白羽の矢
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控室でのひと悶着の後、麗しの男爵令嬢 カーラと談笑していたところ、国王陛下の侍従からの言伝を預かったメイドから声がかかり、父と共に別室に通されることとなった。
念のため、冷やしたハンカチを用意させてカーラに渡すようそのメイドに伝えてから父の元へ戻った。
父がホールを出たところでわたしを待っていてくれ、一緒に指定された別室に向かう。
ヒールを履いているわたしに合わせて父が歩を緩めてくれたので、わたしの言伝を運んできたメイドと侍従が既にそろって扉の前で待っていた。
国王陛下に呼ばれてお話をする なんてことはこの年頃の侯爵令嬢として早々あるものではないので流石に緊張している。
(お父様と一緒に呼ばれていることを考えると何かおかしな目的、というわけではないでしょうし…。でも政治のお話ならわたしが呼ばれるわけもないもの。一体どのようなご用件なのかしら。)
王の侍従が一礼した後、扉を開けた。
父にエスコートされる形でわたしはその部屋に入った。
そしてそこには、ワイングラスを傾けながら赤いソファチェアに深く腰掛けている国王陛下 その人と、この国の宰相閣下が隣に並ぶ形で座っていた。
後ろに立っているわけではない宰相の様子をみて完全に私的な場に通されたのだと推測し、余計にどのような意図で自分が呼ばれたのかわからなくなった。
もしこれが、好色と言われるような王であれば、気に入った貴族の娘を愛妾に打診するための場かとも思うが、わが国の国王陛下にはそのような噂はないし、もしそんな打診だったとしても全力でどんな手を使ってでも拒否するに決まっている。
サラは貴族の娘として政略結婚は当たり前だと思っているし、ましてや侯爵家の娘なのだ。
恋愛結婚が認められ始めたこの世の中と言えど、初めから愛のある結婚に夢見ているわけではない。
ただ、国王陛下や王家との婚姻やつながりは別だ。
恐れ多いとかそういう話ではなく、前世の記憶がちらついてしまって、かなり複雑な心境になってしまう。
そんないろいろな気持ちや思考が頭の中で巻き起こっている間に、国王陛下に促され、父が先に挨拶を終えてしまった。
「陛下、娘のサラです。」
そう言って挨拶を促されたサラは作法通り完璧に、宮廷の教育係も感嘆してしまいそうなカーテシーをとった。
「お初にお目にかかります。国王陛下にご挨拶申し上げます。アルヴィン侯爵家の娘、サラでございます。」
噛むこともなく、するりと口から言葉が出てきた。
ほぅ と宰相閣下は感心した様に声を漏らし、国王陛下は目を細めた。
「アルヴィン卿、サラ、これは非公式で私的な場だ。くつろいでくれて構わない。」
そういって国王陛下と宰相閣下の正面の席に着席を促された。
「はい。失礼いたします。」
「光栄なことに存じます。」
父に続き返事をし、ゆっくりと席に着く。ドレスの裾を翻したり座りなおしたりすることもなく、一度両手でドレスの裾を軽く持ち上げた後、侍従が引いてくれた椅子に腰掛た。
「突然呼びつけてしまってすまないね。アルヴィン卿。」
「いえ、滅相もございません。陛下。ただ、サラもというのに少し驚きはしましたが。」
父の返答の仕方を見ていると、本当に私的な場の様だ。
ますます、父の言うように自分がここにいることに不思議に思っているところだった。
侍従が新たなワインを国王陛下と宰相閣下に注ぎ、同じものが父にも用意された。
わたしの前にはワインではなく、リンゴのジュースが置かれた。
多分、好みを把握されているだろうことに気づいた。
今までの宮廷舞踏会や他の夜会などで、わたしがワインを口にすることはほとんどなく、リンゴジュースやお水を好んで飲んでいることが多かったからだ。
父達が簡単な王宮内での世間話のようなものをしながらワインを口に含んだのをみて、わたしもグラスに口をつける。
