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天使と悪魔


 「異界の悪魔族の呪いを受けし魔石、

  どのような呪いか、少々気になる。


  その異界の悪魔族の力が如何程のものか、

  その異界の力そのものの指標と言えよう。」


メフィストは冷たい目を向けるエレシュキガルに

やや挑発的に切り返した。


 「あの魔石に呪いをかけた悪魔族の力で

  私の世界の力を推し量れるとは思わないことね。


  現に私にはあの程度の呪いは全く効かないのだわ。」


 「ほう、であれば尚のこと

  手にとって調べてみたいものだ。」


 「諦めが悪いのね、メフィスト。

  あんな呪いの魔石に興味を持つなんて悪趣味だわ。」



そんなやりとりの中、拠点に舞い降りるものがいた。

金色の光を全身に纏い、金色の髪をたなびかせ、

肌も輝いているかのような見目麗しき美女だった。


 「さっきから黙って聞いていたけれど、

  呪いの魔石って扱いはないのだわ。


  まぁこの異界くらいまで来ないと

  地上に出れないどこかの誰かさんには

  呪いと同じなのでしょうけどね。」


やや柳眉を上げてきつめの口調でエレシュキガルに

言い放つ美女。


 「どうして貴女がこの世界にいるのかしら?

  あっちの世界でふしだらに怠惰な生を

  謳歌している方がお似合いよ。


  ふふっ、ここには私を呪いから解放してくれる

  愛人がいるのだわ。

  血の匂いのする殺伐とした世界を生き抜く

  私だけの英雄なの。

  貴女には酒の匂いの漂う脂ぎった貴族が

  お似合いね。」


そう言うと、傍で呆然としていたセブンの腕を取って

肩に頬を寄せながら嘲笑を浮かべるのであった。


 「くっ!言わせておけば、この色狂い!」


 「子供のように取っ替え引っ替えしまくっている

  貴女がどの口で言うのかしら、イシュガル。


  私は貴女のような遊びではなくて、

  いつも本気の恋愛をしているだけよ。

  さっさとお帰りなさいな、ここからは大人の時間よ。」


いきり立つイシュガルと呼ばれた美女にそう言い放つと、

エレシュキガルは濃厚なキスをセブンと始めるのであった。


血の気の引いた顔で見つめるのはイシュタルだけではなかった。


 「さて、ドラマの続きを観るつもりはない。

  呪いの魔石とやらを拝見させて頂こう。」


 「貴方しつこいわね!

  呪いじゃないって言ってるでしょ!

  もう頭にきたわ、もっともっとこの地に降らせて

  欲望にまみれた世界に作り替えてやるわ!」



 「お静まりください、異界の女神様。」


いつの間にか、イシュタルの前に白く輝く翼を持つ男達が

片膝をついて頭を垂れていた。


 「貴方は何者かしら?

  見たところ濃厚な神気を纏っているから

  神の代弁者といったところかしら?」


 「はい、この世界で神にお仕えしております、

  ラファエルと申します。

  

  異界の女神、イシュガル様。

  この世は平穏こそが真理の行き着く先でございます。

  どうかご無体をなさらず、お怒りをお納め頂きたく、

  ここに直接お願いに参った次第でございます。」


 「あら、いいのかしら?

  見たところ、この世界の文明はお世辞にも

  進歩していると言い難いわ。

  破壊神に壊されないように進歩を促す事が

  優先なのではなくて?


  貴方達天使がそう言うのなら

  止めて上げてもいいのだけれど。

  どうかしら?」


 「この世界はすでに時の流れが歪んでおります。

  このまま静かに消え去るとしても、

  それもまた神の御心のままでございます。」



 「何をしれっと見捨てるしかないような

  無能者丸出しの発言をしているのだ。


  現実を見る目もないばかりか、

  考える脳すらなくなってしまったのかね?

  いや、元から小さかったか、ラファエル。

  ウリエルも未熟者のままのようだな。

  進歩のないものはいつまで経っても

  代わり映えもせず見苦しいままか。」


拠点の影から今度は黒い翼を持つルシファーが現れ、

白い天使に毒のある言葉を吐きかけた。


 「貴様!ルシファー!!

  よく我らの前に顔を出せるな!

  貴様のは進歩ではない!

  堕落し悪魔そのものに変わり果てた貴様が

  進歩など片腹痛い。

 

  ここであったのが運の尽きだ!

