あるがままに
魔族国の女王、カミュールの 過去視 から
現実の世界に戻った電脳兵のセブンは、
いきなり強い殺意を向けられた。
テント周りに展開していたバグドローンからの映像には、
巨大な火球を撃とうとする女の姿があった。
(神鋼の金剛陣)
カミュール共々虹色の半球体に覆われると同時に
テントごと中のものすべてを焼き尽くすような
ファイアボールが撃ち込まれた。
(なんだ、この虹色の球体は?
魔法障壁だというか、これが?
これだけ周りを焼かれているというのに
全く熱さすら通さんとは、
ただの魔法障壁ではないな。)
感心するカミュールをよそに
セブンは行動を開始した。
炎が治まると同時に、火煙がまだ上る中で金剛陣を解くと
暗殺者のいる辺りに両手の指先から高圧縮弾を
最大圧縮で火煙を打ち払うが如く連射した。
ボンボンボンボンボンッ!!
「ギャァー・・・」
悲鳴らしき音が聞こえなくなるまで撃ち込んでいると
火煙が治まり全身穴だらけの女だったものが
かろうじて立っているのが目視出来た。
ドサッっという音と共に肉の塊がくずおれた。
肉塊の顔のような辺りを見て
「やはりな、フィアーおまえだったか。」
と、カミュールがこぼした。
「やはりって、謀反を起こしそうなことをご存じだったんで?」
「ふっ、済んだことだ。
さて、それよりも周りの状況確認の方が優先であろう。
・・ひどいな、皆焼け落ちておる。。
過去視 を使っている間に皆やられたか・・。
迂闊であった。
また、わらわは臣下の犠牲の上に生きる事になるのか。
こうも凶事が続くと臣民の言う通り、
運命の女神ノルン様を呪うものが出ても咎めれんな。」
「ん?それはどういう事なんです?運命の女神を呪うとは?」
「運命の女神ノルン様は、信仰する者から凶事を払い、
幸いをもたらすというのがノルン様を祀る教会の教えだった。
だが、祈れども凶事は去らず、悪化するのみで
いつの間にか信仰するものが途絶えているのだ。
獣人族の中には過酷な運命すら、強くなるための試練と
受け止め、逆に喜んで信仰を深める者もいるようだが、
魔族の国では何百年も前に廃れておったな。
人族の国か?あの国では一部の者が根強く信仰していると
聞いたことがる程度だ。
わらわか?わらわは信心深くはないが、あるがままを受け入れ
どうすべきか、何をなせるのか、為さねば成らないのかを
即断即応することが王の使命であると心得ている。
ただ、女神様に祈るだけの者には、力を尽くさぬ者には
手を差し伸べては下さらんという事だろう。
たとえその力が、一部の臣民の犠牲の上に成り立つことで
あったとしてもだ。
すべてを救えないのであっても救えるものだけ救うことを優先する。
わらわは神ではない、いや、神であっても
命の選択は迫られるやも知れんな。
とは、いっても、たまにはすべてを救う事に命を懸けてみたくもなる。
王といえども、わらわの性根はわがままなのでな。
時に運命に逆らって足掻いてみたくなる時もある。
さて、セブン。頼まれてもらえるか?
息のあるものを探して、先程の治療魔法で救ってやって欲しい。
全員とは言わん。出来る限りで良い。
ただな、見ての通りそなたの働きへの報酬は我が身くらいだ。
趣味ではないだろうが聞いて貰えぬだろうか?」
「いや、俺には性機能とか、そもそも性別もないので、
ただのメタルゴーレムなんで、ご安心を。
代わりに後で聞いて貰いたいことがありますが、まず
治療と蘇生の魔法で皆さん復活してもらいましょうかね。
あー、その肉の塊はどうします?
蘇生させてどういうつもりだったのかとか、
聞き出したりできますが?」
「そ、蘇生だとっ!!本気で言っているのか!
それこそ運命の女神に逆らうような行為だ!
運命の女神の加護の力ではあるまい、そなた一体何者だ!?」
「いえ、間違いなく運命の女神様のお力を受けたゴーレムです。
ただ、使える範囲と回数には限界がありますが、
これこそ為せるときに為すための力かと。
存分に振るわせて頂きますが、まず、この焼け野原の
中から皆さんの遺体を集めてきてから、やります。
前の世界では人を殺すためだけの存在だった俺には
贖罪なのかもしれませんねぇ。
じゃ、その女どうするか後で指示願います。」
「そうか、では力添えを頼む。
それとそのフィアーの方はそのままでよい。
わらわの 過去視 で視れるのでな。」
「なるほど、その手がありましたか。
では、その間だけでも護衛をつけさせてもらいますね?
カーラ、ステルス解いて降りてきて、女王様の警護を頼む。」
そうセブンが言い放つと、カミュールの目の前の空間に
揺らぎが生じたかと思うと、スカイブルーの機械が顕現した。
先端部に頭を下げた姿勢の3Dホログラムのカーラが姿を現した。
「お初にお目にかかります、女王様。
セブンと同じくメタルゴーレムのカーラと申します。
以後お見知りおきを。
早速警護の任に就かせて頂きます。」
「おおっ!ゴーレムの精霊様!?
