6章 1話
6章 1話
お腹につま先が食い込み腹部に痛みが走る。
「やめ…」
「うるせぇ」
さらにもう1発胸あたりに蹴りが入った。これは折れたかもなとこんな状況でも冷静に判断出来る脳に内心恐怖を抱きつつ次の蹴りのに備える
「はぁ…財布いくら入ってた?」
「3000円…とりまコンビニで何か食べるか」
何でもらった3000円だっけ…あぁ今月のお小遣いか…なんて思っているとダイエットに成功した財布が目元に落ちてくる
「じゃ、またなクズ」
今日の分が終わった。明日を乗り切れば土日で休める…明日…明日、今ここから飛び降りたらどうなるのだろうか、5階建ての来月解体予定の廃ビルの屋上から思い切り飛んだら楽になるのだろうか…ついに自殺まで考え始めたか私そう思いいつつカバンを引き寄せ屋上へ登る階段を登る。肋骨が痛むが気にせずに登る。とりあえず下を見てみよう、それで怖いと思ったならやめようそう思い階段を登る。ノートはある、鉛筆もある、遺書を書くものはあるなと思いつつ屋上の扉を開ける。秋の涼しい風が頬を撫でる
「飛んだらまず助からないかなぁ……」
柵の下の世界を見下ろす
「………」
ノートを取り出し適当に開いていたページを切り取り思っていた事を書いて畳脱いだ靴の中に入れ、スマホを取り出したった1人の親友に夕焼けで美しくなった各務原の町並みの写真と“最後に見る景色が綺麗で良かった”と言うメッセージを送りもう一度下を見下ろす
「死ぬのに何してんだろ」
そういいながら柵を越え、地面を蹴る。躊躇ったらダメだと思ったが生存本能なのか意外と蹴りが甘かったなと思いつつ目を閉じる
私はあの時から時が止まっている。半年前のあの日から
18時ごろだったと思う。テストの追試を受け、スマホの電源をつけて親友から送られてきたメッセージを見たその瞬間から、1秒たりとも彼女のことを忘れたことはないし忘れることはできないと思う。
元々住んでいるところの近所だったので場所はすぐわかった。解体が決定した5階建てのビル、遅かった、13歳頭蓋骨損傷によるショック死…言わずもがな即死である。
葬儀は辛かったので出なかった…と言うより家から、部屋から出ることが出来なかった。そのレベルで心の支えを失ったからだ
葬儀から2日ほど経ってから親友のお母さんが手紙をくれた。私に宛てた遺書を別で書いていたらしい、読んで言葉を失った…内容がえげつなかった。
4人の男女グループに夏休み明けごろからいじめられていたこと、そして私への感謝の言葉だった。内訳はいじめ2割感謝8割だった
「殺す…ぶっ殺す」
それだけが私の人生の目的となった
「おーい?大丈夫なんかあった?」
「いや、大丈夫」
「そうか、うなされてたから」
各務原中央中学校合気道部、県内合同稽古…今回は飛騨が開催地なので6時ころから出発した。
「いや、少し嫌な記憶が蘇っただけ」
犯罪者というのは捜査線上に浮かんだらその時点でOUT、tgzのニュースが増えてきたからこそ会長という肩書きを隠し通さなくてはならない。
ならばどうするか、徹底的に「良い子」を演じる。
「そうか…体調悪いなら休んでても良いんだぞ?」
「海斗さんこそ寝てないでしょう?」
「あ、バレた?昨日の睡眠時間2時間半」
「私よりヤバい生活してますよ?」
寝ると親友との楽しかった記憶が夢で流れてくるので最低限の睡眠しか取らないことにしている。
「海斗さん、終わったらご飯なんですよね…その時15分くらいいいですか?少し相談が」
「別に良いけど…聞かれちゃダメ系?」
「ダメ系ですね」
「ん、オケ場所探しとくわ」
本当にこの人はわかっている。そろそろ1人で抱え込むのも限界に近い、話すだけでも楽になる。話せる人を1人でも作っておくのは悪くないだろうと思った。
そんなこんなで合同稽古も終わり夕方、17時ごろから飲み会が始まった。
と言っても立ち歩きが可能ななんかよく映画で見るパーティみたいな雰囲気だったので離席は簡単だった。
「で、相談ってのは?」
駐車場で車の辺りで話すことになった
「その…相談って言うか、話を聞いて欲しくて」
「なるほどなるほど」
「重い話になりますけど良いですか?」
冬、1月の飛騨ということもあって、寒い、立ち話も面白くないので道場周辺を散歩することにした。
「先輩、去年廃ビルから飛び降りた女子中学生の事件おぼえてますか?」
「覚えているよ。中々衝撃的な事件だったから」
この人は信じていい、直感的にわかった。
「あの時自殺したのは私の親友なんです」
「………」
海斗さんが黙り込んでしまう
「ごめん、こんな話しちゃっって」
「いいよ、続けて」
海斗さんがまっすぐな目で見てくる
「その…遺書に書いてあったんです“いじめられてる。もう耐えられない”って」
「そっか…どうすればいいの?って言う話?」
「そうです。4人、ぶっ殺したい」
「復讐は本当に親友が望んでいるの?」
「望んでいるかは分かりません私には死者の言葉は聞こえません、私が殺したいから殺す。それだけです」
「……こう言う場合ってさ止めるのが正解なの?見逃すのが正解なの?」
答えは解なし
「わかんないです。」
「止めるべきなんだろうけど…どうせやるっしょ?」
「突き放してるんですか?」
「人の話を聞けぃ」
海斗さんが笑いながら言う
「どうせやる人止めるのはむずいし、とやかく言われるの嫌でしょ?」
「わかってますね」
「殺すのは良くないけど、自分の気分が晴れるなら何か復讐するしかないんじゃない?」
「……もし私が殺したって言ったら?」
「即小手返し(合気道の技)決めて警察連れてくからね?」
「アッハイ」
殺した後は言わないようにしようと思った。
「会長次何する?」
「とりあえず、名前を世間に広めたい。尚且ついじめで苦しんでいる人たちを少しでも楽にできる事」
「文科省襲撃する?」
「危険度が高いな」
「岐阜市の教育委員会の会長襲撃が現実的かなぁ」
「らしいですけど、どうします?莉乃さん」
『そのまま監視を続けて』
「了解です」
通話を切りスマホをカバンに入れ、射撃場に入る
「おかえりぃ」
会長や他のメンバ〜にもバレている感じはしないのでよかったと思いつつ机の上から銃を持ち上げてマガジンを入れる
「人殺したくないなぁ…」
莉乃さん曰く“最悪揉み消すけど一般人を傷つけないように立ち回って”だそうだ。最低である。
「甘えちゃダメだよ。雫ちゃん」
「そうなんですけどね…」
いじめてきた人の形をした産業廃棄物は例外としても、罪のない人は殺したくないのが本音である。
人形産業廃棄物 いい響きですね(どこが?)
ちなみに作者自身も結構使ってたり…?
次回も楽しみに




