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揺れる世界 見守る神 介入する神

 「広域殲滅魔法の発動急げ!

  無駄な時間はかけるな!」


天使、ミカエルがゲキを飛ばしている。

その視界の先には不死の戦士達が展開し始めていた。



 「今こそ鍛錬の成果を見せよ!

  あ奴らを叩き落とすのじゃ!」


本来争うことの無い筈の神兵バルキュリヤ、

ブリュンヒルドが率いる不死の戦士達が空を舞い、

地上に無数の光の矢を放つ天使達に襲いかかっていた。


しかし、共に不死性の戦士同士とあって決定打に欠け、

地表への攻撃が少し減った程度になるだけであった。



 「邪魔立てするか、愚かな異界の者共よ。

  ならば、さらに召喚するだけだ。


   顕現せよ、聖なる戦士達よ!

   悪しき闇に落しものどもを打ち砕け!」


バルキュリヤの不死の戦士達と同数以上の天使が

さらに召喚されると、戦局はエレシュキガル、ネルガル、

ルシファー、メフィストに不利な状況に傾き始めた。


地表はさらに光の矢で激しく焼かれ

灼熱地獄の如く炎の輪が広がっていった。



 「おや、まだ彼らの単調な攻撃と

  戯れていたのかね?

  

  ところでメフィスト、

  行き場のない彼らの出番はないのかね?

  とりあえず、君の影に繋いでおくので

  今度は地上で戦死したものだけを

  送りたまえ。」


天空からの攻撃を防ぎ続けていたメフィストの影から

ハーデスが声だけかけて来た。

彼はこの戦いには参戦しないとのことだったが、

何やらサポートしてくれたようだ。



 「ハーデスか、私に引率させるとはな。


  さて、天使諸君に見下ろされたままというのは

  気分が悪いものだ。

  まずは降りてきてもらおうか。


  天空に舞しものどもよ、

  地の闇に飲まれるがいい。」


メフィストが目を細めて、そう言い放つと、

天空に展開していた無数の天使達が

急に大地に転移したかのように引き寄せられた。


見ると、それまで焼け爛れていた大地がなく、

鏡面のような真っ平らな黒い闇が広がっており、

その闇に天使達の足が引っ付いていた。


必死に足掻いて飛び上がろうするが

足が地面から剥がれないようだ。


 「さて、天使諸君には彼らの歓迎を受けて頂こう。

  闇より出でよ、我が眷属となりし戦士達よ。」


天使達を繋いでいた闇の中からホルス神の黒い戦士達が

ヌッと飛び出るように姿を現し、黒い剣で攻撃を開始した。

だが、繋ぎ止めた天使たちの数の方が圧倒的に多く、

黒い戦士達にも光の矢を放ち始めた。


 「所詮はその程度か、

  さらに召喚するのみ。

  闇の軍勢と共に消え失せるがいい。」


メフィストの闇魔法を受けても天空に留まっている

ミカエルがさらに天使を増員したことで、

ルシファーとメフィストはさらに猛攻を受け始めていた。


ネルガルは攻撃を受けつつも余裕があるようだった。

天使達も異界の神には攻撃し辛いようだ。

エレシュキガルがやや不利な状況になっているのを見て

天空を闇に染めて助力しようと闇の魔力を練り始めた。


 「手出し無用と言ったはずなのだわ。

  貴方の介入を負けた言い訳にされるのだわ。

  そこで大人しく遊んでいてくれるかしら?」


 「誰が負けた言い訳をするって言うの!

  私の方がおしてるじゃない!

  負け惜しみもいい加減にして欲しいのだわ!」


 「あら、まだ気付いていないようね?

  これで埋まったのだわ。

  オリジナルの地魔法の一つなのだけれど、

  使ってもいいかしら?

  また貴女の泣く顔が見れるのだわ。  


   閉塞空間 擬似天空解除!


  このまま冥界まで連れて行ってあげる。

  

   転移するのだわ、冥界神殿!


  これでどうかしら?」


急にイシュガルの周りの明るい空は消え去り、

真っ暗な土のドームの中に取り込まれていた。


エレシュキガルの冥界神殿への転移の声を聞くと

青白い炎が揺らめく薄暗い神殿の前に佇んでいるのだった。


 「また嵌めたわね!この陰険女!

  この私をこんな薄暗いところに

  連れてくるなんて、卑怯にも程があるわ!」


 「なんとでも言いなさい、イシュガル。

  私が土の結界魔法を展開していたことに

  気付けなかった貴女の不注意が招いた結果なのだわ。

  反省するといいのだわ。」


 「クッ!どうしていつも貴女に勝てないの!

  好きにするといいのだわ!」


女神らしさまでどこかに埋めてしまったのか、

イシュガルは不貞腐れながら土の床に座り込んで横を

向いてしまった。


 「全くいつまでも子供らしさが残っているのね。

  少し羨ましいのだわ。

  違うわね、いつも羨ましいのだわ。

  貴女はどこにいても明るい世界で

  自由にしていられると言うのに、 

  私はこんな薄暗い世界の中で

  ずっと閉じこもっているのだから。」


 「何を言ってるのかしら?

