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おっさん、洞窟に潜る!

「これは一体何なんだ?」

 

 目の前に有るのは、俺のくたびれた服が置いてあるクローゼットではなく、床も壁も天井も岩肌剥き出しの洞窟であった。

 洞窟の奥からは、少し湿り気の有る冷たい風が吹いて来る。

 そして照明は一切なく、先が全く見えないほどの真っ暗闇である。

 なんでこんな事になってるのか理解出来ず。

 俺のパンツはどこに行った?

 クローゼットの扉を開けたり閉めたりしても、俺のパンツのしまってあるクローゼットは帰って来ずに、洞窟の岩肌のままだった。

 例えるなら〇ラえもんの秘密道具のどこでも〇アで、洞窟につながった感じ。

 多分そんな感じだ。

 不動産屋に電話して苦情を言おうかと思ったが、逆に変な改造したと言う事で難癖付けられて改修費を取られるのも嫌だったし、無職になったことがバレて家賃の支払い能力に疑問を持たれて、追い出されるのも嫌なのでまずは自分で調べてみることにした。

 この洞窟に、蛇とか熊なんかの危険生物が住んでない事だけは確認したかった。

 もしそんな物が住み着いてたら、即刻避難せねばならん。

 とりあえずベランダに干してあった服と下着を取り込む。

 ジャージ一式だ。

 これが無かったら一生部屋の中で裸で過ごし、懸賞に応募しながら引きこもり生活をしないといけないとこだったぜ。

 と言っても、今のナウいヤングにはこのネタは解らんか。

 武器は包丁。

 これしかないんだから仕方ない。

 傘やハサミじゃ武器にならないしな。

 釘抜でも持っていたら武器になったんだろうけど、マンション住まいで日曜大工をする事は無いので、持ってる訳も無い。

 防具は鍋のフタ。

 ゲームで盾代わりに登場したのでとりあえず手にしてみたものの、敵の攻撃を一発でも喰らったら吹き飛ばされそうな気がする。

 無いよりはいいレベルの防具だが、盾なんて一般人が持ってるわけもないので、これ以外の選択肢はない。

 その他は照明用の懐中電灯と、個人的に遠慮したい蜂や蜘蛛なんかの害虫が出た時用の殺虫剤のゴキ〇ェット。

 蜂や蜘蛛にゴキ〇ェットが効くかどうかわからないが、気休め程度の攻撃力は有るだろう。

 しょぼいって?

 これしか無いんだから仕方ないだろ。

 今夜安心して寝れる程度の安全確認をしたいだけだから、これでいいんだよ。

 本格的な調査は明日やる。


 *

 

 俺は懐中電灯を手に調査を始める。

 洞窟に入って驚いた事。

 岩肌剥き出しだったのは入ってすぐのとこだけで、すぐに石造りの人工的なトンネルに変わった。

 さらに驚いた事二つ目。

 凄く広い。

 広いというか長い。

 もう五分ぐらい歩いているのに終わりが見えない。

 先が全く見えない。

 振り返るともうクローゼットの扉が見えないとこまで歩いて来てる。

 本当に部屋に戻れるかどうか分らなくて不安になる。

 こりゃ分岐でもあったら本格的に迷子になって戻れなくなりそう。

 そして最後に驚いた事。

 明るい。

 クローゼットから出た洞窟は確かに真っ暗だったんだけど、石造りのトンネルになった辺りから照明も無いのにトンネル全体が明るい。

 見た感じ岩自体が光ってる感じがする。

 まるで照明も無いのに明るい、ゲームのダンジョンだな。

 まあ今回の調査はここまで。

 とりあえずヘビ等の外敵が居ないことだけは確認出来た。

 今日はここで戻る事にしよう。

 本格的な調査は明日以降だ。

 部屋に戻るとクローゼットの扉に鍵を閉める。

 そして念の為にガムテープをベタベタと張り付けて、ドアを目張りして封印した。

 服が消えちゃったのは困るが、再就職用の背広は風呂に入る前にリビングに脱ぎ捨てて置いたので、被害を免れて一安心。

 パンツや下着が無くなったのは痛いが、それ以外の服は五年一〇年物でボロボロで色あせた様な服ばかりだったので、捨てる手間が省けた感じ。

 被害額は大したことない。

 被害額と言えばクローゼットの改修費用だな。

 まあそこはDIYで何とかする。

 このマンションを出るまでに、ベニヤ板と壁紙でも買ってきて、クローゼット風の部屋に偽装しとけば違約金を取られることも無いだろう。

 何しろ時間だけはタップリあるんだ。

 俺は無敵の最強種族のニート様だからな。

 

 今日は色々あって疲れたので寝ることにする。

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