてくれるらしい。


スザク:燃えるような赤い羽根に身を包まれた雛鳥。

    ぴよぴよ言ってるけど、俺の知ってる知識だったら四神?

    火を司るカッコいい鳥だったらいいな。

    雛鳥といっても俺より大きいので、背中に乗せてもらって空の散歩をした。

    見渡す限り森だった。


オーいち:豚の顔がついた大きな人、オークらしい。

     力持ちで、高い高ーい、って高いわっ!!

     齢二才で、Gを感じた。

     がさつで、不器用、だけど気のいい奴。


カムイ:体長3メートル?、青い毛と白い毛のでっかい狼。

    俺がびびって泣いてしまったせいで、しばらくは遠巻きにして見てた。 

    でも、もふもふを触らせてもらってからは仲良し。

    最近、もふもふの中で寝るのがマイブームだ。


ゴドゥウン:壁みたいなゴーレム? ごどぅうん!!しか言わない。

      婆さんが結界機能がどうって言ってたから、なんか関係あるかも?


以上っ!!



-って分かるかぁっ!!!


うがぁーっと頭をがしがし掻いた。


「坊や、どうかしたか?」

おっと、婆さんが乳絞りから戻ってきた。


「ばあちゃん、ごどぅうんごどぅうん!!」

そう、まだ俺はうまく発音ができない。


「ゴドゥウンか?そっかあ、坊やはゴドゥウンが好きなんじゃのぅ。 ふぇっふぇっ。」

それは、よかったのぅと俺の頭を優しく撫でて、えっちらおっちらと桶を担いで家に入っていった。


ちらっとゴドゥウンを見ると、表情はないが嬉しそうな気がした。



俺については、ナニカのコントロールが出来ているようだ。


前世では、物心ついた時には無差別ナニカに俺は襲われていたはずだけど、今のところそれがない。


自分のタイミングで、自由自在に処理ができている。


トイレの神様、お願いを聞いてくださってありがとうございます。



とりあえず時間はいっぱいあるので、毎日、トイレの掃除(自分が希望した)、スザクの背中に乗せてもらって結界内の森めぐり、カムイと追っかけっこ、オーいちさんの畑仕事を手伝ったり(雑草抜き)とまったり過ごした。


ゴドゥウンは寄りかかると喜ぶので休憩のときはだいたい側にいる。



『それはさておき~♪』


8才になった。

だいぶんヤンチャして婆さんに叱られることが増えてきた。

だってヒマなんだもん。

昔はこんなに悪戯好きだったっけ、そもそも元38才とは思えない行動を取ることが多い。

精神年齢が子どもに引っ張られている感じがする。


「ばあちゃん、おはよー」


「おや、おはよう。 レイオットや、こっちにおいで。」


婆さんが朝ごはん(今日は木の実をつぶしたパンケーキ風の食べ物とイチゴジャム、ミルク)を用意してくれた。


「食べながらでいいから話をお聞き。」


「うん、いただきまーす。」


 相変わらず素朴な味ではあるが、美味しい。


「ふぇっふぇっふぇっ、お前も今日で8才じゃ、今でもヤンチャだが…、これから更に好奇心が出てくるじゃろ?」


にやりと悪そうな笑顔の婆さんだ。


「朝ごはんを食べたら、この森のことを教えようと思う。」


マジかっ! やったぜ。 急いで食べよう。 もがっ! ぐっ息がぁ。


「こりゃ、逃げやせんからゆっくり食べるのじゃ。」


婆さんが背中を叩いてくれて助かった。


「ごほっごほっ、ありがとう、ばあちゃん。」



『それはさておき~♪』


この妖精、気になる。でも、害もないし、婆さんに叱られるのも嫌だからいらんことはしない。


「ふう、ごちそう様でした。 ばあちゃん、この森のこと、教えてー。」

食べたし、教えてくれー、はよ、はよ!!


「なんじゃ、せっかちじゃのぅ。 ちゃんと噛んで食べないとダメじゃぞ。」


まあ、ついておいで。と手を引かれて着いた場所は、俺が毎日掃除している共同トイレだった。


「ばあちゃん、介護したほうがいいの?」


「違うわいっ! 誰が介護が必要と言ったか、わしゃ、まだまだ若いんじゃっ!!」


コンっと、杖で軽く叩かれた。 杖ついて歩いていて若いとは…。


「いちち…、じゃあ、どうしてトイレに来たのさ?」


「まったく小さい時は可愛かったのに、だんだん生意気になってきたわい。」


婆さんは小声でぶつぶついいながら、トイレに壁に飾ってある神棚の前で手を合わせた。


「まずは、わしの話からになるが…」


昔々、婆さんがピチピチギャルだった頃、世界は荒れていたそうだ。

当時の婆さんは、勇者とともに魔王を討つために王国から招集された魔法使いの一人だったらしい。(すげぇな婆さん。)