もったいないお言葉。わらわこそお頼み申します。」
なんかカミュール女王の頬が紅い気がするんだけど。。
またかよ・・3Dホログラムの方が格上の扱いだな、この世界じゃ・・・
ぶつぶつといいながら、消し炭と化した魔族の民の遺体を集めて回る
セブンであった。
巨大大陸のはるか東方の海に、100km四方程度の
大きさの陸地が浮かんでいた。
海の神の子孫であると標榜する海人族が大多数を占める
アトランティス帝国である。
魚人族は鱗や尾びれの様な尻尾があるのが特徴で、
肌の色や髪の色など多種多様な民族だ。
対して、海人族は褐色の肌に金髪が固定で
瞳の色は様々な民族だ。
海人族でも、王族に列する者たちは自らを
海神族と称している。
王族に列する者は総じて、体内の魔石の魔力保有量が多く、
使用できる魔法種類も数種類あることが珍しくなかった。
体内に魔石があるのは魔族、獣人族と同じだが、
使用する魔法の強さが桁違いであるため、
他の種族を劣等種として見下す傾向があった。
その帝国の王宮で、一人の男が水晶玉にかざしていた手を
降ろして、大きなため息をついた。
「はぁ~・・・。
アラン王子に続いてフィアー王女までも
しくじりましたか。
お二人とも大陸を制圧してくると息巻いていた割に
あっけなくやられるとは。
さて、神官長に報告しますかね。」
薄暗い部屋から、ほのかに光を放つ水晶を見捨てるように
男はその場を立ち去って行った。
さてと、これで全部だな。
「完全蘇生」
虹色のウェーブがあたりに漂い、霧散すると同時に
がやがやとにぎやかな喧騒が戻ってきた。
「・・・信じられん。一人残らず死んでおったというのに
皆一様に生き返るとは。。
そなたはまこと女神様が使わされた御使いであるのだな。
皆のもの!落ち着いて聞いてくれ!
先程敵の手によって皆焼き殺されたのだが、
ここにおわす、運命の女神様の御使いであるセブン殿に
蘇生 の奇跡を行使していただき、皆復活を遂げた次第だ。
ここで朽ち果てることは、運命の女神様の思うところではないという
思し召しと受け取った。
幸い水もセブン殿の奇跡で補給できるようになった。
この運命の流れに乗り、先にわらわが話していた通り、
ここに見切りをつけ、龍神のお山を目指すこととする。
過酷な旅路となろうが、皆ついて参れ。」
皆応じる反応でカミュールの話に頷き、準備を始めようとしていた。
皆痩せてるな・・。
あ、あの肉まだあるし、いっちょやるか。
「あー、皆様に提案がございます。
女神様の加護を受けたメタルゴーレムのセブンです。
(この際この流れに乗せとくか。)
女神様の加護のお力でワイバーンの肉を預かっております。
皆さま先に焼肉などにして食べて頂き、体力をつけられる方が
よりより結果につながるかと思います。
女王様、よろしいでしょうか?」
「願ってもないことだ、よろしく頼む。
皆のもの、肉をいただこう。用意を頼む。」
わらわらとテントの残骸に向かい使えそうなものを
探し始めるのだった。
(そうだ、完全回復で物も治せるんだったな。
魔力の残量みてやれるだけやってみるか。)
そう思うと、セブンは眼内モニターの中から、ステータスを
確認し始めたのであった。
(何だこれ?魔力めっちゃ余ってるんだけど?
えっ?勇者の討伐者?海神族王族の討伐者?)
セブン 種族:電脳兵 年齢:110万時間 性別:なし
職業:
テイマー ・バグドローンのマスター
・クロのマスター
・サラのマスター
狩人 ・ヒクイドリの討伐者
・トレントの討伐者
・ミスリルワイバーンの討伐者
・勇者の討伐者
・海神族王族の討伐者
暗殺者
身長:175cm
体重:280kg(標準装備時)
攻撃力:S
生命力:S *up*
魔力:A *up*
俊敏性:S
耐久性:S
スキル:
魔法創造 攻撃魔法 1天空の瀑布 2海神の水弾 3極北の凍結
防御魔法 1神鋼の金剛陣 2不可視の盾 3ダメージ軽減
支援魔法 1完全蘇生 2完全回復 3錬成
(newじゃないってことは、いつの間にかやらかしてたのか。。すまんな王族様
おっ!錬成ってあの勇者が使ってたあれか?キタコレ!弾薬無限化できるな。
いや、重火器作り出して戦えるな。胸アツな魔法サンキュー女神様
あんたの汚名少しは晴らせるかな。)
アイテムボックスからミスリルワイバーンの肉を出しながら、
女神に感謝するセブンを見つめるカミュールの瞳には
深刻な影が宿っていた。
お読み頂いた皆様、
ご評価、ブックマークも頂いた皆様に
感謝致します。
少し書くプレッシャーを感じて
変な汗出ちゃってたりしますが、
ない頭絞って日々書き続けるよう
頑張ってみます。
誤字脱字だらけでごめんなさい。
気にせず流して貰えるとありがたいです。
(*´꒳`*)




