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異世界初戦闘

シュッ! シュッ! シュッ!


前方の木々の上からセブンに向けて何かが放たれた。

回避運動を行いつつ、ステルス・サイレンスモードを起動する。


サーモ探知モードで木の上に立つ敵兵、5体を確認できた。

同じようなステルスモードを起動しているようでバグドローンの光学認識にはかからなかったようだ。

危なかったと思いつつ、先ほどまでいた位置を見ると、矢が突き刺さっていた。


矢って。。しかも木製!?先は石??いつの時代の攻撃??

これ反撃したら可哀そうなことになるなぁ。

彼らの殲滅命令受けてるわけでもないから、このまま回避して先に進むかな。


そう思いつつ移動開始すると、胸の中から黒い毛玉が顔を出してきた。


  「み~ み~」


やばい、サイレンスモード 全く意味なし!!


速攻で矢が飛んできた。反撃の意思は皆無なので、ここはマッハで逃走開始!



そういえば、肉系の食料ないなぁ。連中撒いたらクッキーあげるかな。

クロすまぬ~  栄養足らないよな、これじゃあ。



と思いつつ、高速移動で森を駆け回っていると、頭上から奇声と共に炎が落ちてきた。


  「危ねっ!いきなりかよ!クロが焼けたらどうしてくれる!!」


急降下してくる始祖鳥みたいな鳥へ怒りと共に攻撃モードを起動。

よし、ここは一気に食べやすくマイクロウェーブパルサーで加熱調理してやろう。


バグドローンをリフレクトモードでバックパックから展開し、胸部前面から磁場シールドを展開して

クロも一緒に守りつつ、突き出した両掌からマイクロウェーブパルサーを照射!

バグドローンで効率よくリフレクトされて始祖鳥もどきが湯煙を上げながら加熱されていく。


と、突然。


  「バンッ! バンッ! バンッ!」


という大きな音と共に始祖鳥もどきの腹が破裂し、墜落し始めた。

どうやら、内部に卵があったようだ。


落ちた時にはいい感じの蒸し焼き鳥になっていたので、

即座に食べられそうな部位を左手に仕込まれてるブレードで切り落として、

反応炉用の予備の水筒ホルダー内から水筒を取り出して収納した。


入りきらない肉は移動途中で採取した笹に似た葉っぱで包んだ。

この葉には防腐効果があるようだ。お土産物っぽいな。


早速、小さめのモモ肉をクロにあげると、小さな手で押さえながら頑張って食べていた。

水筒にはここに来る途中で見つけた小さな小川の水が入っている。

この水は、分析の結果、軟水で微生物類も見られずクロの飲料用としても問題なしだった。

つやのある皿のような葉っぱに水を入れてやると、鼻に水つけてくちゅんくちゅん言いながら飲んでいた。


ふと、周りを警戒すると先程の弓矢攻撃隊のご一行が接近しているようだった。

クロが水を飲んでいるので、手加減した打撃攻撃で応戦しようと思い、待ち構えていると、

ご一行は視認可能な距離になっても攻撃してくる様子がなく慎重に木々を渡って接近してきた。


木から降りて、弓は肩にかけて両手を開けた状態でさらに近寄ってくる。

3mくらいの距離まで歩み寄ってきて、向こうから話しかけてきた。


  「ヒクイドリを仕留めるとは、大した腕だな。

   そんな強さがありながら、先ほどは何も反撃もして来なかったのは何故だ?

   まぁ、われらの集落に害意がなく近寄っただけなのなら、攻撃してすまなかったな、

   人族の若者よ。」


いや、人じゃないんですけど。しかも若いかどうかも分からないんですけど。

まぁいいか。ちょっと上から目線だけど一応謝ってるようだし。


  「いや、こちらも不用意に接近して悪かった。攻撃の意思はない。

   この子の食料になるものを探していたんだ。

   俺は人族ではなくて機械の体の電脳傭兵だ。

   あなた方も認識阻害のステルス機能が使えるということは電脳兵なのか?」


と、返答・質問すると、ご一行は変な顔をして互いの顔を見合わせていた。


  「いや、機械の体というのは理解できないが、われらの認識阻害は魔法防御の一つだ。

   電脳兵とはどういうものなのだろうか?