なんとなくぼんやりしているわけにもいかないので、父達の話に耳を傾けながら、時折微笑んだり、相槌を打ったりしていた。
ある程度、ワインが進んだところで国王陛下が切り出した。
「単刀直入にいおう。アルヴィン卿、今日はほかでもない、サラの件で話がある。」
自分の名前が出たところに内心驚きながらも、表情に出ないように努めた。
父の様子をちらりと伺うと、ある程度予想していたようで、表情を変えずに口を開いた。
「サラの件 というと、どういうことでしょうか。陛下。」
先ほどまでと変わらないような柔らかな声色だが、どこか緊張感があるように思えた。
「そなたの娘は大変優秀だそうだな。通常なら数年は要するアカデミーを一年で卒業し、外国語も堪能だそうではないか。」
「そうなのです。陛下。学問で優秀な成績で卒業した、マナーや教養の分野でも大変秀でているとか。教授陣も感心しておりました。」
アカデミーというのは、一定の学力がある14歳以上20歳未満の者であればだれでも入学が可能なこの国にある教育機関だ。
歴史や領地の経営に関わるようなことだけでなく、様々な分野の研究の最先端を担う教授陣が教鞭をとるので、授業の質が高くて実用的な知識や一般にはまだ普及されていない論文などに触れる機会が得られる。
もちろん、将来に向けて宮廷や教授、その他の機関とのつながりを作ることができるのでそれを目的とする学生も多くいる。
通常だと3年ほど卒業にかかるといわれているが、サラは14歳で入学し、最短期間の1年で卒業した。
幼少期から熱心に家庭教師との授業に励んでいたことと、時折、本を読んでいる時や勉強している最中に、もともと知っていてそれを思い出しているような感覚に陥ることがあった。
”前世の記憶”のおかげなのであろう。
突然いろんな知識が降ってくる というような便利なものではなく、その物事や知識に触れたりすると関連する記憶が呼び起こされる というようなものだった。
「もったいないお言葉です。陛下。閣下。まだまだ外の世界を知らぬ、未熟な娘でございます。」
恐縮している というよりどこか牽制しているように見えるのは気のせいではないだろう。
私的な場と言っても一介の貴族令嬢が国王陛下と宰相閣下と侯爵の会話においそれと口を挟めるものではないので、わたしはただ姿勢を崩すことなく座り、優雅にリンゴジュースをいただいているだけだ。
「そのように謙遜せずともよい。宰相の耳にまで情報が届くのだから普通の学問に秀でただけの娘 ということではないのだろう。この場で見ていて、余も宰相の言葉が正しいことがわかった。」
「…なにがおっしゃりたいのでしょう、陛下。」
先ほどまでとは違い、真剣な声色に少し憂いを帯びた眼差しにの国王陛下のご様子に父も警戒心がより一層上がったようだ。
なかなか次の言葉を紡ごうとしない国王陛下と父の様子を見た宰相閣下が切り出した。
「約半年後、我が国からストラバスに和平と同盟を目的とした使節団が派遣されることになった。」
「それと娘と、どのような関わりがあるのでしょう。」
ほとんど無表情に笑みを張り付けたような父の様子に、宰相閣下は言葉を続けられずにいるようだった。
国王陛下は覚悟を決めたように、視線を一度わたしに向け、再度父を正面から見つめた。
「その使節団に、サラを借り受けたい。」
国王陛下のその言葉に父は一度目を見開いたかと思うと、張り付けていた笑みを消した。
「シーゲル、君は一体何を言っているのか、自分でわかっているのか?」
「レイノルド、陛下の話を一度聞いてはくれないか。」
父の突然の国王陛下のファーストネーム呼びにも驚いたが、それを何事もない様に受け入れる宰相閣下を見るに三人の中では通常の事らしい。
確かに、父の母(私の父方の祖母)は国王陛下のお母様である前国王陛下の最初の王妃陛下の姉にあたるので、国王陛下は父の従弟にあたる。
