《プロローグ》
全くの見切り発車です(._.)
最後まで続けられるよう頑張ります。(…でも多分、スローなペースになると思う…)
R15は保険です。
「フェイ…? フェイったら‼︎ 話、聞こえてる?」
「えっ? あ、ええ…。少しボンヤリしていたみたい。ごめんなさい…」
フェイは、言葉を曖昧に濁しながら、どこか心配そうに眉を顰めて面前に座る、一歳違いの妹・サラの姿を眩しそうな眼差しで見つめ返した。
「姉さんは、仕事のし過ぎなのよ。ルイーズ伯母さんも心配していたわよ。最近は、ロクにメールのひとつも寄越しやしないって…」
「解ってはいるのよ。でも、全社あげてのプロジェクトの詰めが間近に迫っていて、まるで時間が取れなくて…。
ホントは、メールなんかじゃなくて、電話して声を聞きたいのだけど…」
元々華奢な身体に、今では更に儚げな雰囲気まで纏わり付かせている、最愛の姉の困り果てたように眉尻を下げている様子に、サラは少し大袈裟なほどの溜息を零してみせる。
「姉さんは、明らかにワーカホリックだと思うわよ。それも、相当重症な…」
姉のフェイが大学卒業後、どういう経緯か全くの専門外な上、中堅ながら国内のみに留まらず数十カ国を相手とする商社に就職してからというもの、幾度となく繰り返し口にして来た単語『ワーカホリック』を、サラは今日もまた口にしなくてはならなかった。
コレを出すと姉が何も言えなくなってしまうことも、サラには判っている。今日だって、何が何でもと強引に押し切ってランチを共にとる約束を取り付けたのだ。私たち姉妹にとってとても重要な話があると言って…。
「…あと、二週間の内にはヤマは越えるって言ってたわね…?」
唐突に話の方向を変えた妹に、一瞬、訝し気な眼差しを向けたフェイだったが、この日呼び出された本来の話をまだ聞いていないことを思い、ほんの少し自分の態勢を立て直そうとサラに向かう。
「そう。もう、大詰めを迎えているの。今日だってホントなら…」
「ストップ ‼︎ 仕事のコトはもう良いわ」
サラは、フェイの顔の真ん前に大袈裟に掌を向け、姉の言葉を遮った。
「 ? 」
「あと二週間でヤマを越えるってコトは、一ヶ月後なら時間に余裕、出来るわよね?」
「…は⁇」
フェイは、突然妹の口から飛び出して来た〈一ヶ月〉という期限に目を白黒させることしか出来ない。
「ん〜、今から一ヶ月半後、私、結婚するから、姉さんには是非とも必ず式に参列して欲しいの‼︎」
本当に久しぶりに顔を合わせ、短い時間ながらランチを共にした妹は、先程までの心配そうな表情を完全に払拭し、隠しきれない喜びに瞳を煌めかせながら、フェイが予想だにしていなかったセリフを高らかに宣言したのだった…。
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