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第一幕 三話 アリア・アーサー・ペンドラゴン

8/15 一部改稿しました。

「では、次はわたしが。わたしはカルナと同じく倭国日本で退魔士をしている、アリア・アーサー・ペンドラゴンです」


 麗しく可憐な女性から発せられた科白(せりふ)

 彼女の名を聞いた誰もが沈黙した中、静寂を破ったのは鮮夜の声だった。


「アリアって名前に聞き覚えはないが、それでも聞き違いじゃなければ、今アーサー・ペンドラゴンって言ったか? まさか、あのアーサー王のことじゃないよな?」


 鮮夜の問いにアリアはさも当然のように、はい、と頷いた。

 ドクター以外のスーペリアーズはさらに困惑する。


「えっと……つまり君は、アーサー王の子孫ってことなのかな?」


 スプレッドレイザーの言葉にアリアは首を横に振った。


「いいえ。わたしはかつてこのブリテン。いえ、今ではアイルランド・キングダムでしたね。この時代でも語られている伝承に登場するアーサー王です。転生体、と言った方がわかりますか?」

「ほ、ほんとにアーサー王なの!? ロンドン出身のボクでもさすがにこれはビックリだよ」


 両手を挙げてスプレッドレイザーが驚きを表す。

 当然だろう。アーサー王といえば、このアイルランド・キングダムだけでなく、ヨーロッパ全土でクー・フーリンに次ぐほど有名な英雄である。

 倭国日本やその他の国では騎士王アーサーの方が有名に思われているが、地元ヨーロッパではアーサーよりもクー・フーリンの方が遙かに有名であり、人々からの羨望が厚い。

 それでもやはり、アーサー・ペンドラゴンはイングランド。かつてのブリテンを統一するために奔走した王。有名なのは当たり前だ。

 その伝承は現代まで語り継がれており、物語の中では全て男性として記されている。

 けれど、目の前にいるアーサーと名乗った人物は見目麗しい女性の姿をしているのだった。

 筋肉質ではなく、余計な脂肪など一切ない適度に引き締まった体。

 女性らしい服は彼女の美しい胸がよく強調されていた。

 これがまさかあの騎士王だとは初見で看破できるものはいないだろう。

 だからこそ、スプレッドレイザーはアリアに対してアーサー王の子孫なのかどうか尋ねたのだ。

 そしてアリアは、はっきりと自分がアーサー・ペンドラゴンだと断言した。


「ドクター、この女が来るからオレたちに王とは如何なるや、なんて質問をしたのか?」

「そう言うことさ鮮夜」

「アーサー王が加勢してくれるから今回のインシデントは楽に解決できるってか? ふざけるな。ありえない。アーサー・ペンドラゴンなんざ、王になるべきじゃなかった存在だってのに」


 鮮夜の乱暴な物言いにカルナが一歩前に出た。


「どうして君はアリアにそんな酷い態度を取るんだ。アリアが嘘をついているとでも思ってるのか? なら俺が保証する。アリアは正真正銘、あのアーサー王だ」


 鮮夜はカルナを睨みつける。

 そして、ゆっくりと姿勢をカルナの方へと向けた。


「お前、カルナって言ったな? お前はその女の何なんだ? 恋人か?」


 鮮夜の問いに、カルナとアリアは互いの顔を見合わせる。

 何かしらの意思疎通をはかったのか再びこちらへ視線を戻して深く頷いた。


「ああ。俺はアリアの恋人だ。それがどうした」

「なら、お前の抱く感情は恋人の欲目だ」

「それは、どういう意味だ?」


 鮮夜はわざとらしいため息をついた。

 なら話してやる。自らが知るアーサー・ペンドラゴンという騎士の王について。


「ここにはオレよりもロンドン出身のヒーローに、エリンの時代を生きていた神現者、そして宇宙一の頭脳を持った異星人もいる。間違いがあったら言ってくれ」


 そうして鮮夜は始める。


「話してやるよ。アーサーが王に相応しくない、その理由をな」

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