1章 2話
1章 2話
椅子から落ちて目が覚めた…最悪の目覚めだ「ぶっ…おはよう」晴翔が隣で吹き出しながら挨拶をしてくる「いったぁ…おはよう」刑事ドラマを見ていたらいつのまにか寝ていたらしい…「朝ごはんはうどん…想乃に持って行ってやれ」悠課長が0655を見ながら言う「お前それいつまで見てるんだよ」「この後のクックルンがな!」「クックルン放送時間変わったでしょ?」「まだ受け入れられない…何だよあのウーキィとかいう番組」NHKの教育テレビ一つでなぜこんなにも盛り上がるのか…言っちゃ悪いが大卒がお母さんと一緒なんか見るか?「キッチン戦隊クックルン面白かったけど」「花ガッパ!」「あれはまだ現役でしょ?」懐かしい番組名が並ぶ「とりあえず飯持ってきたいけど…未亜は?」「ここにいる〜」パソコンのモニターの裏から手が上がる「チビだからわからんかった」「今から射撃訓練をしま〜す!的はもちろん海斗〜」未亜がホルスターに手をかける「ごめんって」「いいよ〜私いないとな〜んにも出来ないもんね」基本的に取り調べ担当が異性の場合同性の者の立ち合いが義務である…理由はセクハラ事案対策である「申し訳ございませんでした」「よろしい」うどんの乗っているお盆を持って想乃の部屋に行く「想乃〜起きてる?」ドアをノックするが無視…「入りま〜す」ドアを開けて机の上にお盆を置く「…寝てますな」規則性のある寝息がカーテンの裏から聞こえてくる「起きろ〜」カーテンを開けてベッド内の電気をつける「起きて〜」未亜が体を揺らす「…むぅ」「冷房つけるか」ちなみにベッドはカーテンで区切られており、電気とエアコンが一つづつ付いているので顔に19℃の風を直当てするなどもできる「起きて〜うどん伸びるよ?」うどんという言葉に反応して起き上がる「朝ごはん!お腹空きました」「じゃ食べよ、ついでに話聞けば一石二鳥」折りたたみ式の丸型の机を展開して部屋の真ん中に置く「担当者の俺も早く帰れるって訳さ〜」そう言いながら箸を出す「……昨日のことなら答えませんよ」「答えなくて良いからパーカーの袖捲って、腕見して」俺の直感が正しければ「……何でわかるんですか?」袖を捲り上げる「何となく、昨日手錠かける時腕腫れてた気がしたから」腕は青紫色の字があちこちにあった「誰?」「伊藤真也」うどんを啜りながら答える「あいつかぁ」2-3の問題児集団の1人であり、教員を悩ませている男である「知ってるんですか?」「有名だからね。ある程度は」「ちなみに一年でも有名だよ〜」未亜も同じ学校である「マジで?!」「うん、それで昨日何で万引きしたの?」「……教える前に一つ教えてください」想乃が取引を持ちかけてきた「何?」「何で万引きしてるってわかったんですか?」「明らかに挙動不審だったし、あいつ視野広いから」気づいたのは晴翔だから何とも言えないがおそらく会計せずにそのまま通り越したのが視界に入ったのだろう「……バレないようにやったのに」「うまく行ったつもりでも意外と隠せてなかったなあれは、実際惣菜コーナーでクソほど挙動不審で声掛けようか悩んだレベル」「なんで声かけなかったの?」未亜が触れてほしく無いところに触れてきた「……」「報告書増やしたくなかったの?」的中させた「で、どうして万引きしたの?」秘技無視発動「……真也と…その取り巻きに…」いきなり泣き出した「えっちょ…いきなりどうしたどうした」「昨日、部活終わり…19:00くらいに呼ばれて」「どこに?」「市内の廃工場です」「リンチにあった?」「はい」「男子いる前でごめんけど性犯罪は?」未亜がガチトーンで聞いてくる「それは受けて無いです。」「OK」「殴る蹴る?」「はい、昨日は4人くらいで何度も踏みつけられて…挙げ句の果て財布から万札持ってかれて…」「背中み〜して」そう言って未亜が想乃の後ろに周りパーカーをめくりあげる「あは、病院行こうか、折れててもおかしくない、親は?」「シングルファザーでお父さんは単身赴任中で一人暮らしです。」「親戚とかは?」「愛知県まで行かないといないですね」「…oh」未亜が嘆く「はいこれ」未亜がジッパー付き袋を机の下から出す「スマホ…良いんですか?」想乃のスマホを机の上に置く「友達だけこっちのスマホに転送して」もう一台、スマホを置く「友達少ないとこういう時楽ですよね」なんかすごい悲しいことを言い始めた「スクリーンタイム入れてあるからね」「……何時間?」「2時間、YouTubeとかTwitterとかは見れないよ」LINEを開き、アカウントに友達のデータを送信していく「………オッケーです」わずか4.5分ほどで転送作業は終わった「充電器とルール表はこの中、ルール違反したら取り上げます」「わかりました…でっ親に電話ですよね?」「話が早くて助かるわぁ…」未亜がジッパー付き袋に想乃のスマホを入れながら言う「じゃ、電話して〜」「嫌で」「私も海斗も各務原中央中学校わかるよね?」未亜が圧をかける「学校側は応じますか?」「さぁ…とりあえず連絡してみよ〜」未亜が立ち上がる「お願いします親だけには」ここでお決まりの展開が始まる「どっちにしろ保護観察で半年はここなんだから怒られないって」未亜が冷たく現実を突きつける「縁切られます…」「…わかったよ」未亜が座る「とりあえず、生活の仕方について話すね」ちなみに学校に電話するのは許可無しで出来るので、話を一旦逸らしてその後学校に電話する…これぞ未亜のやる汚きやり方である「うどん片付けてくる」「OK」
