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ナニカに気を取られて死んでしまったけど、凶悪スキルを手に入れたので、新しい人生は楽しく生きたい。  作者: yatacrow


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第13話 やっぱりトイレは綺麗にしておきたい。


『それはさておき~♪』


ここが、アラソニークの町か。


門番が馬車を見て一礼して、中へと通してくれた。


ウーノ爺さん、顔パスできるほどお偉いさんなのかな。


夕方に着いたから、買物してる奥様方や、仕事が終わった労働者、酒が入ってる冒険者達でにぎわっている。


よく考えたら、この世界に生まれてから、こんなに人を見たのは初めてだ。


「ちょっと! レイ、きょろきょろしないでよ。」


「……田舎者?」


アクアとクリンはいつの間にか仲良くなってて、人をいじってクスクス笑ってる。


「だって、こんなに人が多いし、建物もいっぱいあるし、きょろきょろするだろ?」


「ほっほ、レイオット殿は町に来たのも初めてのようじゃの。 これからゆっくり慣れていけばよいのじゃ。 さて、盗賊達は門番に引き渡したし、ワシの家に案内しようかのぅ。 冒険者の登録は明日行くといい。」


案内されたところは、でかい屋敷だった。

たぶん、ウーノ爺さんはこの町の名士なんだろう。


ずらりと並ぶ、執事とメイド達。

そして、腰に手をやってこっちを睨んでいるおばさんとその後ろにおデブな男の子(同じ年くらいかも)が、玄関で待ち構えてた。


「お帰りなさいませ、お義父様。 そちらの小汚ない二人がウーノ家の恩人のお孫さんですか。 ふん、迎えに行く必要なんてなかったのに。」


「ビアンカっ! 無礼は許さんぞ。 お前に任せておいたらレイオット殿達が町についてしまうわ!」


「短気は、お義父様の悪いくせですよ。 貴方達、いつまでここにいるのか分かりませんけど、なるべく部屋から出ないようにお願いしますわ。 うちのダートちゃんに何かあったら困るから。 特にそちらの女性はダートちゃんに色目を使わないでくださいね。」

はぁ?ふざけんな。

こんなとこ誰が泊まるかよボケぇっ!


俺が一言いってやろうと思ったところで、ダート?がアクアにイヤらしい顔で話しかけてきた。


「おい、お前っ! まあまあいい女だな。 俺のハーレムに入れてやる。げひひ。」

アクアの顔が、トラウマのせいで青ざめてる。

俺は、アクアの手を引っ張って後ろに隠した。


「なんだ! 俺様が話してるだろうが。 そこをどけ!」

「まっ! ダートちゃん、ダメよ。 こんな女よりもダートちゃんにふさわしい子を用意してあげるから。」

「それよりも、こいつの態度がムカつくんだよ、ママン!」

「ダートちゃん、下民の相手をしてはいけませんよ。 貴方はウーノ家の当主になるのです。」

「おい! 命拾いしたなっ!」


好き勝手に……、俺にもしゃべらせろっ!

ふんぬーっ!!


「バカ者どもっ! この人達はワシらの命の恩人じゃ。 無礼は許さんぞっ!!」


「あぁ、盗賊に襲われたところを助けてもらったんでしたね。 クリンも無事でしたか…(ちっ)」


クリンまで怯えてる。


こいつら性格悪いなぁ。


「もうよいっ! 早くワシの前から消えろっ!」


「私は、こんな輩が出入りしていると、お義父様の、いえ、この家の品位が疑われるのを心配しているだけですわ。 ふん、行きましょうダートちゃん。」


「お前…、覚えてろよ?」


--ぷぅ


・・・・・


「うわ、くっさ! 高貴なお方のオナラくっさ!!」

「ぶふっ、レイやめてっ」

「……くさ」


「………、ふん!」

ダートちゃん、顔真っ赤!

ビアンカはやべぇ顔でこっちを睨んでる。怖い。


少しすっきりした。

たまには【ナニカ支配】の悪用してもいいよね。


「ふん、なんともしまらんのぅ。 どうやったらあんな子が育つのか…。 ミネルには人を見る目がなかったのぅ。」それに、マジャックが生きておればこんなことには…。


「……じい、案内しよ?」

クリンが、ウーノ爺さんの呟きに、拳をくっと握りしめたのを俺は見てしまった。


俺たちは、案内された部屋に荷物を置き、ウーノ爺さんの応接室に通された。


なんだろう、メイドの感じも悪い気がする。

というか、紅茶が不味い。


「ほんにすまんのぅ。 アクア殿も嫌な思いをさせてしもうた。」


「……アクア、ごめん。」


「いえ、大丈夫です。 クリンちゃんも気にしないで。」


「それにしても、俺たち…ここにいていいんですか? 一応、ばあちゃんからかなりの生活費を貰ってるんでウーノさんに甘えるのも申し訳ないです。」

さりげなく出ていきたいアピールをしてみる。


「いやいや、お金が余ることはないのじゃ。 あやつらの事は気にせんとゆっくりしていってほしい。 それに、クリンも寂しがるでのぅ。」


「……レイ、アクア、一緒にいて?」

うぅっ、クリンからそう言われると断れない。

アクアも同じ気持ちのようだ。

ダートの動きに注意するために、【ヘェアリーサークル】の範囲を狭める代わりに精度を高くしておこう。


「では、お言葉に甘えます。 アクアもいいか?」


「うん、クリンちゃん一緒に寝ようね!」


--カチャカチャ、ガチャッ!


