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美の競演 見つめ合う時

巨大大陸を揺るがしているのは、武の競演だけではなく、

美の競演も同時開催されているからだ。


美のコンテストは神殿作りのステージで行われている。

神殿の奥には主神像があるわけでもなく、大理石で作られた

椅子が並んでおり、そこに審査員と称するものたちが座り、

コンテスト参加者を面接するような雰囲気が漂っている。


審査員は中央に美の女神アフロディーテ、

左側に運命の女神ウルズ、ベルザンディが並び、

右側に異界の冥界神ネルガルと妻のエレシュキガル、

なぜかその横にはセブンがちんまりと座っている。


 (いやいや、どうしてこうなった?

  神様に混じって座ってることもおかしいけど、

  美の審査員って何すんだ?何で俺?

  無理なんだけど、

  ここにいること自体無理なんだけど。)


 「心の声がだだ漏れよ、セブン。

  発端はあなたなのだから責任を持って当たることね。」

 「それより、何で私達この世界にまた呼ばれたのかしら? 

  大体あの美の女神って何となく苦手な感じがするんだけど。

  そこと代わってくれないかしら。(小声)」


 「いや、俺は観客席の人と代わって欲しいんですけど。

  (小声)」


そんなひそひそ話をよそにアフロディーテが高らかに

開幕の宣言をしていた。


 「皆様、これより第一回美のコンテストの開催となりますわ。

  コンテストに出場される方には、

  自らの美についてアピールを行なっていただいて、

  ここにいる審査員方の評価と皆様の拍手で比べ合い、

  私、アフロディーテが認定させていただきますわ。


  なお、出場される方々のアピールは、

  ここにいる運命の女神の力で

  真意の程を確かめさせていただきますわ。」


神殿の前にずらりと並び立った出場者の美女達が

何だろう?運命の女神の力って?と思っていると、

ウルズが出場者に向けて声をかけた。


 「皆様、覚悟はよろしくて?

  過去と現在の運命の女神の力で

  皆様は心の中を見つめ直すのだわ。 

   

  では、過去のご自分と

  見つめ合うのだわ。


   時間遡行、過去幻視 」


立ち並ぶ美女達の周りを金色の靄が取り囲むと、

皆一様に苦悶の表情を浮かべるのだった。



<魔族の女王カミュール視点>


(んっ?これはわらわの過去視の自由視点というものか。

 この状況、覚えておるとも。あの渡り人の勇者どもに

 襲われた日じゃな。)


 『女王様、ここは引いてください!』

 『魔法の壁が紙のように射抜かれて役に立ちません!

  防衛は不可能です!即時撤退を!』

 『女王様! どうか逃げ延びてください!』 


空から降る爆発するファイヤアローのようなものも、

魔族の兵士達に向けて放たれるメタルアローのようなものも、

どの属性の魔法の壁も簡単に突き破ってくる。

見る見るうちに魔法兵士団の屍の山が築かれていく。

各隊の隊長が悲壮な表情で撤退の進言をしてくる。


 『ここで引いて何とする!

  徹底抗戦あるのみ!

  ここは我が国ぞ、守り通すのじゃ!』


 (これはわらわの罪を見せておるのか。

  この判断が余計な死者を増やしたな。)


影人の戦士達が動いた。激昂するカミュールを

女王を影転移で無理やり逃がそうという思いで。


だが、そこへ楼蘭兄弟のガトリングガンが向けられた。

あっという間にカミュールの両足が撃ち潰され、

影人も何人か命を落としたようだ。


 『シャルマンよ、女王様を北に逃すのじゃ。

  ここで我らが影の結界を張る。

  どこまで保つかは分からぬ、急ぐのじゃ。』

 『いけません、長老!

  そのお体で結界を張るのは自殺行為です。

  ここは私が。』

 『このような体だから良いのじゃ。

  良いか、影人の誇りを持って生き抜いてくれ。

  頼んだぞ。』


そう話すと、影の体から黒い糸のような流血をしている

姿の戦士達が暗い影を辺りに広げ始めた。

ガトリングガンの銃弾がその影にに見込まれていく。


 『あれ?

  鮮牙、あの影ちょっと変じゃね?』


ガトリングガンの引き金を引き続けながら、

楼蘭漠斗が双子の兄、鮮牙にそう話しかけた。


 『また魔法だろ、こういうのは

  地対地ミサイルでも打ち込んどきゃ

  何とかなるだろ。』


そう言って地面からミサイルを錬成すると、

影の結界に向けて打ち込み始めた。


 『全然効いてないじゃん!

  意味ないんじゃね?』


 『こういうのは数打って

  耐久削るのがセオリーなんだよ。』


そう言いながら、結界が切れるまで

打ち込みまくっていた為、撤退までの時間が稼げ、

女王と親衛隊の面々は逃げることができたのだった。


 (わらわが意地を張らずに進言を受けておれば、

  もっと被害が少なく、

  生き延びていたものもいたであろうな。)


カミュールの視線の先では、渡り人の勇者達が

夥しい屍の山をかき分けて、息も絶え絶えの

魔族の娘達をいたぶる様子が映し出されている。

その目に静かに燃える炎を灯しながら。


 (もうよい。

  わらわはここまでじゃ。

  美よりも魔力を磨くことに専念する。

  よくぞ、思い出させてくれた。)


金色の靄がはれ、カミュールは戦士の顔で

女神達に一礼しその場を後にして行った。


 「私たちは見守るだけで手出しができないの、

  ごめんなさいね、カミュール。

  あなたの今は生きる力に溢れているわ。

  強く生き抜いてね。」


 「ベルザンディ、傷ついた女は強くなるものよ。

  でもその傷は蓋をしても永遠に消えないのだわ。

  痛みに強くなって感じにくくなるのだわ。

  それはいい時も悪い時もあるのよ。

  他人の痛みすら分からなくなった時、

  彼女はまた自分を見つめる時がくるわ。」


凛とした姿で立ち去るカミュールに運命の女神達は

悲しいものを見る目で見送るのであった。

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