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翠緑に鎮座する神境 榛名神社

 伊香保温泉旅行の二日目、私は以前から訪れてみたかった榛名神社へと向かう。榛名神社へは石段からバスを乗り継ぎ向かうことになる。しかし、このバスがなかなか本数が少ないのだ。この日は帰りのバスの時間もあり、夕方の高速バスで帰宅するとは言え、一本逃すと帰れなくなる可能性すらある。

 この若干のスリルが楽しくもある。

 何はともあれ神社へのバスが10時、それまでにホテルでの朝食を済ませ、荷造りを済ませておく。

 朝食はホテルによくあるビュッフェ形式のスタイルで料理も多くの種類があった。残念ながら朝にとても弱い私は多くの種類は食べられなかった。だがご飯はしっかりとどれも美味しかったことは明記しておく。


 さて、朝食を済ませた後しばらく部屋でゆっくりしてからバス停へと向かう。事前に調べていたバスの時刻表と現地の時刻表が違う(あるいは単純に私の見間違いかもしれない)ハプニングに見舞われ、炎天下のなか30分ほど彷徨うこととなった。幸いにも市民館?が解放されており涼むことができた。しかも展望施設がもうけられており赤城山などを望むことができた。

 いい時間になったところで近くのバス停へ向けて下っていく。


 ご丁寧に始発から乗ったこともあり、乗客は私一人だった。

 早朝から暑い日に汗をかきながら石段をせっせと登り、30分の時間ロスをさえした挙句、乗ったバスは石段の前で止まった。

 そう、わざわざ石段を登る必要など元からなかったのだ。もう少しホテルに居たって良かったのに……。

 唯一心の救いとなったのは運賃が変わらない区間だったことだ。同じ料金で走った距離を考えれば得をしたと言えるだろう(?)。

 朝早かったこともあり、バスの中では仮眠を取ろうと思っていた。石段からでも30分ほど時間かかる上に、車でスマホ等を弄ると酔ってしまうため寝るのが最適だったのだ。が、目を離せない事件が起きた。

 望まぬ客が乗車してきてしまったのだ。そいつは持ち前の凶器を武器に我々を刺さんと機会を伺っていたのだ。

 奴の名は、蜂、あるいはアブ。虫が大の苦手な私はいつ奴がこちらを振り向き刺しにかかってくるか気が気ではなかった。

 途中で乗降車する人もおらず、締め切った空間の中で奴の動向に目を必要があった。いかなる生物であるにせよかなり巨体で心底恐怖を覚えた。

 幸い運転席の頭上をメインに飛んでいたため、私はさされることなくバスの乗り換え場所まで行くことができた。

 そう、伊香保温泉街から榛名神社までは直接行く事ができない。バスの乗り継ぎが必要なのだ。石段からは一度榛名湖で下車しなければならなかった。

 この下車の際にも珍事が起きた。降車に当たり乗車賃の支払いを現金で行った。普段私はバスを利用しないのだが、現金払いした場合の釣銭は当然出てくるものだと思っていた。

 だから支払額が900円弱だったので、お金を入れる場所らしきところに千円を突っ込み、硬貨数枚が下受け皿からできてたのを確認して、財布に仕舞い降車しようとした。

 そしたら運転手の方に声を掛けられた。「そこ両替のところです」と。えっ?と思い財布を見てみると、確かに硬貨の枚数が多い気がした。

 おっとこれはまずいと思い、今度はしっかりを支払い箱に900円を入れた。これで一件落着と思い降車しようとしたところ、「お釣り銭でないです」と……。

 私だけの問題であれば、多少多く支払ったところで問題は無いが、会社として帳簿が合わないのも問題であろう。

 幸い私の他にもう一人お客さんが居たため一旦私が釣り銭分を支払い、そのお客さんから不足分を頂いく形で解決した。

 しかし、この方どうも降りる場所を間違えたらしく……。前述の通りバスの運行間隔はかなり疎である。

 何となく気まずくなってしまった。


 それはそれとして、降り立った榛名湖は特別大きいという印象は受けないが、隆起の激しい大小さまざまな山に囲まれており、見ていて気持ちの良い場所だと思う。

 ここではボートの貸し出しも行っており、湖を漕いで探索することも可能なようだ。

 この日は曇っていたこともあり気温は低くとても快適だった。石段が少し動けば汗が流れ落ちるのに対し、こっちは下手したら薄手の羽織ものがあってもいいのかもと思わせるほどだ。高低差が違うだけでこうも気温が変わるものなのだな。

 しばらくしてから榛名神社へと私を導いてくれるバスがやってきた。

 こちらは特に事件は起きずに順調に目的地まで到達することが出来た。バスを降りていよいよ神社へ!

