止まった時の中で
電脳兵のセブンは不可視の海域内へ侵入し、
巨大な船のような構造物の情報収集を開始していた。
(でかいな。100kmって。
宇宙探査船というより移民船みたいに
プラントが充実してるな。
連中の会話が全く聞こえてこないな。
AIリンクみたいなものがあるのかな。
あれか、あの額の第3の目の力か。
移動中に後ろに物が浮かんで
ついていってるのもそうかもな。
見透す目だったか。
念動力とかもあるかな。
さて、そろそろ行ってみるか。)
セブンはステルスモードで巨船に乗船した。
(おっと、反応型地雷っぽいのが埋まってるな。
貰っとくか。 収納 っと。)
乗船地点付近に埋まっていた地雷を全て
アイテムボックス内に収納していった。
さらに中央部を目指して移動していると、
内部に入れるポイントを発見し、
潜入することにした。
バグドローンを先行させて
内部のマップ化を実行しつつ、
潜入調査を行なっていた。
(ここも農産物のプラントか。
そこら中にあるな。
地下というか、船内に
生命反応がいっぱいあるな。
おっ、年代測定の結果出たか。
5年前って!?予想より新しいんだな。
いや、おかしいな。闇人族に聞いた話だと
数千年前に世界樹の森に少数精鋭の破壊力が
桁違いの武器を持って攻め込んできたから
森人族との争いどころでなくなって
地下に逃げ込んだって言ってたよな。
うーん、ここからは通信阻害もかかってて
サラ達に連絡つかないな。
次の放出のタイミングで
連絡用のドローン出すか。)
予想より長閑な雰囲気の船内に戸惑うセブンは
攻撃意欲を削がれ、調査に専念する事にし、
サラ達からの意見を待とうと決めたのであった。
『はい、そうです。
我らの探査機によると
アトランティス帝国の海上の基地は
痕跡を残すことなく破壊され、
天空の国の本土も
粉々になり滅んだと見ております。』
『忌々しいアトランティスは
まだ健在ということかえ?
天翼族とは知らぬ種族よな。
どうなろうと知ったことではないが、
まだ小さな島は浮かんでおるようじゃぞ。
何にせよ、接触してきた者は
この世の理から外れた者であるようじゃな。
この私にすら見通せぬとはな。
慎重に捜索を続けよ。
敵対するか否か、判断は
話を聞いてからで良い。』
『はっ。仰せのままに』
この巨艦の艦長を務めているガーラは、
御座のシヴァ神に一礼をし、祭祀室から艦長室へと
戻るのであった。
(我らが新天地を求めてこの星を飛び立とうとして
既に6千年以上が経つがシヴァ神様の御加護か、
時の流れは止まっておるように思うておったが。
周りが動き始めたのか。
どの勢力かは分からぬが、もう信じる神の為の
戦争など避けたいものだ。
あれ程忌々しく思うておったアトランティスも
海の底に帝国を築いて
ひっそりとしておるくらいだ。
我らもこのまま静かに暮らしていければ
何の望まぬのだがな。
さて、バジルを呼んで
接触者には慎重に接するよう
言い渡すとしよう。
シヴァ神様も激しい気性のお方かと思うたが、
あのように物静かな方であれば、
今のままで良いと仰られるのも
当然であろうな。)
ガーラの額の目が赤く光り出した。
第3の目の能力である念話で
バジルを呼んでいるようであった。
「サラ様、例のアトランティス帝国の本土の跡を
調査した結果ですが、このように海底に
巨大な認識阻害のかかった領域があることが
確認されました。
まだ、戦争の脅威はなくなっていないと
判断されます。」
「そうね、
この大きさだとこの前の本土と思っていたのは
小さな拠点のようなものね。
天空の国も別の場所に
本土があるかもしれないわね。
だから、予想より衝撃波が弱かったのかしら。
やられたわね。
セブンにはまだ連絡つかないようだし、
私が捜索に出ようかしら。」
「あ、何となく何だけど、
あたい行ってみたいんだけど
ダメかな?」
「ダメね。
セブンもパイロが戦闘に関わるのは
避けさせたいと思っているのだわ。」
「捜索地が海であり、アトランティスも
海底ということもあります。
ここは私が行かせていただきましょう。」
「そうね、悪いけどカイ、
頼まれてくれるかしら。」
「お任せください。」
ダイビングユニットで拠点から
海へ移動するカイの姿を
パイロは心配そうに見送るのであった。
(胸騒ぎじゃないけど、
何だか会いたい気持ちがあるんだけど)