最初の王妃陛下 というのは、国王陛下を出産された後亡くなられ、隣国から前王妃陛下が嫁いでこられたからだ。
父と国王陛下は年もそう変わらないので、幼少期から交流も多かったのだろう。
宰相閣下も公爵家の方で父と同じ年のはずなので、きっとこちらも似たような関係であろうことが推察できる。
「話?話を聞くまでもない。娘を敵国に送るなんて正気な親のすることではないだろう。」
「今は休戦中だ。結ばれた条約のおかげでここ20年以上大きな武力衝突はほとんど起きていない。」
「それは詭弁だよ、ルーカス。私たちの世代が戦争を経験して多くの者を失ったことを憶えているように、あちらもそんな簡単に忘れてはいない。」
「この平和を歴史の一部にせず、確固たるものにするためにもこの使節団は必要なのだ。」
「その使節団が必要なことと、娘をその使節団に入れることは別問題だ。」
父と宰相閣下が問答をしているのを眺めながら、わたしは自分の名前が挙がっている理由を考える。
(ただ成績優秀で語学が堪能 というだけでは同盟を最終目的としている和平のための使節団に、わたしのような王宮に出仕した経験もないような一貴族の娘を入れるわけがないわ。成績や語学以外の部分ももちろん、国王陛下や宰相閣下ならいくらでも調べることはできるでしょうけど…。)
自分のなかでいろいろと思考してみるが、なにせデビュタントを済ませたばかりの一介の貴族令嬢だ。アカデミーでの成績や能力などを評価されて少し侯爵家の領地の運営の手伝いをしてはいるが基本的に宮廷内や国家間の事情に明るいわけもなく、結論を出せるだけの情報がない。
国王陛下の方をちらりと伺ってみると、国王陛下は陛下で、父と宰相閣下の問答、そしてわたしの様子を観察しているようだった。
(このままだと埒が明きそうにないわね。)
意を決して、国王陛下を見据えた。
わたしの視線に気づいた国王陛下が視線をこちらに向けた。
「国王陛下、発言をお許しいただけますでしょうか。」
父と宰相閣下の話をよそに、直接国王陛下に話しかける。話しかけられた国王陛下より、父と宰相閣下の方が驚いた様子でわたしを見た。
二人は話すことをやめ、わたしと国王陛下の様子を伺う。
「よい。先ほども申したようにこれは私的な場だ。友人の娘と話すのに何の問題もあるまい。」
「ありがとう存じます。」
国王陛下から発言の自由をいただいた。
”友人の娘”という言葉を用いたことから、やはり本当に”非公式で私的な場”で記録にも残らなければ、不用意な発言をして罰せられることもないということらしい。
「かの国との和平のための使節団 の重要性というのはわたしの様な政を知らない小娘でも理解しているつもりです。そのような失敗の許されないような役割に何故わたしの名が候補として挙がったのでしょうか?」
至極まっとうな疑問を素直に投げかける。国王陛下は特に顔色を変えることもなくわたしの疑問に答え始める。
「既に宮廷に出仕している者の中からも使節団の一員として同行させることは決まっている。そしてそれに加えて、近年アカデミーを卒業したものの中で特に優秀な者何人か見繕おうという話が出てな。」
「次代の教育として、ということでしょうか?」
「うむ。そうなるな。」
「そこでわたしの名前が出た と。不思議ですね。他にも優秀な方々はたくさんいらっしゃいますし、そしてわたしは特に宮廷への出仕を希望してはいないので、直接今後の政にこの使節団としての経験を活かせるようには思えないのですが…。」
不思議そうにそう口にすると、国王陛下は言葉を一瞬詰まらせた。
我が国では多くはないが優秀であったり後ろ盾があれば女性も宮廷に出仕することが可能だ。
わたしと同じくらいの年で出仕し始める令嬢もいないわけではない。
兄がすでに宮廷に出仕しているのと、現在の国内外の貴族・王族の未婚の男女の状況を見ると情勢によっては、政略結婚をする可能性が非常に高くなりそうだったので、アカデミーを卒業する際にも出仕の希望は出さなかった。