「各務原中央中学校…あった」パソコンで調べた電話番号を打ち込み電話をかける「あっもしもし」『その声は!海斗だな?!どうしたこんな休日に』よりによって担任が電話に出た「教頭先生か生徒指導の先生いますか?」『教頭と生徒指導か?ちょっと待ってろよ』保留になり音楽が聞こえてくる『おう戻ったぞ、生徒指導ならいたぞ』保留が解除され、声が聞こえる「じゃぁ変わってください」『わかった!』電話が変わる『海斗か?どうした?』「あっjcrtの隊員として電話しました」『誰だよ問題起こしたのは』「2-3の飯田想乃さんのけんについて」『あいつかぁ…』ため息が聞こえてくる「どうしました?」『真也絡みだろ?』「まぁ絡んではいますね」『はぁ…』電話越しにため息が聞こえてくる『用件は?』「飯田想乃こ個人情報開示を求めます」『はぁ…待ってろよ。部活の時取りにこい、どうせ今日合気道あるだろ?』「ありますね、15:00まで」『その時取りに来い切るぞ?』「お願いしま〜す。ではまた後で」電話がプツッと切れる「汚いやり方だこと」「お前が教えたんだろ、てか想乃は?」「精神的に疲れたから寝るだって」色々あったから当然ではある「寝かせた?」「うん、でっ開示請求には?」開示請求の使い方が間違っているが突っ込まないことにした「応じた」「んじゃ部活の時に取りに行ってきて〜」「そのつもり」
「失礼しま〜す」職員室の扉を開けて生徒指導にアイコンタクトを取る「あっ来た」「遅れましたごめんなさい」「いいってことよ、どうせまだ帰れないし…」「教員闇が深い」「jcrtよりはマシってことよ」茶封筒を渡される「親含む緊急連絡先と、持病関連書類、後一人暮らしだから家の合鍵」「学校で合鍵って預かるんですね?」不法侵入したい放題だなと思いながら「彼女が渡してきた“1時間目終了までに欠席連絡が来て無いのであれば様子見に来てください”って」不法侵入の危険性とかは考えなかったのだろうか「心配するな、保健室の先生管理だ」「なら安心か」いやまぁ不法侵入の可能性は全然あるけどなと思いながら封筒を鞄に入れる「お前はどうするんだ?」「jcrt本部に帰ります」「そうか…じゃぁな」「先生も早く帰ってくださいね?」「わかってるよ」
「ただいまぁ」時刻は16:00ごろ、残り2時間で交代である「ほいっとなぁ…親への電話は私がする〜」「俺がやるから大丈夫だ」「嫌われ役は私で十分、担当者は嫌われることをするべきではない」間違いないと思った、担当者は社会復帰支援が仕事、嫌われたら元も子もない「担当者変更出来るけどね」「引き継ぎめんどいからダメ」「おい?」「間違ったことは言ってないぞ?」「そういえば、想乃が呼んでたよ」「あいよ」
「呼ばれたから来た」「暇だから話し相手になってください」「未亜に拒否られたんだな?」「その通りです」ドヤ顔でこちらを見てくる「俺たち暇じゃないんだよ」「私暇なんですよ…この16畳の部屋で」「15な?」「日光浴びたい」「無理だなそれは」「……散歩」「無理」「運動」「ラジオ体操くらい」「テレビ」「NHKなら」「ゲーム」「舐めてんの?」「本」「内職してネット通販で買ってください」「内職は嫌です」「…これでも緩い方だよ?」義務じゃないだけ緩いと思って欲しい…「知ってますよ。てか大丈夫なんですか?1人で」「あっ」普通に駄目な事をした「ドッキリ〜大成功」未亜がトイレから出てくる「…いつだ?」「海斗の後ろから一緒にin、トイレの中にこっそり侵入」「…まじかよ」「想乃と一緒にcqb訓練受けてもらおうかな?」「え?私?」「今選びなさい少年院行くか、警察としてここに残るか」「ここに残るで」なんの迷いもなく、即答だった「じゃ、これで勉強してテスト八十点取って」「はい?」「ここに残るには、保護勤務員になることを条件とします」未亜が冷たく現実を突きつける(Part2)
保護勤務…簡単に言うと、jcrtに逮捕された人間のうち“情状酌量の余地がある容疑者に対し、jcrtの隊員の監視下でjcrtとして働くことを許可する”制度であり、まぁ色々制限はあるものの、実刑を受けなくていいのでみんな意外と食いつく「アニメのPSYCHO-PASSで言う。執行官ですね?」「そうだな」アニメで例えるなよ「…かっこいいですね」目が最高にキラキラしている「んじゃ勉強よろしく」「はい!」
「さっ帰宅帰宅〜」未亜が荷物をまとめている「あと5分〜」『至急至急、各務原3から各局現在職務質問中、該当車両が盗難車であることが判明しました。応援願います』「くそがぁぁぁぁぁ!発泡許可!」未亜が台パンを決める「出すわけねぇだろ!行けよ」「j1-1、2名で向かいま〜す。行くぞ」未亜を引っ張ってパトカーに向かう「シーベルト」「付いてる」そう言って赤色灯を足元から取り出す「残業クソ」「家帰ってもやることないくせに」「だまらっしゃい、緊急車両出まーす」無線機で本線に警告しつつ合流し、現場に向かう…