おい、メイドA!態度に出てるぞ!!


--コンコン


「大旦那様、お食事の用意が出来ました。」

初老の執事…セバスチャンって感じ。

そこの駄メイドと違って忠誠度も高そうだ。


「おう、セバスチャンか。 レイオット殿、アクア殿、食事にしよう。 あやつらはいつも別の部屋で食べておるから、顔を合わすこともないぞ。」


セバスチャンだった!!


「あのっ、気を使っていただいてすみません。」


「ほっほ、さぁさぁ、クリンも案内するのじゃ。けほっ」


「……いこ?」


あっ、まんまセバスチャン登場でちょっと意識飛んでたわ。


?、食堂に行くまでの間、一歩進むたびに足がちくちくする。


食堂に


食堂のテーブルには、それはそれは豪華……とはいえないお粗末な食事が並んでいた。

いや、別に贅沢したかったわけじゃないけど、初日だし、命の恩人に出す料理かなぁって……ちょびっとだけ思えるような食事だった。


「セバスチャンっ!! これはどういうことじゃっ!!」


「こ、これは…、料理長に確認してまいります。」


慌てて厨房へ走りさるセバスチャン。

姿勢がいいよね!


--くすっ


あっ! 駄メイドBが悪い顔で笑ってやがる。

しかも、俺たちの食堂の前をビアンカ親子用に運んでいる食事が見えてしまった!!


あれが、ここに並んでいたら感動したのにっ!!


感じ悪いよなぁ。



--おい、コックチョウ!あの料理はなんだ!

  大旦那様の大事なお客様だぞっ!!


--はぁ?、奥様から無礼な来客には適当な物を出しておけと命令されやして。

  大旦那様は戻らないから料理はいらないと言われやしたし、そんなこと言われましても。


--ばかもん、大旦那様も同席していて大恥をかいてる。

  さっさと作りなおせっ!!


--えー!! でも、食材はさっき奥様と坊っちゃんにお出しして無いですよ。


厨房の方では、セバスチャンとコック長が口論してる。


「あ、あの…、ウーノさん、大丈夫ですよ。 俺たちはご飯食べられるだけで感謝ですよ。」

確かにお粗末に見えるけど、精進料理よりは豪華だし、お腹も空いてるからさっさと食べよう。


「重ね重ね、すまない。 当主なのに情けないのぅ。」


「……じい、食べよう?」


「ウーノさん、気にしないでください。 私達からしたら充分に贅沢な食事ですよ。 いただきます。 ぱくっ…うっ。」

アクアさん、うって言っちゃダメでしょ。


「俺もいただきます。 ぐっ……どですよ。スープうまいです。」

ふう、なんとかごまかしたけど、これも不味い。

アクアも俺も一気に飲み干した。



レイオットたちは どくに おかされた。



(ペロ・・・これは青酸カリ!!)


「ずずず…、げほっ、げほっ」


「……じい、大丈夫? こほっ」


いや、ふざけてる場合じゃないわ。


「みんな、食べるのやめて。 ……ウーノさん、ちょっといいですか。」


ウーノ爺さんを食堂の隅に連れていく。

ここなら小声で話せば聞こえないはず。


「あの、ウーノさんが咳が出てるのっていつからですか?」


「どうしたんじゃ? こんな隅に連れてきて…、咳が出始めたのはそうじゃのう。 たしかマジャックが身体を壊しはじめたときじゃったかのぅ。」

マジャックさんはクリンの父さんだったか。


「マジャックはワシより早く逝ってしもうた。 ワシが風邪をうつしたのかもしれん。」

あー、これはもしかしなくても事件だ。


「えっと、風邪じゃなくて……、『毒』が入ってますよ。 しかも少しずつ蓄積するタイプ。」


「なんと! 誰がそんなことを!! もしや、マジャックも…!!!」


「とりあえず、あのスープは証拠になります。 皆さんの身体の中に入った毒は俺が浄化しますので、ウーノさんは他の料理を食べてください。」


「すまん…。 涙出てきたわ。 クリンにはまだ内緒にしてほしい。」


「わかりました。 念のためウーノさんのスープ以外は浄化しておきますよ。」


てなわけで、【浄化クリーナー】でみんなと料理を浄化していく。

みんなの顔色が良くなり、料理の味もそこそこ良くなった。


この家って来たばっかだけど、ウーノさんが信頼出来る人っているんだよな?

