表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/290

第二幕 二十六話 The Battle of Cardiff/カルナとアリアの連携

 ジルが黒き闇色に染まったその瞳にしっかりとカルナを捉えていた。

 けれど、アリアの魔術で身動きが取れない。

 カルナはそんな敵に対して手心を加えることは一切ない。

 アリアに告げられた。

 敵は子供をさらい贄にしたのだと。

 邪悪は討つ。

 それが力を持つ者の責任だから。

 大地を蹴って舞い上がる。


「はああああっ! 一打!」


 上空からのかかと落とし。

 ジルはまともに食らって前のめりなる。

 着地したカルナはすかさず二撃目を繰り出す。


「二打!」


 前のめりになったジルの胴体へ膝蹴りを抉るように叩き込む。


「ごはっ!」


 血を吐く敵のことなど気にしない。

 さらに攻撃は続いて行く。


「三打!」


 二撃目の後、ジルの横を通りすぎ背後へ回る。

 軸足をしっかりと地に着けての回し蹴りを放つ。

 そこから地面を駆けて四撃目は拳による攻撃。


「四打!」


 全力を込めた右ストレートはジルの顔面に直撃する。

 そのままの勢いで回転して左手で裏拳をさらに与える。


「五打!」


 ここまでの五連撃を全て受けたジルがダメージによって膝をつこうとする。

 だが、まだカルナの攻撃は終わらない。

 一気に間合いを詰めた。


「くっ、こんな――!」

「砕魔・六兎!」


 最後の一撃はカルナの持つ魔力を右手に収束させて放つ掌底。


「ガアアアアアアッ!」


 全打命中。

 最後の一撃でジルは吹っ飛びレンガ造りの建物に叩きつけられた。


「ライズ!」


 そして、アリアの声に呼応してジルに絡みついていた光の竜が天に上昇していくようにして爆発した。

 可愛らしい顔をしてえげつない魔術を扱うものだ、と鮮夜は思った。


「わたしたちの実力はわかってもらえたかしら?」

「ま、最初の連携にしてみれば上手くいった方だな」

「俺たち、十分やれただろ?」

「というより、カルナ。お前はエクスカリバーを使うんじゃなかったのか?」


 鮮夜の一言に、カルナはばつの悪そうな感じで答える。


「あ、あー……それは、その――」

「ん?」

「アリアが恥ずかしがるから」

「だって、こんなたくさんの人がいる前でなんて」


 鮮夜は二人が一体何のことを話しているのかわからなかった。

 そもそも自分は何故、《エクスカリバー》を使わないのか尋ねただけなのに。

 けれど。


「そんなことで誰かを守るなんてことできないとオレは思うぞ」

「俺たちだって倭国日本で悪しき者たちと戦って来てるんだ。それぐらいのことわかってるさ」

「ごめんね、カルナ。わたしは平気だから」


 少し頬を染めながらもアリアは大丈夫とカルナの手を握った。

 その時、ジルが吹き飛んだ瓦礫の山が爆発した。

 鮮夜たちは見据えながら攻撃態勢の構えを取る。


「フフフフフ……まさか、あの程度で私を殺せたと思ったのですか?」


 ジルはあれだけの攻撃を受けたはずなのに服が汚れた程度で済んでいたのだ。

 驚いているカルナとアリアだが、鮮夜は違う。

 二人よりも一歩前に出る。


「いや、ただこっちの話をしてただけだ。次は討つ!」

「嗚呼……いいですねぇ。その気概。悲鳴が響く中、三対一という不利な状況で戦う」

「卑怯だと思うか?」

「いいえ。卑怯だと思っていれば、背後から攻撃仕掛けてきた、そこの体術使いの方でしょう」

「それは、だって作戦だし」


 カルナの物言いにジルは深く頷いた。

 こちらを肯定するようにだ。


「戦いに正々堂々も卑怯もありません。あるのはただ――」

「勝つか、負けるかだ」


 鮮夜とジルは互いににらみ合いながらも笑っていた。

 まるでお互いの考えがわかるかのように。


「何だか鮮夜がヒーローに見えないんだけど」

「オレはヒーローなんて御免だからな」

「それはいいけど、どうする二人とも。敵はほとんど無傷よ」


 確かにアリアの言う通りだ。

 奇襲による畳みかけで討つことができなくとも相当のダメージを負わすことはできるのではと思っていた。

 実際、アリアの魔術。カルナの連撃に対して苦しんでいた。

 だが、恐らくそれは衝撃が伝わっていただけであって致命的なダメージとはならなかった。


「まだまだあんなの序の口だ。お前たちだって本気じゃないだろ?」

「もちろん、まだ力は出せるわ」

「鮮夜の言う通り、エクスカリバーだって使ってないしな」


 ならば、やることは一つ。


「こっから攻めていくぜ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