   失礼、名乗りが遅れたが、グランだ。」


あー、そういやメッセージに魔法がどうとか書いてあったな。

ずるいな魔法。・・・俺も使えると便利かもしれないな。


ん??何かご一行に違和感が・・・。

あーっ!耳が細長い!!エルフだ!生エルフだ!!

ファンタジーな世界ならではの種族だな。ちょっと感動。


  「あー、こちらこそ名乗りが遅れた、セブンという。

   電脳兵は、こちらの言い方だと、人族を兵器と一緒にしたような兵士だ。

   だから、()人族だな。」



ふと見ると、エルフのご一行は鶏肉の葉っぱ包みに目線がロックオンされている。

クロだけで消費するには多すぎるし、腐らせるともったいないなと思い、

情報交換の材料に使うことにした。


  「そういえば、この鳥の肉だが、余ってしまうので貰ってもらえるだろうか?

   できれば、この森でこの子を大きくしたような生物がいれば、情報が欲しいのだが。」


クロをじっくりと見て、ご一行の顔が険しくなった。


  「ヒクイドリはとても美味しいので貰えるなら有難くいただこう。

   それに似た暗黒豹の魔獣の類に、われらの倍くらいの大きさのキラーファングという

   大きな牙を持つ魔獣がいるにはいるが、見かけたら即座に逃げないと命を落とす強敵だ。

   人族に倒せるような魔獣ではないので、やめた方がよい。

   この森を出て平原の先に見える山の方には、ビッグファングという少し小型の魔獣がいると聞く。

   そちらの方がお勧めだ。」


  「情報、感謝する。

   では、その山の方に向かいたいのだが、そうなるとまたあなた方の集落のそばを通るかもしれないが

   いいだろうか?」


近づいて、鶏肉の葉っぱ包みを全部手渡すと、とても嬉しそうに受け取ってもらえた。


  「大物はさすがにいい肉が多いな。皆が喜ぶ顔が浮かぶ。

   この肉の礼だ、今から集落に戻るので一緒についてくるといい。

   先ほどの速さなら、何とかわれらについて来れるだろう。」


  「ありがとう。では、遅れないように途中まで同行させて頂く。」


いうが早いか、ご一行は来たように木の上に飛び上がると木から木への高速移動を開始した。

こちらも、水を飲み終えてゴロゴロ喉を鳴らしていたご機嫌のクロを胸部ボックスに収納して、

木々を避けながら、ご一行を追走した。


先程の会話をしている最中に、話しかけてきたエルフの服にバグドローンを忍ばせていたので、

自動追尾機能で移動できるようになったので楽に感じた。


しかし、すごい身体能力だ。忍者軍団かよ。

そう感心していると、集落が見えるポイントまで戻ってきていた。


  「この右手の獣道を進むと平原に続いている。

   途中も魔獣が出るが森の外に向かう方向なので強い魔獣は少ないから、問題ないだろう。

   気をつかれて行かれよ、セブン」


  「ありがとう、グラン。では、さようなら」


手を振って、獣道に出て高速移動を開始する。


似たような生物からなら、あわよくばクロが飲めるミルクを手に入れられるかもしれない。

それが、襲ってくる敵ならば自動反撃で倒せるだろうからと、冷酷な電脳が非情な思考を押し出してくる。


その敵には乳飲み子がいることになるのだが、それでも俺は平常心のまま倒してしまうのだろうと

これまでの傭兵活動のメモリーから思い返し、すでにない心臓がつかまれるような感覚を覚えるのだった。

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