サラの魔法
ネコ獣人族の村の家々を回って補修・補強を行う、
迷彩模様のフル装備姿の男がいた。
「何かものすごく違和感があるのだわ。
そのフル装備のままだと、大工仕事をしているというより
何かの仕込みをしているようで見ていて不安感があるのだわ。」
「いや、無茶言うなよ。これ、俺の標準状態なんだけど・・
大工さんにジョブチェンジしてるんですけど。」
「そのような物騒な装備をした大工さんは
過去にも未来にもいらっしゃらないかと。
セブン様、思い切って装備外しては如何でしょう?」
「カイまで。。だからこれ外そうにも外れないから、
すでに真っ裸状態と一緒だから。
いや、その理論で行くと、俺は常に全裸か。」
「通報されますよ。
いえ、そのままの姿でも普通の村人に見えませんので。」
各家を回っていると村人でも女性陣は威力が弱いながらも
火・光魔法の使い手が多く、男性陣は風、土魔法の使い手が
多いことが分かってきた。
威力の弱さから、生活魔法レベルとして分類されているそうだ。
「衣類の汚れが目立ったのだけれど、
お洗濯系の魔法はないのかしら?」
調理器具類も水を使わないようにするため、
土でこすり落として布で拭うやり方であった。
聞けば、洗浄系の魔法は聖魔法の使い手でないと
発動できないらしい。
「そういえば、私にも魔法が使えると
女神様から教えて頂いていたのだわ。
私達の生活には不要だったので試す機会もなかったのだけれど
丁度いいのだわ。」
そう言うと、サラは眼内モニターからステータスの確認を実行した。
「あったのだわ。食器類も衣類も、人の体も洗浄・無菌化した状態になる
浄化 の魔法なのだわ。
初魔法ね。 早速使わせて貰うわね。
浄化 」
家の中すべてがダイヤモンドダストに包まれたように煌めき、
家の中が澄み渡るような感じになっていく。
煌めきが治まると、家の中の壁までも輝いているかのように
清潔感あふれる状態になっていた。
「ありがとうございます!久しぶりに体まですっきりとしました。」
各家を回りながら使っていくと、サラに対する感謝の声は
どんどん強くなっていった。
中には体調を崩していたものもいたが、サラの浄化魔法で
復調し元気を取り戻すものもいた。
「あれ?なんか俺よりサラの方に感謝の声が
大きいような気がするんだけど・・。
ま、いっか。
錬成で上下水道できて衛生面はかなり良くなったことだし、
後は狩りで取ってくる食材の保管庫だな。」
「氷室のようなものなら私の氷魔法で何とかなると思うのだけれど、
少し奥の傾斜のあるあたりに、保存倉庫を錬成してもらえるかしら。」
「はいはい、あの辺りですかね。」
村の奥側にはまだ未開拓の草原が広がっている。
その少し小高い丘の上に、物見櫓も備えた保存倉庫を
錬成するセブンであった。
「 氷結 」
サラの声と同時に倉庫内部に煌めきが生じ、
内部は分厚い氷の壁で覆われていた。
予想以上に入り口近くまで凍り付いたため、
あわててセブンは入り口の手前に前室を錬成し、
新たな出入り口を急ごしらえするのであった。
「さっきステータスをじっくり見たのだけれど、
能力ランクはセブンと同じになっていたのだわ。
スキルの方は生活魔法の浄化・氷結・解体と
生活魔法に思えない名称の光魔法が使えるのだわ。」
「光魔法って照明弾みたいなあれかな?」
「どうかしら、そうね、ここで魔力最大で使ってみるのだわ。
審判の閃光 !」
サラの強めの声の後、電子眼の露出調整が一瞬追いつかない程の
閃光が炸裂した。
「きついよ!きつすぎだよ!どんな生活に使うんだよ!
球戯場のライトよりきつすぎるよ!」
「そうね、最大だと思っていたよりきついわね。
これは魔力を抑えて使えるから普段使いには
最小レベルで村の街灯代わりにしましょう。」
サラの後をついて回っていたネコ獣人族の女の子が
後ろから小さな声で意見をした。
「あの~サラ様。みんな夜目が効くので大丈夫ですよ~」
「あー・・・そうよね、そうだったわね。」
サラが女の子を優しく見つめながら笑っていた。
そんな光景を前にしてやはり防衛に力を入れたい、
守りたいという気持ちを強めていくセブンであった。




