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巨大な魔獣

巨大大陸の南西部には世界樹の森が広がっている。

この森の南は海に面している。

ココナッツの様な実をつけた木が

ふさふさと茂っている


セブン達はここに魔獣討伐に来ていた。


前日のことだ。

いつものように世界樹の森に入った辺りで

カカオマスの収穫をしていると、

以前あったことのあるエルフのご一行がやって来た。


エルフの族長グランによると、

この辺りで最近巨大な魔獣が出没し、

困っているのだとか。


そんな時、世界樹の精霊様から、

大きなヒクイドリを仕留めたセブンなら

何とかして貰えるのではと進言を受け

お願いに来たとの事だ。


聞けば、その魔獣はキラーファングより大きく

見ただけで死にそうになるとの事だ。


 (いやいや、見ただけで死ぬんだったら

  誰にもどうにも出来ないんだけど、

  無茶振り過ぎるな。)


報酬はこの辺りのココナッツの実取り放題と

世界樹の精霊から加護の力がもらえるとの事だ。


この話を聞いたパイロは食い気味に了承し、

いそいそとやってきた次第だ。


 「これだけあると、色々作れ過ぎて悩む。

  セブンのアイテムボックスに入るだけ

  貰っていこうよ。」


 「いや、アイテムボックス無限に入っちゃうから。

  この辺り魔獣に襲われるより悲惨な姿になるから。


  ほどほどにしておいた方がいいかと。

  って、魔獣ってあの白い山みたいなあれかな?」


 「えっ?あれは山だよね?

  あれっ?何か動いてない?

  ゆっくり膨らんだりしぼんだりしてるよ。」


 「あー、お休みになられてますね。

  いっその事、このまま永眠して貰いますか。


  バグドローン、リフレクトモードで出してくれる?

  二人で合わせれば一気にいけるかと。」


 「いいよ~。

  何か寝てるだけなのにかわいそうな気もするけど

  大きすぎてヤバいよね、やっぱ。

  ごめんね~魔獣さん。」



パイロとセブンのバックパックからバグドローンが、

大忙しで飛び出してきて魔獣の周りを囲い始めた。


 「じゃ、マイクロウェーブパルサー最大照射っと。

  許せよ~。」

 「ごめんよ~。」


ぶるっと山が震えて動こうとした気配がしたが、

すぐに動きが止まり、おとなしく加熱調理されてしまった。



 「これくらいでいいかな。

  生体反応なし、ちょっと切ってみるかな。

  うーん、美味しそうな匂いじゃないな。

  腐ったらヤバいから、アイテムボックスに入れとくか。

   収納 」


小高い山のような魔獣がふっとかき消え、

後には踏みつぶされたココナッツの実が散乱していた。


 「あー、もったいない!

  あの魔獣やっぱ悪い奴だったよ。

  討伐して正解だね。


  さ、セブン、収穫収穫~ ♪♪」


ご機嫌になったパイロは、サラから

バニラビーンズ発見の一報を受けるまで

荷物持ちのセブンに向かってココナッツの実を

投げ渡し続けていたのだった。




白い靄の中で、あきれるような声が響いた。


 「さすがにあきれたわ。

  あの子達、自分達が何をしたのか

  気にもしていないわね。


  でも、これで大きく運命が変わっていくわ。

  違うわね、始まる前から

  戦いにならなくなったのではないかしら。


  良くも悪くも色々とやってくれるわね。

  違う意味で不安になるのだわ。」


苦笑いを含んだ声が靄の中に染み通っていった。




このところ暑い日が続くネコ獣人族の村では、

ネコミミ型の白い帽子をかぶったパティシエ、パイロが

バニラアイスクリーム、チョコアイスクリームを開発し

子供達だけでなく大人達からも絶賛を受けていた。



海の街までの交易用にと、セブンが外側を錬成し、

サラが内部を氷結させた保冷荷馬車が完成してから

新鮮な魚だけでなく、途中の牛人族だけの村の

ミルクも交易できるようになって、

村には様々な食材が揃い始めていた。



そのミルクに真っ先に目をつけたのがパイロであった。

ミルクチョコに始まり、様々なスイーツを

カイ、サラと共に作り出し、子供達からは

パイロお姉ちゃんからパティシエお姉ちゃんと

呼び名が変わるほどだった。


本人曰く、ネコ獣人族の子供達をモフれるだけで

お代はいらないどころかお釣りが出そうなのだとか。



交易に力を入れ出した村のためにと

セブンは村の戦士達と平原や森の入り口付近で

魔獣を狩って大量の肉を調達するようになっていた。



そんなある日、牛人族の村でいつものように

ミルクと肉や魚の交易をしていると、

人族の街から来た商人のキャラバン隊に出会った。


たまに、人族の街から獣人族の海の街に

商人のキャラバン隊が交易に来るのだが、

獣人族は基本的に人族の作った貨幣を使わないため、

物々交換の交易となる。


今回はどうやら目的が違ったようだ。

商人曰く、保冷荷馬車というものがあると聞いて

是非とも手に入れたく探し歩いていたそうだ。


幸運にもセブン達の保冷荷馬車に出会え、

目の中に星が煌めいているのが分かるくらいの勢いで

見学希望と即座に交易希望を全身でお願いされる始末だった。


セブンだけでは完成しないので、丁度村に戻るところでもあったので

商人のキャラバン隊も一緒にネコ獣人族の村まで同行する事となった。


村について、パティシエのスイーツに目を剥き続け、

持っていた食材や衣類だけでなく、

有り金も全て出そうとしていたのを止めて

次に来る時に、村人の要望する商品を持って着て貰って、

都度交換しようという話でまとまった。


人族の街への出店も話が出たが、

パイロが人族の街へ行くことを頑なに嫌がり、すぐに流れた。


 「自分が作ったもので喜んでくれる子供達の笑顔に

  囲まれて過ごす事が生きがいなんだよね。 

  この村のことも守りたいし、離れる気持ちはないよ。」



戦う以外の生きる目的を見つけたパイロに

羨ましいなと思うセブンであった。

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