疑心暗鬼で、セバスチャンさえも怪しく見える。


「レイオット殿、あとでワシの書斎に来てほしい。」


「分かりました。」


とりあえず部屋に戻った俺は、ベッドにごろんした。


あっ、デスペにメール送ろう。


《 我が主、アラソニークの町に到着しました。

  ウーノさんがとてもいい人で、ご飯をご馳走になりました。

  しばらくお世話になります。

  PS:盗賊に襲われたり、毒を盛られたりしましたが、

     元気です。                        》


送信


--ピロン♪ ピロン♪


《 町までの道中、食事のときも気を抜けないとは、ご苦労である。

  サネモルが世話になるウーノ殿宛に何か贈り物が出来ると良いの

  であるが、一方通行ゆえ何も出来ないのである。

  せめての慰みに、これを送るのである。              》


添付画像には、真っ白いお城と優雅な川が流れているミニチュアの箱庭が写っていた。


日曜大工からだいぶ離れてきたな。

距離感を大切にしたいけど、めっちゃ気になるなぁ。

下手に食いついて、仲良くなると余計にこの世界に来たがるかもしれない。

ビブリルの頑張りを無駄にはできないから自重する。



--コンコン


「レイオットです。」


「どうぞ。 レイオット、疲れておるところすまんの。 この部屋は防音なんじゃ。」

ふむ、一応ヘェアリーサークルの範囲を狭めて精度を上げたけど反応なし。


「周囲にも怪しい人はいませんね。 ところで、犯人の見当はついてますか?」


あのあと、ヘェアリーサークルで、ビアンカとダートが『ママン、俺はいつ当主ってやつになれるの?』とか『もうすぐでダートちゃんが当主になるわよ。』と食事中に話してるのを聞いたから犯人ほぼ確定。

しかし、実行犯はメイドの誰か…、問い詰めてもしらを切るだろう。


「………おそらくビアンカの指示で、メイドが料理に入れたのじゃろう。 いままで全く気づかなかった。 思い返せばビアンカの夫だったワシの息子…ミネルも死に際は咳をしておった。 あの毒婦め、自分の連れ子を当主に据えるために我が家に入り込んだのかもしれぬのぅ。」


ビアンカ親子は、ウーノ家の次男ミネルにうまく取り入って結婚したらしい。

ウーノさんとしては、ミネルの元妻と子どもを放り出すわけにもいかず、そのまま家においていたけど、ビアンカ達は、ウーノ家を貰うつもりだったと。

恐ろしい女だよ。まったく。


「ちなみにこの家に信頼出来る人はいるのですか?」


「ふむ、セバスチャンと料理長コックチョウは大丈夫じゃ信頼出来る。」


コック長じゃなかったのか、名前がややこしい。


「多分、紅茶にも毒が入っていましたし、メイド達は全員怪しいかもしれませんね。 毒をどうやって手に入れてるのか、どこまでがグルなのかを明日から調べましょう。 幸い俺の浄化クリーナーという能力で、毒系なら無効に出来ます。」


「わかった。 セバスチャンに買物に行くメイドを調べさせよう。」


「俺がビアンカ親子の話を聞いただけじゃ証人としては弱いですよね? 俺も出来る範囲でやってみます。」


「すまんのう。 世話になりっぱなしじゃよ。」


「いえいえ、こちらがお世話になるんですから当然ですよ。」


いつまでいるか分からないけど、居心地の良い場所にしたい。


あっ、居心地といえば、トイレはどこだろう。


家を出てから、俺はずっとトイレ掃除をやってないじゃないか!!


『トイレの汚れは、心の汚れ』、この家にあるトイレ掃除からやっていこう。


何かのヒントが見つかるかもしれないし。


「話変わりますけど、ウーノさん、トイレどこですか?」


「ん? 急にお腹痛くなったのかの? そこの通路の奥じゃよ。」


「いえ、トイレ掃除って癖になるというか、家ではずっと掃除してたのでやらないと落ち着かなくて…。」


「ふむ、本当ならトイレ掃除を恩人にさせるわけにはいかんのだが、レイオット殿の目を見ていると心底トイレ掃除がしたそうじゃのぅ。」


「はい、ぜひピカピカにさせてください!」


早速、トイレ掃除を始めようとしたらメイド達にすごい嫌な顔をされて私達の仕事だと止められた。


見た感じ汚い、許せないレベルだ。

仕事と言い張るならきちんとしてほしい。


仕方ない、明日にでもウーノさんから周知してもらうか。



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