 意気込み高らかに足取り軽めの我が気持ちは、勾配のある少し長めの坂に打ち砕かれた。

 ……というのは少々大袈裟だが、そこそこ体力が持っていかれる道のりだった。

 道中には蕎麦屋や団子屋など飲食店が並んでおり、ゆっくりと楽しみながら坂を上るのもまた良いのかもしれない。あいにく私が行った日は朝早かったこともあり開店しているお店はなかったように思う。

 だからこそ人の少ないこの静かな空間を独占しているようで少し高揚した気分になった。

 坂を上りきると青銅色の鳥居と「榛名神社」という碑が我々を迎えてくれる。入ってすぐのところに随神門というのがあり、その近くに榛名神社の案内図がある。これによれば本殿までは550メートル徒歩で15分ほどかかるそうだ。思ったより広い神社である。道中には様々な見どころがあり参詣するのが楽しい場所だった。

 随神門をkグルトすぐ左手の山肌に鞍掛岩というのが見える。岩が湾曲しており洞窟のようになっている。木々に覆われていて正確な形を把握しかねるが自然の凄みを感じた。

 その後自然に囲まれた参道をしばらく歩いていくと左手に三重塔が見えてくる。この三重塔は県指定の重要文化財として登録されており神宝殿と呼ばれ五柱の天神を祀っているそうだ。

 あとから調べて知ったのだが、塔の後方に周っていくことができそこに彫られている十二支の姿を見ることができるらしい。もしかしたら全面にも彫られていた動物がいたかもしれないが私は気が付かなかった。皆さんはもし訪れる機会があれば確認されたし。

 参道の中程まで行くと神橋という赤い橋が架かっている。夏ということで新緑一遍の景色に赤き橋が映えて神秘的な景色に心を奪われる。

 神橋橋を渡りきると左手の崖、少し高い場所に木戸をうかがえる。崖に扉だけある異様な光景だ。最初は管理するために取り付けた物かなと思っていた。だとしてもあまりにも不自然だが。

 現代となっては異質なその扉は東面堂といい岩の中に須弥壇が設けられ千手観音が安置されていたそうだ。それが江戸時代の神仏分離令によって仏式が廃されて、戸だけが取り残されたようだ。

 東面堂のお次は万年泉が出没する。一年中水が枯れることなく湧き出てくるそうだ。かつては雨乞いに利用されていたそうで、現在でも神事のさいにはここから汲み取っているそうだ。

 万年泉の先にはついに手水屋が見えてくる。いよいよ本殿が近づいてきた。この手水屋だが先ほどの万年泉と同様に湧き水になっているらしい。この手水屋の目の前には「瓶子(みすず)の滝」がある。特段大きいというわけではく、むしろ細く一筋の滝という感じだ。しかしそれでも神秘性を感じるのは、この滝が両脇の岩の合間を流れており崖下にぽっかりと空洞ができているからであろう。

 滝を背に振り返れば、本殿へと続く階段が聳え立っている。天高く長い年月をここで生きているのであろう杉を横目に、両脇の巨岩の間を通すように造られた階段。

 巨岩の隙間から微かにこちらを覗く神幸殿と双龍門。先人たちはどこまで計算をしてこれらの神殿を造り上げたのか。一体どれほどの参拝客がこの景色に身を震わせたか。

 私も榛名神社を訪れるに際して書籍などでこの光景を見ていた。しかし、実際の風景は筆舌に尽くしがたい。是非とも一度訪れてみてほしい。

 それにしてもここの神様は御心の広いお方なのかもしれない。というのも私がこの神社を訪れたとき小雨ではあるが降っていた。

 本殿に上がり身辺の安全を祈願したのち、ほんの冗談程度で晴れを願ったのだ。するとたちまち雨はあがり曇り空へ。そして帰りがけには微かに晴れ間がのぞいていた。

 さてこれを遇然というのは容易い。しかし神的な力があったとしてそれもまた面白いだろう。


 神社を堪能していたらお昼過ぎになっていたので、参道の通り入り口付近にあった蕎麦屋「本坊」さんでおそばを頂くことにした。地元の契約農家さんの地粉と榛名山の湧き水で手打ちしたおそばでとても美味しかった。

 食レポ能力の低さに我ながら呆れてしまう。実際に訪れてから書くまでにそこそこの時間が空いているため、味の感想を忘れてしまうというのが実情だ。かといって食べながらメモをすることは食事を楽しんでいる気にならないし、品評しているようで気分が良くない。まあそういうことだ。

 さて榛名神社を一通り楽しんだところで、いざ帰らんと思えどバスがない。次のバスはおおよそ一時間半後。今一度参拝するのもよいかとも思ったが、折よく近くに「榛名歴史民俗資料館」があった。

 ここでは榛名神社に関する歴史を様々な展示物と共に学ぶことができる。私が一番印象に残っていることはご神体(榛名神社のご神体は御姿岩(みすがたいわ)というらしい)に似た木の展示である。(記憶が曖昧でご神体だったか忘れてしまった)

