おっさん、ラッキースケベイベントに遭遇したぜ!
よく見ると、この少女は結構かわいい。
明らかに西洋系の顔立ち。
でも、西洋系特有の育ちすぎたジャガイモみたいな感じの顔じゃない。
西洋系なのに整っていて、東洋的な繊細さも有る不思議な顔立ちをしていた。
それ以外の特徴。
一言で言えば汚い。
汚れっぷりが半端じゃなかった。
頭からつま先まで泥まみれ。
服も泥っ泥っ。
ホームレスでも、ここまで汚くならないだろうってぐらい、汚い。
汚ガール。
どうすれば、女の子がここまで汚れられるか不思議でならない。
ダンジョンとか、どこから来たのとか、いろいろ聞きたい事は有ったけど、このまま家の中を歩かれたら堪ったもんじゃないので、まずは風呂場に案内する。
「凄い汚れてるから、先に風呂に入ってくれ」
「僕、お風呂じゃなくて飯食いたいんだけど!」
「風呂に入ったらちゃんと食わしてやるから安心しろよ」
「ほんとうか! じゃあ、お風呂に入ってくる!」
すぐに服を脱ぎ始める女の子。
俺は、裸を見ちゃまずいと思って、慌てて風呂場を出る。
俺が脱衣所のドアを閉めていると、女の子の声が聞こえた。
「ところで風呂沸いてないけど僕どうすればいい?」
「あー、シャワー使ったことないのか。そこに赤いポッチがついた栓が有るだろ?」
「これかな?」
「それをひねってみて」
「おー! すげー!」
風呂場のシャワーノブから、チョロチョロと水が流れ出す音がする。
そしてノブから出る水の音がやがて豪雨の様に景気よく出始める。
ちゃんとシャワーを使えたようだ。
冷水や熱湯被って、風呂から飛び出してきて大騒ぎと言う、ラッキースケベイベントが無いのが少し残念。
風呂はついていなくても、大丈夫なようだ。
俺は食事を作るために、台所へと向かう。
冷蔵庫を開けても、ろくな物がない。
無職になってからの俺は、朝はカップ麺。
遅い朝飯なので昼は抜き。
夜は酒を飲めば、あとはコンビニで買って来た、ちょっとしたつまみが有ればそれだけでいい派だからな。
冷蔵庫を漁ると、買い置きしておいたベーコンと卵があった。
ベーコンエッグでも作ればいいか。
ちなみにベーコンエッグは両面焼き派。
特に卵の半熟や完熟にはこだわりが無いけど、調理時間考えると両面焼いた方が明らかに速い。
俺はフライパンに少量の植物油を引くとベーコンを敷き、黒コショウを軽くまぶして軽く両面焼いたところで卵を落とし、さらに裏面も焼いた。
所要時間一分、蒸らしの蓋も要らない。
カップ麺が切れた時は、これで朝食を済ませていた。
ベーコンエッグが出来上がると同時に、少女の声が聞こえる。
「いい風呂だったー! ご飯出来たの? いい匂いだね。早く食べさせて!」
「はえーよ! 烏の行水ってレベルじゃねーよ!」
女の子は2分もしないで、風呂から上がって来た。
これはきっと、頭から軽くシャワーを浴びただけ。
明らかにちゃんと洗ってないパターンだ。
俺が少女をみつめると。
あり得ない格好をしていた。
「どわっ!」
思わず後ずさりする俺。
「どうした?」
けろりとした感じで、そういった少女。
少女は生まれたままの姿で俺の前に立っていた。