  貴女が向こうの世界の事を放置して逃げ出したから

  死者がいなくなって地上に命が増えすぎえて

  私の祝福だけでどうにもならなくなって

  大迷惑だったのだわ!

  もっとも、貴女を連れ戻すことを理由にして

  私も逃げ出してきたのだけれど、

  先に逃げたのは貴女なのだから先に戻って

  元通りにして欲しいのだわ。」


 「あら、それは悪いことをしてしまっていたのかしら?

  ついこの世界の食べ物や飲み物が美味しくて

  留守がちにはなっていたのだけれど、

  ほんの数日のはずなのだわ。」


 「はぁ?何年も留守にしておいて数日って

  貴女の時間感覚どうなっているのかしら?」


 「あらあら、そうだったのね、時間の流れが

  違っていたのね。

  それはごめんなさい、ちゃんと確認していなかった

  私の責任ね。じゃあ、こうしていられないわね。


  ネルガル連れて戻ろうかしら?」


 「そうしてくれると助かるのだわ。

  でも、いいのかしら?

  彼らはまだ戦闘中みたいだけれど。」


 「別にいいのだわ。

  本当に地上のものが滅ぶようなことになるのなら

  この世界を見ている神も介入するでしょうから。

  しないのなら、滅ぶのを見守っているだけなのだから、

  手出しは無用なのだわ。

  じゃあ、先に戻るわね。


  そうそう、この大陸の中央にパティシエの街があって、

  そこのスイーツとカクテルはお勧めよ。

  食べすぎたら飛べなくなるから気をつけなさいね。」


そう言うと、エレシュキガルは

イシュタルに勝った余韻を味わいながら、

ネルガルと共に異界に戻って行ってしまった。


地上ではさらに猛攻が続いており、

メフィストが目を細めて新たな一手を打とうとしていた。


 シュンッ!!シュンッ!


彼らの横あいから光の刃が飛び出し、

向かってきていた光の矢を打ち消し、

さらにその向こうにいた天使達の体を切り裂いていた。


攻撃が止むと、ルシファー達の背後から

一人の剣士がひょっこりと姿を現した。


 「横から介入してすまぬな、

  メフィスト殿、ルシファー殿。


  一手神の御使いの方々と手合わせしたくなってな。

  天空の方々と試合わせてもらって良いだろうか?」


 「良いも悪いもすでに切り捨てておろう。

  困った御仁だ。」


 「卜伝殿、あれは私に試合わせていただきたい。

  それほど時間はかかりますまい。

  この後一献お付き合いいただけますかね?」


 「そうであろうな。

  では、戻って良い酒の用意をしておこう。

  では失礼する。」


気配を感じさせずに背後に立っていた卜伝が

スッと姿を消すとメフィストとルシファーは

悪い顔をして天空を見上げるのだった。


 「ふざけるな!時間がかからないだと!

  貴様らに後などない!冥界で死者の血でも

  啜るがいい!


  精霊魔法を打ち込め!」


激昂したミカエルがそう命じたが、

一向に地上を焼き滅ぼす殲滅魔法が発動する気配がない。


 「何をしておるのか!」


そう言って後ろを振り返ると、

そこには浮かんでいたはずの天使達も光の精霊達も

消えており、地上を見ると天使達が叩き落とされていた。


少し離れた先で魔法陣が光を放っていた。


 「クロ、転移魔法展開、ご苦労さん。

  天使の皆さんも電撃棒でお休みいただいたんで、

  この辺も静かになったな。


  あ、こっち見てるよ。。

  やばいな、激オコな感じなんだけど、

  俺だけ天罰喰らいそうなんだけど。」


 「あ、セブン、この辺りみんな焼けちゃって

  緑がなくなってるから恵みの雨を降らせて

  再生させてあげて欲しいな。」


 「そっか、じゃそうしよっかな。


   天空の瀑布!」


途端にあたり一面に黒い雲が湧き立ち、

爆音と共に激痛を伴う雨の砲撃が落ちてきた。


 「やばっ!手加減忘れて全力のままだった。

  

   神鋼の金剛陣!


  ごめんよ、クロ。痛かったよな?」


 「大丈夫だよ、神気が混ざってるから

  すぐ痛みが引いたよ。」


 「いやいややっぱ痛かったんだ、すまぬ~。」


その向こうでは雨の砲撃で地面に叩き落とされ、

湖と化した水中に押し込まれたミカエルが絶叫していた。

 

 「殺す気かーーっ!!」


やばい気配を感じ取っていたルシファーとメフィストは

ミカエルを放置して、卜伝の待つ酒場で乾杯をしていた。


 「しかも、放置かーーっ!

  お前ら後で覚えてろよ!!グボッ。。」


大声を上げた口の中に大粒の雨が入り込み、

他の天使と一緒に急造りの湖の中に沈んでいくのであった。

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