  今度こそこの世界から消し去ってくれる!」


 「面白い!やれるものならやってみるがいい。

  平穏こそが真理とこの世界に何ももたらさず、

  ただ滅びを待つだけの存在の君達に

  何ができると言うのかね?」


一触即発の異様な雰囲気になってきた拠点の中で、

エレシュキガルの濃厚なキスから解放されたセブンが

これはやばいと声をかけた。


 「あー、皆様どうか落ち着いてください。

  ここですと周りに被害が出そうなんで、

  と言うか天使と悪魔の戦争を始められると

  世界が滅びそうなんでやめてもらえませんかね?」



 「「黙れ、リア充!!貴様が滅びろ!!」」


息のあった罵声が返ってきた。


 「リア充ね・・・、そうね滅びればいいのだわ。

  お姉様、ちょうどいい舞台もあるようですし、

  今度はこの地上で私と戦ってみませんこと?


  勝てる見込みがあれば、でいいのですけど?」


 「あら、また身包み剥がされて

  惨めな姿を晒したいのかしら?


  いいわ、受けてあげる。

  貴女の全力の力全て受けきって

  倍返しして差し上げるわ。


  もっとも、思い出して怖くなったのなら、

  見逃してあげても良くってよ?」


 「言わせておけば!

  そんなに私の本気の力見たいんだぁ、

  じゃあ、じっくり味わうといいのだわ!


  場所はあの魔石の落ちたところよ。

  明日のこの時刻から勝負よ。」


 「いいのだわ。

  また貴女の成長した姿を拝見できると思うと

  楽しみだわ。」


 「その嫌味ったらしい顔を歪めて泣くことに

  ならないといいわね!


  じゃあ、明日よ!」


そう言い放つと踵を返して、金色の女神は天空に登っていった。


 「ルシファー!

  我らもその地で貴様に引導を渡してやろう!

  我らに恐れをなして逃げるのであれば、

  永劫に闇の中で怯えているがいい。

  

  この地上では闇の力に頼るしかない

  無能者は貴様であると知るがいい!」


 「ほう、この私とやろうと言うのかね。

  よろしい、その戦争受けてたとう。

  君達だけでは力不足だ。

  ガブリエルやミカエルも連れてくるといい。

  進歩を拒絶したものとの差を思い知らせてやろう。」


 「その戦争、私も闇の力を使うものとして

  参戦させていただく。

  闇の力の怖さを存分に味わっていただきたい。」


メフィストはルシファーと共闘すると宣言し、

強い眼差しを天使達に向けていた。


 「ようやく、貴様達悪魔の存在を

  消し去される時が来るようだな。

  

  では、明日だ。

  最後の晩餐でも楽しむがいい。」


そう言い放つと天使達も天空に舞い上がり消えていった。


 「メフィスト、いいのかね?

  これは天使と私の過去の因縁の戦いだ。

  君まで巻き込まれることはないのだよ。」


 「闇の力を侮られて大人しく

  黙っていることはできない性分でね。

  何より この世の平穏こそ真理

  と謳う連中には吐き気がする。」


 「そうだ。

  この世に生きる者は、その生きる命の使い方を

  知らねばならん。


  どんな状況に置かれようとも前に進む力、思考が

  より良い命の使い方を知る道標となろう。


  それがどんなに過酷であろうともな。」


 「うむ、過酷であるほど、人は強く賢くなってゆく。

  生き抜く力を伸ばすには試練は欠かせぬ。


  己を犠牲にしてでも手に入れたいと自ら試練を

  課す者もいるほどだ。


  乗り越えた者は乗り越えただけの力をつける。

  平穏など、何も生みはしない。

  余生を過ごすのであればそれも良いだろうが、

  生きている実感を真に味わえるのは、

  厳しい、過酷な試練を乗り越えた時だろう。


  この戦いも厳しいものであろう。

  ならば、そこに飛び込まずして何とする。

  参戦しないと言う選択はないのだよ。」


 「ここでお出しできるのはこのお酒になりますが、

  一献如何でございますか?」


いいタイミングでカイがカクテルを持ってきていた。


 「「ありがたく、頂こう。」」


 「あら、私も頂くわ。

  貴方達まで巻き込んでしまって申し訳ないのだわ。」


 「いえ、綺麗なご夫人と共に戦えることは

  光栄にございます故。気になさらず。」


 「うむ、良い機会だ。

  セブン、君もきてみたらどうかね?

  どちらにも参戦しなくて良い。

  我らの生き様の証人になってもらえないか。」


 「行きますよ。

  多分、手を出してしまうと思いますけどね。」


あっさりと危険極まりない爆心地に行くと言うセブンに

不安の表情を浮かべた顔を向ける美女達がいた。

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