3章 2話
3章 2話
「見つけた…」現場到着後、10分ほど彷徨ってようやく発見した。すでに通報から30分経過していた「広いんだよここの公園」「ね〜交通広場だっけ?よく遊びに行ったなぁ…」そう言いながら芝生エリアのベンチにポツンと1人座っている少女を見る「気づいてないでふね」想乃がずり落ちてきた腕章を上げながら言う「んね」「声かけますかぁ」「星が綺麗だなぁ」ちなみに県営各務原公園は17:00以降入ることができないので、不法侵入で逮捕できる…「反抗してきたりして殺したくなったら手錠かけていいからね」と言うかもう逮捕は決定している「職権濫用…行きますか」「OK」歩いて近づく「今夜は星がよく見えてが綺麗ですね」後ろから声をかけるとビクッとしてこちらを見る「こんな時間に人が来るんだ」「ここから星空が見えるなぁと思ってきたらビンゴですね。人もいなくて静か」「いい場所でしょ」「そうですね…人もいないし」「そうなんだよね。ここで人に会ったこと一回もない」顔には焦りが浮かんでいた…知っててやってるなこれは「そりゃぁ17:00以降は閉園ですからね、知っててやってます?」「………お願いします通報しないで」「ごめん通報来てきたの俺たち」想乃が少女の後ろからガバッと抱きつく「そうなんですよ〜抵抗しないでくださいね〜?」若干楽しそうな声に恐怖を覚える「…お願い見逃して」「俺は見逃したいけどさぁ…見逃したら俺も上司におんなじ事言わなきゃいけないんだ〜“お願い!見逃してください!今回だけは!”って」靴ではなくサンダル、カバン等は所持していない、手にはスマホ、上着は一応羽織っている「とりあえず離してください」想乃をじろっと見つめる「いいよ〜」想乃がするっと離れる「お願いします…せめて親だけには伝えないで!」「家出した感じ?」カバンを持っていないし季節外れのサンダルでなんとなく察していた「……兄に殴られて」「うわぁ…いつも〜?」想乃がベンチに腰掛けながら聞く「いつもです…よく殴られる」「長くなりそうだから場所変えません?寒い」マイペースな想乃が言い放つ「そうだな…じゃ逮捕します」「はい」立ち上がり両手を差し出してくる「21:49建造物侵入で現行犯逮捕ね」手錠をかける「ゴメンネ〜」想乃が謝りながら手を引っ張りパトカーに連れて行く「寒いです」少女が言う「寒い…これ着る?」MSTという文字の周りに葉のマークと星、その下に岐阜県警と書かれたエンブレムのついた紺色のジャンパーを脱いで渡す「あっ…ありがとうございます」「これセクハラなのでは?」想乃がスマホで本部に連絡を入れながらつぶやく「じゃぁお前の貸してやれよ」「嫌だ…寒い、そもそも犯罪者は凍えてた方がi…」「侮辱罪で訴えられるけどどうする?」少女に聞く「……えぇ」「困らせちゃダメですよ〜海斗さぁん」想乃がパトカーのドアを開けながら言う「私運転する〜」「未成年特別運転免許証持ってんの?」未成年特別運転免許証…なんか内戦後の混乱で高校に行けなかった未成年の救済処置としてバイトや就職等で車を使う場合は審査は厳しいものの免許取得が可能になった「持ってない」「じゃ、大人しく助手席へ、あなたは後部座席ね」少女に言う「はぁい」
そんなこんなで本部に帰還、少女の聞き取りは“カノジョ、カノジョ”と暗い顔で永遠につぶやいていた晴翔に押し付けておいた「寒い〜お風呂ぉ入るぅ」「なぜかあるお風呂」しかもそこそこ広い「覚醒ザァイ」叫びながら扉がドンと開く…「お前かぁ…」MST違法薬物特別捜査員ことMST2課所属忍野颯太が入ってくる「きゃはぁぁぁ、おらぁさっさと千秋さんを呼べぇ!こちとら久々の薬物事件でワクワクしてんだぁ」MSTには3種類の人間がいる。壊れた人か頭がおかしい人、そしてまともな人…自分はまともな分類に入っていると信じているが、颯太は自他共に認める頭おかしい分類だ「はぁ…あのさぁ」後ろから千秋先生が入ってくる「深夜に呼び出しやがって…別にいいんだけどさぁ」そう言いながらきっとを取り出す「ちなみに、これ任意だよな?許可出てん?」「出てるぅ!」「ケーキおいひいでふ」想乃がパクパクとショートケーキを食べている「情報量多いって」「少女の名前は一瀬麦あそこにいた理由は家出して星空を見ていた。」「呼んだ理由は?」千秋が未亜に聞く「目が充血しており、若干大麻の匂いがしました」「大麻ぁぁぁぁ!きたぁぁぁぁ」え?なんでこんなのが警察やってるかって?俺が聞きてぇよ「ちなみに、二課に一瀬さんいますけど…」「親戚説」「呼ぶ〜?あでもあの人彼女とデート中かも?」颯太がつぶやく「ぶっ殺してやるぅぅぅ」晴翔が叫ぶ「ウルセェ…準備OKいつでも検査できる」千秋さんと前回会った時ボロクソ言われたが、何気にこの仕事が気に入っているらしく、基本的に呼んだら二つ返事で来てくれる。
「じゃ刺しまぁす」千秋が血液検査用の針を麦の腕に刺す「いっ」「我慢してねぇ…」針を抜いて抜いた血の試験管を渡してくる「もう混ぜてあるからそのまま折ったら行けるはず」「ちなみに、青が陽性、赤が陰性だけどどっちの色になると思う?」「青ですね」「もう答え出たやん」そう言いながら試験管を折る。え?なんで自白してんのに折るかって?そりゃぁ罪を自覚させるためさ「何色?!」「高校時代の色」「青春!青!びんごぉぉぉぉぉぉふぉぉぉぉぉぉ」颯太が叫ぶ「さっ薬物入手ルート教えてください…あとは俺に任せろお前らは下がってろ」颯太が言う。
「静かになったな」「うちの颯太がお騒がせしました」結局二課にいる一瀬悠斗に電話をかけたところ親戚であることが判明した…ドンピシャだった「はぁ…」颯太は取り調べに出ており、未亜と晴翔はクリスマスデート(パトロール)に出ている「はぁ…麦の兄貴、ニートで暴力的なんですよ」「最悪のコンビだな」『至急至急、酔っ払い同士の喧嘩事案入電』「この時期は喧嘩多いですよねぇ…」「やめてほしい、聖夜くらい」「クリスマス停戦があるのに…」「あれ辛いよな、お互い敵同士一日笑い合って翌日はそいつと殺し合いをしなければいけないから」悠斗が天井を見ながら言う「一生、相手を“敵”として殺していくのか、1日だけ笑い合った相手を“人間”として殺していくのか…どっちが幸せなんだろう」少なくとも、自分がその立場に立たないとわからない…そう思いつつパソコンを付ける