 そのほかにも神儀に使われているなものなどもあった(気がする)。能面も置いてあった気がする。

 真偽が気になった方はぜひ訪れてみてほしい。


 帰りのバスを待つ。来たときは雨が降っていたはずが、日向ではじっとしているだけでも汗が流れ落ちるほど気温が上がっていた。もちろんバス停には日影があったが待っている間が少しきつかった。

 どういうわけか群馬のバスには奴が付き物なのか、もはや私の中では群馬バスの七不思議である。

 そう、帰りのバスにも蜂が無賃乗車していたのだ。森林が多いからというのが実際のところだろうが、大の虫嫌いの私からしたら、いつさしてくるか死活問題である。

 それ以前に蕎麦屋で足元に虫がやってきて恥ずかしながら、思わず立ち上がってしまったのち、足に微かに刺されたような痛みを感じた直後だった。怯えようと言ったら察してくれよう。


 恐怖に怯えた数十分の旅路は無事に終了した。乗り継ぎ合わせて四度も群馬バスに乗車私はすでにプロ顔向けの降車技術を手に入れていた。しっかりと両替をしたうえで釣銭が出ないことを確認しちょうどで支払いをした。まあそれ以前に交通系があればよい話だが。


 さて、伊香保の石段街に再び戻ってきたときには15時頃だった。帰りの高速バスが16:30頃であり、タイムリミットは一時間半。限られた時間で何をしようか……。

 一つの案としては近くにロープウェイがあり、標高千メートルの見晴らし台から赤城山などが望めるという。せっかくならロープウェイに乗って景色を楽しむもよい。

 あるいは、ここにきてまだ石段街の横店から何も買っていないため、純粋に食べ歩きもよい。

 しばし検討した末、ロープウェイに行ってみることにした。自然好きな私としては、山の様子を堪能したい欲がかった。

 いざ参らんと乗車券の券売機の前に立ち、財布を持ったまま固まってしまった。

 券売機という時点でクレカやバーコードが使えないことは承知の上だった。現金だってしっかりと持ってきている。

 にもかかわらず、券を買うことが叶わなかった。

 時間だって問題なく、営業時間内だった。

 にもかかわらず、券を買うことが叶わなかった。

 そう。現金を持っていたのはいいものの、万札しかなかったのだ。その券売機は万札を入れることができなければ近くに両替機などもないように見えた(設置されていたら陳謝する)。

 そんなわけでおめおめと撤退することにした。まあ私高所恐怖症なのでロープウェイとかあまり得意じゃないのでいいんですけどね!


 ということで、石段街で何かおやつでも食べていくことにした。実は食べ物に関しては一切調べることなく来てしまったため、有名なお店が全く分からない。

 その中で、前日にちょっとした知り合いからプリンが有名という話を聞いたのでとりあえずそれを食べてみることにした。

「石段ぷりん」というやつだ。普通のプリンに加えてソフトクリームを乗っけることができるらしい。ただ、これが数量限定らしく三時過ぎなんか行った私は……

 目の前で売り切れました!大爆笑!

 厳密には前のお客さんの時も売り切れの札が貼られてはいたが、お店の方曰くまだアイスが出るらしいとのことだった。

 それを聞いて少し期待感を抱きながら待っていたのだが……。完全に空になってしまった言う。

 なんとも不運なことか、と思いながらぷりんだけを頂いた。

 とても滑らかで甘みをしっかりと感じられてとても美味しかった。今度はぜひソフト付を頂きたいと思う。それにしてもプリンとソフトクリームとはなかなか珍妙な組み合わせな気がする。

 貴重な機会は逃したものの贅沢なおやつを堪能した私は、しかしまだ時間があった。

 また何かを食べるのもよいが、ひとまず喉が渇いてしまった。喉を潤す何かが欲しい。

 おや?あそこに地ビールを置いているお店があるではないか!

 はい、ということで夕方からビールを頂きました。今回は「イカホップ」を飲んでみた。

 これは群馬県のコシヒカリである「雪ほたか」を使用したビールだそう。

 私は普段あまりビールはのまないのだが、イカホップは苦味が少なくとても飲みやすかった。

 これはどこのサイトにも書いていないのだが、どことなく鉄の香りがした気がする。

 私は昔から味覚バカなのであまり信ぴょう性は担保できないし、マイナスイメージが付きかねないが決してそういうつもりは無い。

 繰り返しになるが、普段ビールをあまり得意としない私が飲めるほど飲みやすいことを強調しておく。


 ビールを飲み終えたらいよいよ帰宅の時間である。

 人生初の一人旅は特に大きなハプニングもなく、楽しみのうちに無事終了した。

 やはり1人は気楽で良い。好きな時に好きなところにふらっと立ち寄って、ご飯も好きな物だけを食べれば良い。

 これからも私はできる限り旅行をしたいとは思う。が、まぁ社会人になってしまえばきっとそれも難しいのだろう。


 さて、次はどこに行こうか?

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