ダンジョン脱出編13 ダンジョンマスター
目の前にはダンジョンマスターと名乗る魔女が居た。
俺はその言葉の真偽を確認する為に鑑定をする。
──名前:メイちゃん
──年齢:永遠の17才
──種族:美少女
──レベル:17
──職業:魔法少女
──属性:妹属性
──スキル:うっきゅん!
──特技:初恋
鑑定をすると結果は宿帳に書かれた物とは全く別の結果であった。
職業は魔法少女。
つまり宿帳に書かれたダンジョンマスターと言う職業が嘘だった。
おっさんホッとして引きつった顔が笑顔に戻る。
おっさんが鑑定で彼女をじっと見つめていたのに気が付いて彼女は怪訝そうに俺を見つめる。
「何か顔に付いてますか~?」
「いえ、何もついていません」
「ならいいんです~」
「やだなー、お客さん。職業がダンジョンマスターなんて悪い冗談はやめてくださいよ」
「本当にダンジョンマスターだわ~」
「でも、職業は魔法少女ではないのですか?」
「あー、鑑定したのね~。あれは公開プロフよ~。だれも本当の個人情報を鑑定で見れる場所に晒すわけないじゃない~」
「えっ? おっさんが見た鑑定結果は嘘データーだったの?」
「そうよ~。台帳に書いたデーターが本当のわたしの個人情報~。本当は個人情報なんて物は他人に見せないんだけど今日は特別に見せてあげるわ~。さ、もう一度鑑定してみてごらんなさい~」
言われるまま再鑑定をしてみるおっさん。
鑑定する時に彼女の目を見つめたが、逆にこちらの目を見つめられてる様で心がざわついた。
鑑定結果はすぐに出た。
やはり彼女が言うように前回は偽装していたのか今回鑑定した結果とは全くの別物だった。
──名前:メイズ=マリ・アンペール
──年齢:五百二十四歳
──種族:ハイエルフ
──性別:女
──レベル:393216
──職業:ダンジョンマスター
──属性:闇
──スキル:物理攻撃無効 物理攻撃ダメージ吸収 魔法攻撃無効 魔法攻撃ダメージ吸収 完全複製 他
──特技:時間停止
「なっ! なんと! 本当にダンジョンマスターじゃないですか!」
「だから言ったでしょ~? なんかダンジョンで新しい宿屋さん始めたみたいで見てて楽しそうだったから一度顔出しに来たんですよ~」
「何しに来たんですか? まさかダンジョンボスの攻略に手を貸すこの俺を殺しに?」
「いやね~。あなたを殺しなんてしないわよ~。感謝してるんですもの~」
「感謝?」
「そうよ~。あなたがこのダンジョンで宿屋さんを始めてからダンジョンの入場者数が大幅に増えて、わたしはあなたの事を感謝しているのよ~」
「そうなのですか?」
「そうよ~。それにわたしが安いアクセサリや装備を作り出して宝箱に入れて置けばあなたが結構いい物に変換加工してくれるみたいでね~。あんまり高いアイテムを入れなくても客寄せ出来るから感謝してるのよ~」
「えっ? 箱に当たりアイテムが入ってたんじゃなくて、俺が当たりアイテムに変えてたの?」
「そうよ~。あなたが強化していたのよ。だから、わたしはあなたを殺す理由なんてこれっぽっちも無いの。なんていうの? わたしとあなたの関係は、持ちつ持たれつと言うかビジネスパートナーみたいなものね~」
「そうなんですか。ホッとしましたよ」
「でも、わたしに逆らうならこの部屋に居るみんな、いや、このマンションと言う建物ごと一瞬で吹き飛ばしてもいいわ~」
「いや、それは止めて下さい。お願いします」
「冗談よ、冗談。でも最近、ボス部屋壊したり、前室壊したり、宿屋の営業から外れて少しおイタしてないかしら~」
「すいません!」
「あれ治すの結構大変だったのよ~」
「ごめんなさい!」
「まあ、これ以上暴れないのならゆるしてあげる~」
「しません! しませんから! もう二度としませんから!」
「そう約束してくれるなら、許してあげるわ~」
「あ、ありがとうございます」
「話も終わった事だし、いつまでもこんなとこに立たせてないでお部屋に案内してよ~。ここに泊まりに来るのわたし楽しみにしてたのよ~」
「は、はい! まずはお部屋に案内します!」




