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街角Acter's  作者: 海花
開幕
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20.「私の天使」

「お前、知り合い見殺しにしたんだって?」


「普段英雄面してるくせに肝心な時に役に立たないとか居る意味ある?」


「てかさ、全然表情変わんなくない?

もしもーし、おーい、聞いてる?

こいつさ、英雄じゃなくてただの殺戮兵器だったりして。

ほら、なんとかってロボットがよく戦場にいるじゃん」


「あー、なんだっけアルファベットのやつだろ。

税金の無駄だって計画無くなったって聞いだぜ」


雷寿が手土産を買うのに離れた数分のうちに離れたところで待っていた春告を複数人が囲まれていた。

無表情のまま無感情な目はガラス玉の様でぼんやりと囲んできてる人間を眺めている春告の目の前で手を振ったりはやし立てたりしている数人にまるで興味が無いように見える。

助けに行かなきゃと雷寿が買った焼き菓子の詰め合わせを手に踏み出す。


「なんか答えろよ、人殺し

いつもの威勢はどうした?」


「忠犬の騎士様が居ないと怖くて声も出ないでちゅかー?」


あまりの無反応に腹が立ったのかメンバーの1人が春告の胸倉を掴み上げる。

足はつま先立ちになり殆ど床に着いていない。

苦しいだろうに顔色ひとつ変えない春告にやめなよーと言いつつほかのメンバーも囃し立てる。

我慢ならないと雷寿が踏み込む足に力を込め、叫ぼうとして途中で後方へ大きく飛ぶ。

春告を掴んでいた男から人体から響いてはいけない音が響き何が起きたのか分からない春告を囲んでいた人間は1人残らず地面に叩きつけられ呻き声を上げている。


「あんた達ねぇ、寄って集って女の子1人虐めて恥ずかしくないの?

見てるこっちが恥ずかしくなっちゃったじゃない」


春告を背に庇うように立ち女性言葉で話すスキンヘッドに色の黒いボディビルダーを思わせる大男が実に女性らしい仕草で組んだ腕から頬に手を当てて窘めるような表情をする。

どう見ても一撃で半殺しにされている面々に軟弱ねぇ。と本人達の防御力が弱い事が悪いかのように言葉を紡いでいる。


「……静恵姉さん?」


軽く咳き込んでいた春告が自分を庇った人物に目を向けて驚いたように目を開いてからパチパチと瞬きを繰り返す。


「あっらぁ、やだァもう……!

私の事ねぇさんなんて呼んでくれる可愛い私の天使ちゃん!

服がよれちゃってるけど今日も最高に可愛いわよ!

酷い目に合わされていたわね、可哀想に……怪我はない?」


春告の声と表情に恋する乙女のようにぱっと笑顔を本人は浮かべているつもりで凄みのある暗殺者のような笑みを浮べた静恵と呼ばれたその人が春告を抱き締め頬擦りし、乱れた服を手早く整え痛ましそうに顔を歪めながら頭を撫でながら聞いている。

1人でコロコロと表情が変わって殆ど表情が変わらない春告と並んでいるととても忙しない人に見える。


「姐さん、お久しぶりです。

翠炎帝を守ってくださりありがとうございます。

翠炎帝、遅くなって申し訳ありません」


脅威はないと判断した雷寿が普段通り歩みを進め2人の前に立つと綺麗な角度で頭を下げる。

その時に床に転がり春告の胸倉を掴みあげた男の折れてるであろう腕を踏みつける事も忘れない。


「いいのよ、私もたまたま通りかかったってだけだもの。

それよりも、2人とも私の部屋にいらっしゃいな、どうせ今日は非番でしょう?」


「はい、元々お邪魔する予定でしたから是非」


「新しい、服が出来たって」


雷寿の姿と態度にくすくすと笑いながら提案した静恵に雷寿が爽やかな笑顔をうかべ、春告は静恵の腕の中から上目遣いに見上げる。

そんな2人にもう、可愛いわぁ!とテンションを上げた静恵が春告を抱えあげてスキップするような軽やかさで廊下を結構な速度で歩いていく。


「あなた方の顔と名前、覚えましたから。

そちらも今日の日をよく覚えて置いてくださいね。

今日は忙しいですけど、未来の時間はたっぷりありますから」


静恵が十分に離れたところで腕を踏みつけていた足をグリグリと動かしながら悲鳴をあげる男を憎悪に満ちた瞳で見下ろし、ほかのメンバーもぐるりと見たあとニコリと笑った雷寿が

復讐を宣言してから踵を返し、既に姿の見えない静恵と春告を追って早足に歩き去っていった。

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