結婚した後も嫁ぎ先の家や爵位によっては出仕や外での仕事が許されることもあるが、広大な領地の運営などが必要になってくるような高位の貴族家へ嫁ぐと それも難しい。
領地の運営や社交界、後継の教育なども立派な貴族夫人としての仕事だ。
特に現在、我が国において高位貴族にあたる公爵家、侯爵家の年頃の令嬢は少ない。
驕りでも何でもなく、ただの客観的な事実として、わたしはわたしの令嬢としての価値を理解していた。
国王陛下の一瞬の隙を見逃さず
「本当は、すでに宮廷に出仕している兄の名前が最初に出たのではないですか?」
そう口にすると、父もピクリと眉を動かし、国王陛下も宰相も驚いたように目を見開いた。
「…なるほどな。」
二人の反応を見て背景を理解した様に父はそうつぶやいた。
我が家の影響力を少しでもを削ぎたい ということなのだろう。
王太子が決まっていない現王家の王子に娘を嫁がせたい貴族家からすれば、現在公爵家に結婚適齢期の女性がいないなかで、侯爵家の直系の娘で、しかも”月明りの瞳”を持つわたしは目下一番の障害となりえる。
公爵家が養女をとって王子妃・王太子妃として送り出すにしても だ。
特に現国王陛下の二人の王子はどちらも金の瞳ではあるが”月明りの瞳”を受け継いでおらず、国王陛下の異母弟であるまだ年若い王弟殿下は存命で、しかも他国の王家出身の前王妃陛下を母に持ち、”月明りの瞳”を受け継いでいるという状況だ。
王太子任命に”月明りの瞳をもつアルヴィン侯爵家直系の妻”は後ろ盾としてなかなかに利用価値がある。
(王太子の任命ができないのは決して”月明りの瞳”を現国王陛下の王子殿下方が持たないからというだけではないし、それがなくても国王になることはできるわ。実際に現国王陛下は王族特有の金の瞳だけれども、”月明りの瞳”ではないわけだしね。ただ、政治的に利用価値が高いのは間違いないものね。)
その昔、この辺り一帯の広大な大地を一つの王国が支配していた頃、神から力を授かりその国を反映に導いたとされる王が、太陽の輝きを集めたような光輝く黄金の髪に、月の明かりを閉じ込めたような淡く煌めく金の瞳だったとされている。
なのでその血筋という証の”月明りの瞳”は、王家の血筋を引くただの金の瞳 というだけではない大きな意味合いを含むのだ。
ちなみに、隣国の王家は”光り輝く黄金の髪” を受け継いで来ている。
父側の血筋も王家にかなり近いが、わたしの母も今は無き大公家の出だ。
兄に金の瞳、そしてわたしに”月明りの瞳”が受け継がれてもなんの不思議もない位に、我が家は王家の血筋が濃い。
一目でわかる王家の血筋というのは使節団として利用価値があるのも確かだ。
隣国の貴族家の事情にそこまで明るくない敵国の貴族からしても、使節団の価値を感じてもらいやすいのだから。
そういった理由をつけられて、使節団の成功のために とわたしたち兄妹が候補に挙がってしまえば、国王陛下や宰相閣下からしても否定する理由もないであろう。
例えそれが我が侯爵家をよく思っていない家やその派閥からの推薦だったとしても だ。
(娘を王家に嫁がせたい家や、これ以上我が家に力を持たせたくない、我が家と折り合いの悪い派閥からしたら絶好の機会ですものね。)
今回の件で旨味を得る可能性が上がる家は多いだろうから、普段はいろいろな部分で対立していても今回は手を組んで国王陛下と宰相閣下に打診した というところか。
兄が使節団に任命されて何かあれば、我が家は有望な跡取りを失い、わたしも婿養子を取って家を存続させることになるだろうから王家に嫁入りなどできなくなるし、わたし本人が使節団に入っても同じことだ。
妨害をいろんな方面からうける可能性がある敵国への使節団というのは危険が伴う内容なのは間違いないし、失敗した時には責任を我が家に押し付けることもできる。
さらにわたしの場合、使節団が成功して帰国できたとしても”敵国に長く滞在していた令嬢”を迎え入れたい有力な貴族家 がどこまであるか というところだ。
