炎を纏いし者
ネコ獣人族の村に襲い掛かってきたアトランティス帝国軍は
セブン達のミサイル攻撃によって拠点の島を破壊された。
天翼族の兵士達は拠点であり、兵站の補給庫でもある島が
焼け落ちていく様を、宙に浮かんで呆然と見つめていた。
その島の内部では、爆炎で焼かれた金髪の男が
息絶えようとしていた。
「おのれ!先住民共め!
やっと参謀長まで上り詰めたというのに!
斯くなる上は、この島ごと落としてやる!」
全身を焼かれた金髪の男の緑の目が光を帯びた時、
その目の奥から炎が噴き出し、完全な消し炭と化した。
「こんな炎で死んじゃいそうになるなんて
超弱すぎて話になんないんだけど。
ここ無くなっちゃうと困るんだけど。
勝手に死んどいてね~。
超やばいなぁ~、メイドのお姉さんもみ~んな
死んじゃった感じだよねこれ、
出たくないけど、また外に出て憂さ晴らしに
燃やしちゃおうかな。」
青い炎の中から、真っ赤な瞳が部屋の片隅の方を見つめていた。
島の外では、バーニアで飛び回るセブンが天翼族の兵士達と
乱戦を開始していた。
セブンの場合、天翼族の魔法攻撃でパーツに損傷を受けても、
すぐさま錬成で再生でき、結果的にはノーダメージで戦闘可能だ。
(いやいや、すぐに錬成できるったって
バンバンバンバン撃たれ過ぎなんだけど。
まぁ、地上から速射砲の援護あるから
後100人くらいなんで、もうちょっとかな。
しかし、連中も戦意失わないって言うか、
降伏する気なさげだな。その概念ないのかな。)
同じようにバーニアを付けて空中戦をするネコ獣人族の兵士によって
最後の一人も討ち取られ、残りは地上で散開して攻撃をしている
魚人兵のみとなった感があった。
(この空域に認識阻害かかった物体はなさげだな、
地上戦に合流するか。)
セブンがステルスモードを起動しようとした瞬間であった。
セブンの左腕に覚えのある弾丸が撃ち込まれた
(この威力!高圧縮砲じゃねえのか?
50口径クラスってことは、フライングユニットレベル!)
そう見抜いて高速移動を始めたセブンの傍に、
見慣れた青い機体が突っ込んできていた。
(何だと!フライングユニット!
サラとカーラ、じゃないのか!?)
滞空し、この空域の異常検知を始めたその機体は、
やや上空にいるセブンに向き直ると、再び高圧縮弾を放ってきた。
(ヤバい!このバーニアじゃ振り切れん!
よし、地上すれすれで勝負だ!
ついて来いよ、電脳兵同士の模擬戦で不敗の俺が
相手してやるよ!)
地上付近まで降下したセブンは、あえてステルスを解き、
敵対するフライングユニットに向け、指先から高圧縮弾を
連射した。
(え~何あれ、何で電脳兵っぽいのがいるの?
っていうか、あの圧縮弾!マジ電脳兵じゃん!
何でここにいんのよ、超だるくなっちゃったんだけど。
燃やしちゃうかな。
もうちょっと近寄らないと届かないんだよね~。
逃げないでよね~、きれいに焼いてあげるからさぁ。)
フライングユニットがセブンを追走し始めた。
セブンは蛇のように地表をくねりながら、フライングユニットの
射線から外れつつ、フライングユニットが横向きになって
隙を作るのを待っていた。
フライングユニットがは前面にはシールドを張れるが、側面は無防備だ。
大きく旋回したその時、スピードで勝るフライングユニットが
いい感じに横に向いた、その隙を逃さず、セブンは手投げ型サイズに
小型化した改良型燃料気化弾を手前で炸裂するように投げつける。
シュッ!ボーン!
という独特の炸裂音と共にフライングユニットが焼かれていく。
(これはきついだろ。
何っ!?)
フライングユニットの下部中央付近から見覚えのある青い炎が沸き起こり、
その青い炎はパージされ、セブンに向かって飛び掛かって来た。
「燃えちゃえ!
オン シュリ マリ ママリ マリシュシュリ ソワカ!
不浄潔金剛炎!」
片手の奇妙な形を見た瞬間、セブンは身を翻して方向転換を図った。
右腕の先が中から焼かれていた。
「あの手の形、この炎、烏枢沙摩明王の浄化の炎か!?
そっちがその手で来るんなら、こっちはこうだ!
オン ナンダ バナンダ エイ ソワカ!
海神の水弾!」
青い炎を纏った敵の反応炉がある辺りを中心に、内側から水が溢れ出て来た。
途端に、青い炎が消え去り、敵の体が地面に落下し、ゴロゴロと転がっていく。
セブンの放った陰陽術で敵の反応炉を強制冷却し、パワーダウンさせた結果だ。
うつぶせに倒れた敵のバックパックには SPT-11の表示が見て取れた。
(おいおい、お仲間かよ。って、11?10号機までじゃなかったのか?)
「う~気持ち悪いんだけど、力入んないんだけど。」
セブンと同じアーミースーツの敵がゆっくりと立ち上がってくる。
背格好まで似ているが、顔周りが大きく異なっている。
赤い髪と赤い瞳の美少女に見える。
その瞳が大きく見開かれた。
(ちぃ!あれでもダメかヤバいな、あの炎、
どうする接近戦でやるか。)
そう思った瞬間、美少女電脳兵は赤い瞳に奇妙な色浮かべて
急速にセブンの前まで移動していた。
(何だ、この速さ!早過ぎだろ!!、回避間に合わん!)
驚きと共に覚悟を決めたセブンには、攻撃ではなく声がかかった。
「ねぇ、あんた、チョコ持ってるっしょ!
ちょっと頂戴よ!その匂い、ロイ〇のチョコっしょ!?」
えっ!?思わぬ展開に硬直してしまうセブンであった。




