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破壊と再生

静謐な空間にぼんやりと柔らかな光が灯っている。


御座で瞑想をしていたシヴァは、

躊躇うようにゆっくりと三つの目を開き、

静かに立ち上がると外へ繋がる通路へ

滑るように移動していった。


 (はて、奇妙な神気の揺れがあるな。

  北の結界の外にあるのか?

  

  私が気になるとはな。何者であろうか。


  接触してきた者であれば、

  何れかの神の神徒やもしれぬ。


  この世界に来てからは

  穏やかに瞑想に耽ておったが、叶うなら

  ここの神の事も聞いてみたいものじゃな。)



シヴァは念話を使い、この巨大移民船の艦長ガーラに

北側の海上に通じるゲートの結界を

一時的に解くよう言い渡した。


シヴァがゲートから結界を出て、

海上で少しその身を浮かせていると、

結界に沿って海の上を走って来る者が目に留まった。


 (浮遊の神力を使っているのではないな。

  アトランティスが好んで使う魔法の道具かえ?

  目障りなものよ。出ねばよかったな。)


興醒めし、踵を返そうとするシヴァに

海の上を走ってきたものが声をかけてきた。


 「お待ちください。シヴァ神様。

  私はロキというこの世界の下級神の1柱。

  お話を聞いていただきたい。」



その言葉、特にこの世界の神の話に興味が湧き、

微かに笑みを浮かべて振り返り、

その者の到着を待つ事にした。


その者は海の上を走ることが出来る靴で

自由に移動しているのだという。


さらに困ったことがあり助けて欲しいという。


 「実はあなた方と縁深きアトランティスの民が

  この世界の神である私を頼ってきたのですが、

  彼らはこの世界に転移してくる時に

  武装を奪われ、言わば丸腰の状態で

  投げ出されたのです。


  ご存知のように武力として魔法が

  使える民ですが、この世界の民から見れば

  魔力は劣るようで、迫害を受けておるのです。



  この世界では静かに暮らしたいと海の底に

  国土を移した程でしたが、交易をしないと

  食べるものには限りがございましょう。


  そこで交易用に小さな島を浮かべて、

  迫害を受けながらも生きる為に仕方なく

  細々と交易をしておりましたが、

  あまりに無体な交易条件をつけて来るものが

  現れてからはそれはそれは酷いものでした。


  ついこの前のことですが、

  あまりの無体さに我慢できなくなった商人が

  交易をお断りすると激昂されてしまい、

  島ごと破壊されてしまったのです。


  このままでは交易もできずどうしたものかと

  案じておりましたところ、こちらの方から

  薄らとシヴァ神様の神気を感じ取った神が

  おりまして、是非お力添えをお願い致したく

  こうして参上した次第でございます。


  私は下級神ですので、戦う力も神器も

  このように持ち合わせておりません。

  シヴァ神様のような上級神様方のお言葉を

  神託として伝えることができる程度で

  ございます。


  過去のことで色々と思うことは

  おありかと思いますが、

  どうか同じ世界からきた同胞と見て頂き、

  お力添え頂きたくお願いを申し上げます。」


真摯に頼み込んでくる姿に、

確かに同じ世界から来た同胞への協力

ということであれば、いいのではないかと

思い始めたシヴァであったが、懸念もあった。



 「理解したぞえ。

  その無体な者共に試練を与えよ

  ということであろう。

  力を貸すことは構わぬが、良いのか?

  この世界の破壊と再生は

  別の神が司っておるではないか?

  私が余計なことをして不興を買わぬか?」


 「そこは問題ございません。

  既にこの世界の上級神からは好きにせよと

  お言葉をいただいておりますので。


  どうかお力をお貸し頂きたく

  重ねてお願いを申し上げます。」



ならば良し、

その者共がいるというあたりを破壊し、

別のものが再生を果たせば、この世界のものの進化を

促した格好になるといえよう。

久方ぶりに私らしい働きができるなと思うと

シヴァの口元には抑えきれず笑みが溢れてしまった。


その笑みをいい笑顔で見返すロキの目には

怪しい光が灯っているのであった。

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