十年以上の長い旅で、様々な伝説を作りながら、ついに婆さん達は魔王を封印できたらしい。


ところが、婆さん達が帰ってきた王国は金と権力にまみれた貴族祭りで、とても面倒な国になっていた。


さらに魔王を倒してイケイケの勇者から、しつこくハーレムの勧誘を受けたため、最後はグーパンチで吹き飛ばしてしまったらしい。


恥をかかされた勇者は、欲深な貴族達とともに婆さんを罠にはめて追放しようとしたそうだ。


濡れ衣を着せられた婆さんもタダでは転ばない、王国の宝物殿から結界装置[ゴドゥウンの指輪]や便利な魔導グッズを盗み出し、壁に『勇者参上!! 王国上等!!』と落書きして逃げ出したらしい。

(ちょっと婆さん、何やってんの!!)


勇者や貴族、王族からの追手から逃げる途中で、魔王軍のはぐれオーク(オーすけさん)や聖獣のスザク、カムイと出会って意気投合し、どこかでスローライフをしたいのぅ、と辿りついたのがこの森だったそうだ。


(やっと本題に入りそうだ。

 いろいろと気になるパワーワードがあるのだけれど、婆さんの話が長くなるから

 今日のところは、森についてだけ聞いておこう。 ゴドゥウンのこともわかって

 よかった。)


「…ほんに、しつこい奴らじゃったよ。最後はこの森の奥に辿りついたのじゃ。 それでこの…」


・この森は、結界の外には獰猛な獣やゴブリンの巣、強暴な魔物がうろうろしているので、遊ぶのは結界の中だけにすること。


・[それはさておき妖精]以外にも[一方そのころ妖精]や[時は少しさかのぼる妖精]等の妖精を見かけてもちょっかいをかけないこと。(嫌われるといつか大変なことが起こるらしい。)



他にも細々とルール設定があったが、ここで生きる場合はこれで充分だ。


「わかったっ!!」ビシィっと手を上げて返事をしておいた。


「それからお前のことだけど…」


婆さん達が、この森に結界を張り、スローライフを始めてから、当時の婆さんがアラフォー、アラフィフ、そしてアラババになるほどの時間が流れた。


ある日、スザクから裏庭が光っていると教えられて草をかき分けて光の方向へ進むと、祠があって、そこに俺がいたそうな。


婆さんは俺に近づくと、トイレ空間から神様(トレット様というらしい)が現れて、『 あのね~、この子はすっごぃ悪いやつに狙われてるのぅ~、だから大きくなるまで守って~♪ その代わりお礼じゃないけど、えぃっ♪ 』と、今の豪華な共同トイレをくれたそうだ。


これからも、トイレへの感謝と掃除はかかなさいっ!!


とりあえず、婆さんの長話が終わったので、日課のトイレ掃除を始めることにした。



無心でトイレ掃除をしていく、ピッカピカになったので、いよいよ探検に行きたい。

手ぶらでもいいけど、探検だからなっ!まずは物置小屋で物色しよう。


実は、物置小屋にあるアイテムは婆さんが雑に扱っていたので今まで気にしていなかった。

さっきの話を聞いたせいか、小屋に入ると、気になる物が溢れていた。


・高そうな布の服 どこかの国の紋章が入っている。ホコリだらけ。


・高そうなローブ 真っ黒なのでホコリの白さが目立つ。


・怪しい仮面   多分、高いんだろう。ぐるぐる模様が緻密に描かれている。


・キラキラした剣 鞘から抜くと眩しくて神々しい、錆びもない。


他にも、杖や短剣、壷や絵画等、婆さんはどうやって持ち出したのか。



とりあえず、ほとんどサイズが合わないので、短剣だけ取って、婆さんとこに行こう。


「ばあちゃん、森に遊びにいってくる。 念のため、これ持っていっていい?」


「それは、[風の短剣]だねぇ、持ち手の素早さを上げることができるから、これから冒険盛りの坊やに丁度いいね。 でも、くれぐれも刃には注意するんだよ、オーいちに使い方を習ってから森には行くんじゃよ。」


「はーい。」

確かになんとなくしか使い方わからんわ。

オーいちさんとこで少し修行だあっ!!



それからコレとアレと…って、婆さんが物置小屋から持ってきたのが、


[念話の指輪] 付けてる者同士の念話が可能、かなり離れていても通信できるらしい。


[幸運の首飾り] 恋愛運を始め、様々な運が良くなるらしい。婆さんは使わなくてもモテたそうだ。あっそうっすか。


[収納袋] 中が異空間になっていて、自分の体積の2倍くらいまで入るらしい。 チートアイテムです。


ちなみに、俺の服はさっき見つけた高そうな布の服を婆さんが紋章とか外して仕立て直した物で、防御力は高いらしい。


うーん、実に過保護だ。


準備も終わったし、早速オーいちさんに短剣の取り扱いを聞いてこよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