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ダンジョン脱出編4 ダンジョンボスのお仕事

「これか? これはボス部屋で倒したボスだ」

「ボス?」

「ボムっちです! よろしくお願いします!」

「しゃ、喋ったぞっ! こわっ! よく見たらボム族じゃないかっ! こんな小さいの初めて見たぞっ!」

「ちょっと前までは大きかったんだがな。爆発したら縮んだみたいだ」

「ええ。自爆した後に生き返ったらこんな小さくなってしまって……なんでなんでしょう?」

「あー、これは蘇生失敗だな」

「なんと!」

「万能の指輪の敵性蘇生阻止の効果で、ちゃんと蘇生できなかったんだなっ」

「もう元には戻れないのですか?」

「すぐにと言う訳にはいかないが、時間が経てば戻れるぞっ」

「それは良かった!」

「百年ぐらいは掛かるけどなっ」

「えっ! そんなに時間が掛かったら、もうクビですよ! クビっ! ギルドを解雇されたらもうダンジョンで働けないですか! こんな小さな体で爆発しても爆竹ぐらいの威力しかないし! これからどうすればいいんでしょうか!」

「まあ、なんだ。元のサイズに戻るまで、ウチで働けよ。飯も食わすし、給料も払うから」

「いいのですか! こんな小さな体なのに!」

「小さくてもなんかの役には立つだろ」

「ありがとうございます。ご主人様!」

「ところでボムっち。お前はダンジョンマスターとかダンジョンの事を詳しく知ってるみたいなんだけど、その辺りの事、お前が知ってる事を全部教えてくれないか?」

「はい! ご主人様! わたくしが知ってる事ならなんでも!」

「じゃあ、最初の質問だ。ボムっちはなんでダンジョンボスなんてやってるんだ?」

「元の世界、冒険者達には魔界と呼ばれてる世界なんですが、あっ別に魔界と言っても変なとこじゃないですよ。ただ冒険者からそう呼ばれている世界で、こちらの世界とは違う種族が住んでいるだけの世界でして、そこに冒険者ギルドと言うものが有って、そこで討伐依頼を受けたんですよ。『冒険者討伐』と言う依頼を受けました」

「ほう! 魔界にも冒険者ギルドなんて物が有ったのかっ」

「ええ。蘇生有り、帰還有りの命の別状の無い簡単なお仕事ですね。ボス部屋で待っていて冒険者が来たら叩き殺すだけの簡単なお仕事です」

「さらっと叩き殺すとか言うなよっ」

「ごめんなさい」

「それに冒険者討伐って名前も結構酷い討伐だな」

「ご、ごめんなさい」

「で、討伐依頼でボスをやっていたとっ」

「はい。冒険者が貰う討伐報酬とか帰還魔法陣なんかの支給品はカードになっていて、私どもが倒されればあの部屋に掛かってる呪文で蘇生帰還すると同時に自動でドロップするようになっていました」

「もしかして冒険者が死ぬとダンジョンの入り口に戻るって言うのもダンジョンマスターが冒険者の為を思って蘇生してるんじゃなくてその部屋に掛かってる魔法のせいなんじゃないか? ボスの為に掛けていた魔法が副次的に冒険者にも蘇生と帰還として効果が出ていたんじゃないのか?」

「そう考えるのが理論の道筋として一番わかりやすいなっ」

「冒険者はアイテムが貰えるからダンジョン攻略のメリットが有るけど、でもお前達がダンジョンボスなんてやってて何のメリットが有るんだ?」

「ハッキリ言ってしまえば報酬ですね。ギルドから貰える討伐依頼の報酬が目当てでした」

「報酬か。その依頼って依頼者はもしかしなくても?」

「ダンジョンマスターだなっ!」

「はい。そうなります」

「でも、ダンジョンマスターにそこまで金を掛けて何かメリットがあるのか?」

「メリットですか。わたしが知ってるのはこれです」

「なんだ、その懐から取り出したのは?」

「精霊水晶じゃないかっ!」

「はい、冒険者を倒してこれに魔力を蓄えるのが仕事でした」

「なるほどなっ! うん、わかったぞっ! 冒険者を倒して経験値を魔力に変換して貯めていたのかっ! 金を掛ける理由がなんとなく解って来たぞ。ダンジョンマスターはなかなか考えたなっ!」

「どういう事なんだよ? 俺、前にもその水晶を手に入れた事が有るんだけど、そんなにすごい物なのか?」

「凄い物さっ! 器となる精霊水晶自体かなり高価な物だけどっ、それに完全にパワーが宿った虹水晶ともなると星一つを創造できるぐらいの凄まじいパワーを持ち、その逆に星を一瞬で消し去る事さえも容易にできる超エネルギーの塊みたいなものさっ。これさえあれば不可能な事は何も無いって言う代物さ。当然価値も値段も半端じゃない物になるっ。それをダンジョンと言う練成釜を使って生成してたのかっ!」

「そうなります。わたしたちも冒険者を倒し続けて精霊水晶にエネルギーが貯まれば貯まるほど報酬も増えていきました」

「なるほどな」

「ところで、その依頼者のダンジョンマスターには会った事はあるのかっ?」

「いえ、わたくしども末端の物がダンジョンマスターの顔を伺うなんて事はとてもじゃないけどございませんでした。ギルド上層の者達なら有るかもしれませんが、その者達さえ私たちは面識が有りませんので」

「なるほどっ。ダンジョンマスターは依頼者として名前は聞いているけど、どのような者かは解らず……かっ」

「謎の人物って事だな」

「そうなります」

「では俺からの次の質問だ。ダンジョンから出て異世界、つまりドワーフやエルフの住んでいる世界へと行く方法は無いのか?」

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