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早き日の出、犬が吠える先

 私は2023年の3月に友人と千葉県の犬吠埼へとむかった。

 なぜ犬吠埼にしたかは正直もう忘れてしまった。1番私たちは関東圏の人間であるため、1番手頃でありながら旅行気分を味わえる場所として適したいたから、だと後付けしておこう。

 当日は東京駅に集合し特急「しおさい」に乗車し銚子駅へと向かった。

 朝が早かったため車内で朝食を軽く済ますとお互い寝てしまった。多少の景色と談話は楽しんだ気がするが。


 そして約2時間後、着いた。醤油のまち銚子に。駅を降りると実際に看板にこう書いてあるのだ。2メートルほどありそうな大きな樽と共に。

 なるほど、確かに銚子といえば銚子電鉄。銚子電鉄といえば濡れせんべいのイメージがある。

 そもそも千葉といえば野田醤油があった気がする。確かキッコーマンだったか。

 銚子にはヒゲタ醤油とヤマサ醤油とがあるらしい。

 うちはきっとキッコーマン……。


 さて、満を持して駅を飛び出すと比較的大きなロータリーがこちらを迎える。比較的最近改装されたのかとても綺麗だった。ひとまずホテルのチェックインまでしばらく時間があるので、荷物はロッカーに預け周囲を探索することにした。

 まず一番大きな通りを直進する。その道中に「銚子セレクト市場」というショップが見受けられる。

 どうやら調子が好きな地元の方が選んだ逸品を紹介、販売する道の駅ならぬ、まちの駅らしい。

 中は木造の柱が見えるように建てられており、暖かみを感じた。

 地元の野菜や果物から干物など、さまざまな地元の商品が並んでいた。

 生憎これから旅が始まるという段階だったので、何も買わずして出てしまった。帰りによろうと言うことで……。結局行き忘れてしまったが。

 通りを真っ直ぐひたすら進むと突き当たりに大きな水流を見ることが出来る。

 かの有名な利根川というやつだ。こいつは本当に川なのか?と疑いたくなるほど対岸が遠かった。

 こんな大河の横に住もうと考えた人間、恐ろしい。

 現代に生き神々への信仰を日常に感じない私でさえ、畏怖の念を抱いた。


 利根川を離れ私たちは再び当て所ない旅を続ける。時刻は12時30分をすぎるころである。

 そろそろ昼食を取ろうと考え、適当な店を検索した。

 正直、なんというお店だったか大凡の場所も含めて忘れてしまった。

 ただそこで頂いた天丼は言うまでもなく絶品だったことは確かに覚えている。


 さて、お腹を存分に満たしたところで今回の旅の目的である犬吠埼へと向かう。

 私たちの旅行の行程は1泊2日で、翌日はお昼頃には銚子を後にするため1日目に行くことにした。

 そのためにはまず犬吠埼の駅行く必要があり、ここで初めて銚子電鉄なる鉄道を利用することとなる。

 昼食をいただいたところから最も近い駅が本銚子というところだったのでひとまずそこを目指す。徒歩で。

 旅というのはこの移動の時間すら楽しいのだ。思わぬ出会いがそこにはある。

 どこからともなく古風で立派な塔が見え始めた。(私の記憶違い、記憶の捏造の可能性があることは明記しておく。)

 ひとまず、寺の存在を示す何かしらが見えたことは確かだ。

 境内に入れば高々と天へと聳える五重塔が存在感を示していた。

 私たちが訪れたそこは圓福寺という名所だったようだ。なんという偶然だろうか。知らぬ間にすごいところに来てたようだ。

 ただ、下調べもせず時間もあまり取れなかったため五重塔をしばらく眺め、お寺を後にしてしまった。

 どうやら大仏もあったらしいのだが、どうも記憶にない。(ただ単純に私が忘れている可能性もあるが)

 折角ならもう少し見ていけばよかった、せめて御朱印は貰っておけばよかったと、今思う。

 旅を続けよう。どうやら圓福寺近くに観音という駅があったらしい。とても近かった。

 しかし、一度本銚子に行くと決めたら地図はそこに設定しており、周囲を確認しなくなるのも当然であろう。

 結果としてはこの行動が私の心にささる情景を見るに寄与するのだ。もしかしたら観音もよいところだったかもしれないが。


 本銚子。ぱっと見では駅が存在しない。そのように見える。ただのわき道に小さな小屋がある。

 小屋の看板に「本銚子駅」と書かれた看板を見て初めて気が付く。そこが駅だと。

 これほどワクワクするものがあるだろうか。ひっそりと佇み、自然と生活にとけこむ人工物。

 決して豪勢とは言えない。だけど立派に乗客を迎えてくるこの建物は、レンガ造りで温かみを感じた。

 本銚子駅のプラットホームから覗く線路の先は緑とトンネルとなり郷愁にかられる。

 私が勝手に思い込んでいる理想の故郷の風景がそこにはあった。


 しばらくすると下部が青く、上部が水色の列車がやってきた。何といっても銚子電鉄は駅名が特徴的である。

 銚子電鉄が経営不振に陥ったさいにネーミングライツを売り出しようだ。

 その結果として他の路線では見ることができない突飛な駅名を楽しむことができる。特に私は笠上黒生駅の名称が気に入っている。「髪毛黒生 笠上黒生」。やかましいわ。


 数駅ネーミングと景色を眺めていると気が付けば犬吠についていた。

 ここが日本一早い日の出を見ることができる場所。世界灯台百名選に選ばれた場所。

 その灯台からの展望はどこまでも広がる太平洋。広く穏やかな流れの潮が岩礁に当たり白波を荒々しくたてる姿は見ていて壮観である。

 ちなみにこの犬吠埼の灯台の近くには、東映映画のオープニングに使用されている場所があるらしい。

 あの岩礁に波が荒々しく衝突しているあのシーンが、ここにあるらしい。

 実はこのオープニングには名前があり「荒磯に波」というらしい。

 実際に訪れてみた。さすがに映画ほどの猛だけしさはなかったが、かなり遠くからも立つ白波の迫力と音を感じることが出来る。


 銚子1日目は移動と犬吠埼の灯台をめぐり終了となる。

 なにせ少し前のことで私の記憶力ではこれ以上のことを思い出せない。

 写真もそれほど多くないため今回は短めで終わるとする。


 旅なんてものはその時に楽しい体験を出来れば、たとえ将来、詳細は忘れてしまっても楽しかったと思えたならばそれで良いと私は思う。

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