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怨讐の果て

巨大な移民船が海面上を滑るように北上している。

途中、メガフロートのような構造物があり西寄りに

迂回したため巨大大陸に近づいて北進していた。


ヨルムンガンドはいつものように

巨大大陸の周りの海を時計回りに巡回していた。


シヴァの暴走事変の際には、

神龍の神気を切り裂く爪で体内の力がこぼれ落ち、

体もかなり小さくなっていたのだが、

今ではほぼ元通りの大きさに回復していた。


反省していたヨルムンガンドに何処かの誰かさんが、

完全回復の魔法のようなものをかけたのかもしれない。


ゆったりとご機嫌に回遊をしていると、

前方の海中に鯨の群れが迫っていた。


 (この距離があれば飛び越えられるな。

  ・・・ちょっと周りに大波が

  立つかもしれぬが・・致し方なしだな。

  うむ、致し方なしだ、相違ない。)


まるで自分に言い訳するような考えを浮かべて、

グイッと頭をもたげ、鯨の群れを華麗に飛び越えて

少し先の海面に向けてアーチを描いていった。


 (あっ!えっ!?何だ?何がそこにおるのか?

  いかん、できるだけ直撃を避けねば!)


落下地点に何か見えない硬いものがあったらしく、

ヨルムンガンドは体を器用にひねりながら海中に潜り込んでいった。


 (痛た、ちょっと当たってしまったな、

  許せよ。そなたらも悪いのだぞ。

  見えぬのでは避けようもないのだ。

  うむ、そうだ、我は悪くない。

  直撃しないように頑張ったのだ。)


自己弁護の考えを浮かべつつ、気持ち移動速度を上げて

その場を離れていく海竜であった。

本人曰く、双方に被害はないだろうから

当て逃げではないと思っているようだ。


いや、しっかり被害は出ていた。

立派な当て逃げ事変である。



突然の巨大な竜の接近と緊急回避のアラートは同時であった。

移民船は大きく進行方向右側へ舵を切り、

船内には衝撃に備えるよう念話警報が発報されていた。


衝撃はググッとさらに右側に押されるように

船体を圧迫していた。

船体に与えた歪みは大きな影響を生んでいた。

動力炉の魔石に亀裂が走るほどであった。


 『艦長!動力炉がパワーダウンします。

  左舷に多数の亀裂が入り、浸水が数十箇所で発生、

  修復する間にも船体は数m沈み込む計算です。

  航行不能となります。』


副長のバジルからの念話報告を受けた艦長のガーラは

思わず激昂しそうになり、自身にさらに強めの精神制御をかけた。

床に座り、両手を組んで体内のチャクラを強めに回し始めた。


第3の目の奥のチャクラも回した時であった。

それまで何かが刺さったような感じがしていたのだが、

抜け落ちたかのように気分がすっきりと晴れてきた。


ガーラはロキが魔石に仕込んでいた精神制御魔法を

知らぬうち解呪したのであった。


 『何か、奇妙な感じがしたが、

  今はそれどころではないな。

  バジル、浸水被害を最小で抑えよ。

  航行よりも修復作業に注力せよ。』


何故こんなところまで航行していたのか思い出せず、

頭を振りながらも、籠もっていた艦長室を抜け出て、

艦橋の方に向かうガーラであった。


巨大な移民船は、修復作業にパワーを回すため、

この場所でバリヤを解放し、アンカーを放ち、

しばらく逗留することになるのであった。




その頃、火山の火口上空にフライングユニットが浮かんでいた。


 「火口に蠢くものがいるな。

  でかいな、身長は5m以上ありそうだな。


  あの巨人が炎の巨人か。」


セブンはここに来る直前に魔族の街を襲っていた赤い龍人族を

締め上げて、領土拡大を始めた理由を聞き出していた。


何でもかなり昔から火口に住む炎の巨人が

時折、外の龍人族の村に出てきて、戦士達を炎の剣で

しごいていたのだが、先日ごろから急に態度がキツくなり、

他の種族の町、村を襲い、領土を広げよと劇を入れ出したのだとか。

逆える者はいないため、皆従順に侵略を始めたのだとか。


ならば、元凶を叩けばこの侵略事変は終わりを迎えると考え、

炎の巨人のいる山を聞き出し、ここまで来た次第だ。



 「何者だ?

  俺の邪魔をするとでもいうのか?

  小さき戦士よ。」


 「いや、あんたの邪魔はしないよ。

  倒すだけだ。消えてくれるかい?

  古の巨人さん。」


 「ふん、寝言は寝て言え。

  俺の剣で焼き切ってやろう。

  そら!」


火口からボワッという轟音と灼熱が襲いかかり、

炎の剣が伸びてきて、フライングユニットごと

セブンを切りそうになった。


スラスターを吹かせて回避したセブンは、

魔法で反撃を開始した。



 「海神の水弾 x100」


直径10mサイズの水弾が一気に100個撃ち出された。

とほぼ同時に、


 「神鋼の金剛陣」


水弾を撃ち込んだ火口全体を虹色の金剛陣が蓋をするように

覆い隠した。

セブンの周りにも虹色の球体が取り囲んでいた。


水弾の着弾、金剛陣の蓋がほぼ同時にできると、


ボーーーンッ!!


という爆発音が響き渡り、火口全域が吹き飛んでいった。

水蒸気爆発を起こしたのだ。


それでも、攻撃の手を緩めず、

セブンはさらに魔法を行使した。


 「天空の瀑布 100時間」


先ほどの爆発音が聞こえなくなるほどの爆音と共に

火口のあったあたりに巨大な滝が叩き落とされていく。

手加減抜きで、洪水覚悟の100時間の攻撃だ。


始めのうちは水が蒸発し湯気が立ち込めていたが、

24時間を過ぎたあたりから湯気が立たなくなり、

72時間を過ぎた頃からは海を一体化したかのような

洪水が発生していた。


100時間が経過し、火山はすっかり休火山に成り果て、

海と見分けがつかない状態に成り果てていた。



ゴボッという音と共に、黒い巨人が黒い剣を持って

水面から飛び出してきた。


 「ボン、ボボボボボンッ!!」


フライングユニットの高圧縮弾を

容赦なく全身に浴びせた。


黒い巨人の体は大半が消失し、黒いモヤがかかった状態で

浮かぶというより漂っているようであった。

その状態から声がした。


 「もう許せ、もう戦うことも出来ん。


  あの神気の混じった水のおかげか

  過去の怨讐も流されてしまったかのようだ。


  倒されたというより許されたような気分だ。

  大したものだ、小さき戦士よ。


  俺はスルトだ、名はなんと言う?」


 「セブンだ。

  ・・・迎えが来るそうだ。

  スルト、達者でな。」


天空より太い光の矢が降ってきて、

スルトの体のあたりに刺さると

光の粒子となって散っていった。 


 『戦いだけが全てではないぞ、セブンよ。

  自分で生き方を、有り様を探求してみろ。』


そんな声が聞こえてきた気がしたセブンであった。

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