四方のダンジョン
電脳兵のセブンは臨海地域を重点的に飛び回り、
各地で発生している問題解決に尽力していた。
東側の海上から巨大大陸を反時計回りに周り、
今は西側の獣人族の国の港街に来ていた。
「おーい、そっちの桟橋錬成出来たら、
こっちの防潮堤の錬成も頼むよー。」
「了解ーっす。」
港街の船着場関連と高潮に備えた防潮堤の錬成は
どこに行っても頼まれる内容だ。
(いやいや、ここはまだマシな方だな。
アトランティスのメガフロートはヤバかったな。
海の浅いところの上に建ててたから、
外周部全部に壁を錬成して周ったんだよな。
東海岸沿いの人族の王都の家もヤバかったな。
1階が船着場になってて、2階から上が
住居のとこがほとんどだったから
一旦家をアイテムボックスに収納させてもらって、
高基礎を錬成して家を乗せ直して回ったんだけど、
がめつい商人に絡まれて、荷物運びさせられたなぁ。
ゴーレムですって言わなきゃよかったよ。
魔石を融通するから運ぶのを手伝えと言われてもなぁ、
魔石使い道ないんだけど。。
北部のカミュールさんの魔族の国は
違う意味できつかったな。
何故か闇人族の人達もいて、連日酒盛りになって
薄着のカミュールさんに絡まれるのが
精神的に一番キツかったな。
よし、次でこれで今日の作業は終了だったな。
ギルドに報告行って次がないか確認するかな。)
巨大大陸にはセブンの構築したメトロ沿線を中心に街が栄え、
メトロの運営に参画してくれた獣人族、魔族、人族を中心に、
龍人族、森人族、闇人族、魚人族、天翼族といった
大陸中の種族の協力も得て、メトロ商会連合が結成された。
連合長には長命種の森人族の女性が就任していた。
商会連合内には同時に冒険者ギルドも発足した。
各メトロ駅の支部を起点に周辺の問題解決の役割を担うためだ。
ギルド本部は、一番魔物が多く出没する世界樹の森の端に
置かれ、最大の支部は強い魔物が多く闊歩している
神龍様の山の麓に設置された。
本部、支部には負傷した冒険者を治療する神殿も設置され、
神官達が連日治療の激務にあたっている。
沿岸部で増えた巨大な魔物の討伐には各支部で
緊急クエストとして募集をかけ、大人数で対応しており、
今のところ討伐不可能だった魔物はなく、
ギルドのファイナルウェポンと呼ばれている
セブンの出番はなかったそうだ。
「はい、これでこの街の沿岸部の依頼は完了です。
お疲れ様でした。」
ギルドの受付にいる森人族のお姉さんから
いい笑顔と共にそんな言葉をかけられたセブンは
ちょっと癒されていた。
(このスマイルは0円じゃなくてプライスレスだな。
やばっ、後ろに行列できてるよ。退散退散っと。)
「いえいえ、どう致しまして。
じゃあ次は南の港町の方に行きますので、
事前連絡お願いします。」
「はい、承知しました。
気をつけてくださいね。」
(また、いい笑顔でそう言われるとはなれにくくなる。
ヤバイなこの子、魅力的過ぎる。)
そう思った矢先、ギルドの入り口に駆け込んでくるものがいた。
「大変だっ!!丘の向こうにダンジョンが出来たっ!!
魔物が溢れ出して暴れてるんだ!助けてくれっ!!」
ギルド内に緊張が走る。
ダンジョンは魔物も生み出すが、貴重な植物や
何故か宝箱も発見されることがあり、討伐の人気は高いが、
習熟した冒険者でも命を落とすことが
あるくらい危険度の高いものだ。
「溢れてる魔物は俺が対応するよ、
中の探索は手が足りないと思うから、
人選をしておいてくれるかな。」
「はいっ!承知しました!
みなさーん!緊急クエストですっ!
ダンジョンの探索依頼ですっ!
未知のダンジョンなので報酬もいいですよ。
金貨2枚です。」
静まり返っていたギルド内が途端に忙しくなった。
闇人族の武器屋に装備を買いに出る者、
森人族の薬草店にポーションなどを買いに出る者、
探索パーティの結成を呼びかける者と
大賑わいになっていた。
そこにゴーレム(実際はバグドローン)通信が入ってきた。
聞けば、この西の街だけでなく、
南の世界樹の森の端の港街の近くにも、
東の人族の王都の湖の畔にも、
北は砂漠のオアシスの近くにも発見したとの一報が続いた。
(妙だな、四方に同時にダンジョンが見つかるなんて。
数年に一つ出来るかどうかのものらしいのに。
四方・・・嫌な予感がするな。)
フライングユニットでダンジョンに向かうセブンは
眼内モニターを通して、出現位置情報から大陸マップに
マークをつけてくれるようサラに依頼した。
大陸の中心から東西南北の4方向に
直交線で結べる位置にマークが点灯した。
『サラ、
このマーク位置と同時の出現タイミングからみて
四方神と何か関わってるんじゃないかと思うんだけど。』
『そうね、あまりにも綺麗な配置だわ。
気をつけてセブン、もしそうなら、そこだと西の神、
白虎がいるかもしれないのだわ。
金属の属性が想定されるのだわ。
装備の確認を怠らないことね。』
ダンジョンの入り口についたセブンは
あり得ないものを目撃すると同時に、
砲撃を浴びせられた。
そこには外装がない、骨格が丸見えの状態の
機械兵団が隊列を組んで進軍してきていたのだった。
(何っ!解析結果は初期型電脳兵だと!?
チッ!それなら装備が足りん。
一旦下がって錬成するか。)
『サラ、他の地点の情報収集頼む!
俺はここを制圧する。』
ボンボンと聞き慣れた高圧縮弾の発射音を聞きながら
武器の追加錬成と制圧戦の作戦立案を始めたセブンであった。




