詩 彼がブランコに誘ってきた
「ブランコに乗ろうぜ」
「え」
下校途中、小さな公園を指差し、彼が誘ってきた。
公園には小学生くらいの子ども達が遊んでおり、楽しそうにしている。
私は戸惑いながらも、
「ブランコに乗りたいの?」
「おう」
彼が素直に答えたので、私はブランコを見る。
どうやら子ども達は使っていないようで、ブランコが人が来るのを待っているようだった。
ブランコくらいならと私がうなずくと、彼が目を細めてくる。
夕日に照らされて、日焼けしたみたいに見える彼。
逞しい身体つきで、オレンジ色が余計に、彼を際立たせる。
「子ども達、使ってないみたいだから、遊ぼうか」
「よし、行こう」
話はまとまり、2人でブランコに乗る。
「わ。小学生以来だ」
私は恐る恐る乗るのに対して、彼は力強くこぎ出す。
その格好いい姿ときたら。
まるで玉座にいる王様のように、堂々とした姿。
あまりにも違い過ぎて、私はどきまぎしてくる。
彼に合わせてスピードをあげると、私はあまりの気持ち良さに、笑顔になる。
「気持ち良い。もうちょっとスピードをあげようかな」
私がそう言うと、子ども達がちらりと見てきたが、すぐに顔を背ける。
私達、攻撃していないんだけど、変に見えるのかな?
少し気になったが、すぐに忘れる。
まるで羽をもらった天使のように、空まで飛べそうな勢いだった。
「おい。あまりスピードをあげるな」
「どうして?」
「その…スカートだから」
彼が頬を染めたので、私も意味が分かり、ブランコを止める。
すると彼もブランコを止め、私の後ろに回ってくる。
「どうしたの?」
「俺が押してやる。いくぞ」
「え…。きゃ」
彼の大きな手に背中を押され、ブランコがこぎ出す。
そのスビードはゆっくりで、優しいものだった。
「細いな。食べているんだろうな?」
「ちゃんと食べているわよ。大丈夫」
太らないように気をつけているので、力強く言う。
彼は何も答えず、背中を押してくる。
昔を思い出し、親に押された記憶が蘇る。
しかし、今、こいでくれているのは、自慢の彼だ。
私達、どう見えるかな?
ふと思ったが、すぐにやめて風に乗る。
首を少し回すと、彼に一言告げる。
「ありがとう」
彼も笑顔を返してきたので、私も笑う。
たまには、こういうのもいいな。
また遊びに来ようね。




