表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/63

4 『ドッグノーズ』里見詩乃 その6

 2年3組の教室。


「あのー。里見(さとみ) 詩乃(しの)先輩いますかあ!」

 菊子(きくこ)が、掃除の終わった教室に向かって叫んだ。


「わたしが、里見詩乃だよー!」

 教室の入り口で、自分を呼ぶ3人の1年生を見て、詩乃が手を振る。

 ちょうど、帰り支度をしている所だった。


「失礼しまーす!」

 桃子(ももこ)左六女(さろめ)、菊子は、教室に入り、詩乃の目前(がんぜん)に立った。


「1年生が、わたしに何か用なの?」

 詩乃は、小柄な菊子と同じぐらいの身長だ。

 この人が、不良をぶっ倒した人? 3人とも同じ疑問を抱いた。


「あの、里見先輩が、不良を倒したというのは、本当ですか?」

 左六女が、詩乃をジロジロと見ながら聞いた。

 詩乃は、目を細めてニコニコとする。


「そうだよー! わたし、あいつらにいじめられてたんだ。だから、退治してやった。悪いやつは許せないよね!」

 明るいというよりは、天真爛漫(てんしんらんまん)な雰囲気を漂わせる詩乃。


「それで、先輩は、嗅覚が鋭いって聞いたのですけど……」

 左六女が、率直に聞く。


「うん! そうだよ。ああ、わたしのことは先輩じゃなく、詩乃でいいから。この嗅覚はね……。そうだ、みんな座って。秘密を話してあげるよ」


「え! 秘密って、初めて会った私たちに、話しちゃっていいんですか?」

 秘密やら情報やらに敏感な、策士(さくし)左六女が、詩乃にささやく。


「うん、いい。誰も信じてくれないし」


「いや、詩乃さん、僕は信じます。詩乃さんは、嘘をつくような人ではないように見えます」

 桃子が、詩乃を見つめる。


「ホント! 信じてくれるの! 嬉しい! えーと、あなたは……」


「1年1組の吉備津(きびつ)桃子といいます。桃と呼んでください」

「1年3組、桜森(さくらもり)左六女です。左六女とお呼びください」

「1年1組の小鬼(こおに)菊子です。菊と呼んでいただければ」


 3人は、詩乃の前に、椅子を持ってきて座った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