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第三幕 五十話 The Spread Laser/スプレッド・レイザー

「ノックノック!」


 トレーニング・ルームに声が響いた。

 ノックノックと言いながら本当に壁を叩いていた。

 カルナが音の聞こえた方を向くのとは違い、鮮夜は。


「ノックノック、フー?」

「僕だよ!」

「ああ、わかってた」


 スプレッド・レイザーの登場に鮮夜は軽く流した。


「酷いなー。鮮夜たちがどうしているか、心配で見に来たっていうのに」

「それ、カルナがオレに殺されていないかって意味だろ?」


 ばれたか、と頭を掻くスプレッド・レイザー。

 マスクをしているので表情がわからない――はずなのに、スプレッド・レイザーがとぼけた顔をしているのが伝わって来た。


「ところでスプレッド・レイザーが何をしに来たんだ? エティエンヌたちよりダブリンをめちゃくちゃにするヴィランズにつきっきりじゃなかったか?」

「もー、それ嫌味? 相変わらずだね、鮮夜は」


 スプレッド・レイザーが入り口からひとっ飛びで鮮夜たちのもとへ着地した。


「グレイ・トロールはもう捕まえたよ。プリズンに連れていったからね」


 鮮夜とスプレッド・レイザーが話しているところへカルナが口を挟んだ。


「それで何をしに来たんだ?」

「うん。君たちを捜していたんだ」

「オレたちを? 何のために?」

「もちろん一緒に遊ぶ――って、そんなわけないだろう」


 鮮夜はカルナへ視線だけを動かす。

 カルナの表情は何やら思い詰めている感じだった。


「悪いな、スプレッド。オレとカルナは今から――」

「アリアの捜索に行くんだろ?」

「えっ、どうしてそれを知ってるんだ」

「さっき、ここへ来る前にドクターからいろいろ話を聞いたんだよ」

「なら、わかるだろ。お前と遊んでる暇は無い」


 まったく、とスプレッド・レイザーは肩をすくめた。


「だから、僕も君たち二人を手伝うって言ってるんだよ」


 スプレッド・レイザーの言葉に鮮夜とカルナは眼を見開いて驚いた。


「あれ、どうしたの二人とも。僕が一緒で嬉しいから、思わず声も出ないって感じだね」


 何処からそんな自信が出てくるのだろうか。


「違う。お前がついて来ることが意外だっただけだ」

「どうしてさ? 僕だってスーペリアーズの仲間だよ? 鮮夜と違ってカルナをいじめたりしないからね」


 別にいじめているわけじゃない、と言いかけたが、どうせ口が上手いスプレッド・レイザーに言い返されると思って止めた。

 代わりにカルナが話す。


「本当に俺と一緒に、アリアを捜してくれるのか?」


 グッドポーズを決めるスプレッド・レイザー。

 マスクで顔は見えないが満面の笑みを浮かべているのは伝わってくる。


「うん! そのためにいろいろ情報を聞いてきたんだよ」

「それってアリアの情報か!」

「いやいや、残念だけどアリアについてはまだわからない」


 落ち込むカルナ。

 鮮夜はスプレッド・レイザーの話の続きを促せた。


「なら、お前は一体何の情報を持って来たんだ?」

「フッフッフー。それはね……」


 スプレッド・レイザーの口から紡がれた話に鮮夜は思わず微笑んだ。

 これで奴らを始末できると。

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