(跡取りである兄を差し出すくらいならわたしを差し出すのは侯爵家としても当然の判断ですものね。もしわたしが帰国した後国内で嫁ぐことになっても、相手は我が家の遠縁や我が家と繋がりたい家格が下の家から選ぶことになるでしょうし、そうすれば少なくともわたし達の代でアルヴィン侯爵家がこれ以上力を持つ手札を少しでも減らすことができるものね。)
侯爵家でありながら、血筋や影響力では公爵家に遜色ないと言われる我が家を面白く思わない これ以上力を与えたくない というのは理解できる。
そして我が家に、白羽の矢が立つのにはもう一つ理由がある。
「そして我が家は、”前回の同盟に失敗した穏健派”ですものね。」
そう、わたしが告げると国王陛下も宰相閣下も、父ですら驚いたような顔でわたしを見た。
わたし達の世代ではほとんど意識が薄れてしまっていることだが、父達の世代、現役の当主の世代ではまだこの事実は重いのだろう。
押し付ける相手にこれほどちょうどいい相手はいない といったところか。
現国王陛下を筆頭に、宰相閣下、東の公爵家、我が侯爵家 と現在の宮廷の勢力は穏健派が押しているが、派閥は無論それだけではない。
20年前は穏健派だった北の公爵家は今は中立派で、西はもともと日和見の中立派。
過激派の筆頭は、前回の同盟を推進していた穏健派の失敗を元に盛り返した 20年前は序列下降気味だった南の公爵家だ。
そしてさらにいまだ社交界で強い影響力を持つとされる前王妃陛下は、前回の同盟のための婚姻に王女殿下を送り出し、亡くしているので過激派と距離が近い可能性が高いと聞いている。
前回の同盟失敗も過激派がかなり暗躍したのでは という話だし、今回も失敗に追い込むことができればまたこちらの派閥の力を削げ、成功すれば人選に協力した として敵対派閥としてとして肩身が狭い思いをする必要がないし、わたしという王家と縁を結ぶのに一番の障害となりえる者を排除できる というわけだ。
(失敗したときは”推薦した責任”などを”決定した”王家、宰相、その人物を輩出した家の責任に比べれば軽いものとして ここぞとばかりに攻めてくるでしょうにね。)
「だからと言って我が家が一方的に不利益を被る理由にはならんな。”過去のこと”に対する我が家の責任の代償はすでに支払われた。…シーゲル、何か弱みでも握られたのか。」
父が、事態の背景に対して一定の理解は示すが従う理由はない と言わんばかりに毅然とした態度で、ただ腑に落ちないこともあるという様子で国王陛下に尋ねる。
その問いに国王陛下も即答しかねるようで、宰相閣下も何か言いづらそうにしている。
父の言うように何かあるようだ。
そうなのだ。過去の出来事への代償は支払った上で我が家は今の序列を維持しているわけで、一方的な要求を呑まなければいけない立場ではない。
そして、いくら過激派が昔より力を持っていたとしても一番の勢力を誇るのは依然穏健派で、我が家は東の公爵家と肩を並べる筆頭の家門の一つだ。
言わば国王陛下の支持基盤でもある。
その我が家に国王陛下と宰相閣下がこのような内容を私的な場で打診してくる というのは何だか違和感がある。
(同盟を目的とした ということは25年前に結ばれることは無かった同盟を再度 という事よね。)
そこでふと、25年前の同盟 に際して行われるはずだったことを思い出し、一つの可能性にたどり着く。
「王女殿下があちらの国へ嫁がれるのですか..?」
ぽつり と疑問という形ではあるが確信をもって口に出すと、国王陛下は観念した様に瞼を一度閉じ、一つ呼吸をした。
「シーゲル、正気か?」
父が感情を押し殺したような視線を国王陛下に向ける。宰相閣下は何も言わず視線を落とした。
その表情が答えだった。
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