さらさら
透明な水になりたい。
水になって、どこまでも
無心で流れていきたい。
誰かと言葉を交わすこともない。
手を振り、涙を流すこともない。
傷ついたり傷つけることもない。
削れて欠けたりすることもない。
優しい音と光を撒き散らして、
誰かの視界の隅っこで、
細く、強く、静かに、高らかに。
水になって、どこまでも。
ここではない場所に
そっと流れていきたい。
太陽の暖かさも、風の冷たさも
尖った言葉も、怖いくらいの幸せも
全て溶かして透明になるのだ。
孤独な彗星も、幻想的な月影も
誰も知らない泣き顔も、
凛と伸びた虹の始まりと終わりも
全てそこに映しておくために。
透明な水になりたい。
透明な水でありたい。
どこまでも流れて、
いつか全ての景色を溶かした
透明な水になりたい。
地球の果てまで流れて、
最後にたどり着く場所の
色にそっと染まりたい。