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全ての気持ちは心の中

作者: 尚文産商堂

「またカップルが成立したんだって」

私の友達が、お昼御飯の時に私に教えてくれた。

「今度は誰?」

「文学部と理学部のカップルだってさ。どうしたらこんな組み合わせが生まれるんだろうね」

「あたしにはわかんないね」

私は友達にそう答えて、うどんを勢いよくすすった。


この大学で正確に統計をとったわけじゃないから、本当かどうかは知らないが、だいたい、1ヶ月で10組にカップルが生まれて、2組が分かれると言った具合になっている。

けっこうな高確率だとは思うけど、私にはいっこうに縁がないようだ。

男友達ともよべるような存在はいない。

人数的には女子の方が男子の半分ほどなのに。


でも、憧れている人ならいる。

別の学部の、名前も知らない人だ。

学食で一目見ただけで好きになり、以来、ずっと彼のことを探している。

友達にも言ったことがない、私だけの秘密だ。

「ああ、そうそう。一つだけ言っておくわ」

友達が私をカレースプーンで指しながら、私に告げた。

「まずはあんた、男の知り合いをつくることね。話はそれからよ」

「それは言われなくたってよく知ってるよ」

とは言っても、知らない人に話しかけるというのは、私にとってはとても難しい。


授業が違うからということで、友達とは学食を出る時に別れた。

友達の彼女は、私が入学式の時に、始めて声をかけてくれた人だ。

以来ずっと友達のままできている。

まあ、私には同性に興味はない。


図書館にでも行こうかと考えていた時、憧れの人が少し離れたところを女性と歩いているのを見つけてしまった。

「ああ……そうなんだ」

静かに彼らへ背を向ける。

私の憧れは、結局憧れのまま、終わりを告げた。

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